中小企業退職金共済制度

 中小企業において退職金制度を導入しやすくするため、中小企業退職金共済制度が設けられています。これは、事業主がこの制度に加入し、毎月一定の掛け金を支払っておけば、従業員が退職した際に、独立行政法人勤労者退職金共済機構が、事業主に代わって退職金を支払うという制度です。  

 退職金の額は、退職金規程において、掛金月額をどのように決め、年齢・勤続年数と賃金を基準に退職金額をどのように定めているのかによります。従業員が退職したときは、退職した本人が退職金共済手帳によって退職金の請求を勤労者退職金共済機構・中退共本部へ行います。機構・中退共本部は、この請求に基づいて請求人本人の預金口座に退職金を振り込みます。 

 中小企業退職金共済制度とは、勤労者退職金共済機構・中小企業退職金共済事業本部が行う「中小企業退職金共済法」に基づき定められ、中小企業事業主が機構・中退共本部と退職金共済契約を結び、毎月掛け金を納付することにより、従業員が退職した際に、中小企業事業主に代わって掛け金月額と納付月数に応じて機構・中退共本部が退職金を支払う制度です。

 中小企業退職金共済制度は、安全、確実、有利、しかも管理が簡単です。

 中小企業退職金共済制度(「中退共制度」)は、法律で定められた社外積み立て型の退職金制度ですから、掛金は安全に管理・運用され、退職金は従業員に確実に支払われます。また、企業が掛ける掛金の一部は国から助成され、掛金は税法上全額非課税になりますので、有利な制度となっています。

メリット

・掛金は全額損金処理できる。(個人事業の場合は必要経費扱い)
・手続きが簡単。
・従業員が他の会社へ移っても、そこが中退金に加入しておれば継続できる。

デメリット

・退職金が直接本人へいってしまう。
・11ヵ月以上掛けないと没収になる。
・10年程度の加入期間ではほとんど増えない。
・懲戒解雇等で不支給の場合は没収になる。
・掛金の管理をしっかり行わないと退職金規定からズレてしまう。

○事業主にとって

1.国の助成  
 国の助成がある退職金制度で、掛金の一部を国が助成します。

 新しく中退共制度に加入する事業主に掛金の1/2を契約後4カ月目から1年間、国が助成します(ただし、5,000円を上限とします。また、掛金額が2,000円~4,000円の場合は、それぞれ300円~500円を掛金1/2の額に加算して助成します。)。

 掛金月額を増額する事業主に増額分の1/3を増額月から1年間、国が助成します(ただし、増額前掛金額が2万円未満の場合に限ります。)。

2.保全措置
 退職手当の保全措置が不要。

 この制度は、法律で定められた国の制度ですので、掛金は安全に管理・運用され、退職金は確実に従業員に支払われます。

 また、本制度に加入している事業主は、「賃金の支払の確保等に関する法律」に基づく「退職手当の保全措置」をとる必要がありません。

3.損金扱い  
 税法上の特典がある

 中退共制度の掛金は、法人企業の場合は損金として、また、個人企業の場合は必要経費として、全額非課税となります。

4.管理が簡単
 毎月の掛金は口座振替

 加入後も面倒な手続きや事務処理がなく、管理が簡単です。また、掛金は口座振替で納付できるので手間もかかりません。

 

○事業主/従業員にとって

1.パートタイマー  パートタイマーの特例掛金

 パートタイマーの従業員も加入することができます。一般の従業員の掛金より低い掛金も用意されていますので、加入しやすくなっています。

2.提携サービス  特典いろいろ

 中退共と提携しているホテル、レジャー施設等を、加入企業の特典として割引料金で利用することができます。

 

○従業員にとって

1.直接支給  退職金は機構から直接支給

 退職金は、勤労者退職金共済機構(以下「機構」という。)から直接、退職する従業員の預金口座に振り込まれます。また、事業主には、退職金の支払いのお知らせをいたします。

2.一時払い/分割払い  退職金の支払方法を選択できる

 退職金は一時払いのほかに、本人の希望により、全部または一部を分割して受け取ることができます。

3.通算  転職しても加入期間を通算

 加入企業から他の加入企業に転職した場合は、加入期間を通算することができます。

 

○制度の特典

税法上の扱い

1.掛金

 事業主が払い込む掛金(共済証紙代)は、法人の場合は損金、個人企業の場合は、必要経費として全額免税になります。また、掛金は労働者の給与所得にも含まれませんから、所得税の源泉徴収の対象にはなりません。 現在の掛金日額は300円です。証紙の現物交付により元請負人が負担した証紙代金も、工事原価に算入され免税となります。

2.退職金

 労働者の受ける退職金は、退職所得扱いとなりますが、事実上税金がかかりません。

 掛金の負担が軽減される  新たに被共済者となった労働者について、掛金の一部(加入し初回交付の手帳の50日分)が免除されます。

融資業務の廃止  

 加入事業主に対する従業員福祉施設のための資金貸付の業務は、平成14年11月1日をもって廃止されました。  すでに融資をご利用されている方の返済につきましては、従来どおりの取扱いとなり、償還期間等を変更することはありません。

掛金の決め方  

 退職金額の決め方は、年齢・勤続年数と賃金を基準にするのが一般的です。

 

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