休日

○休日

 会社は、毎週少なくとも1回の休日を与えなければなりません。
 休日をいつにするかはそれぞれの会社に任されています。週休2日制で土・日曜日を休みとしている場合には、そのうちの1日が法定の休日であり、もう1日の休日は会社が上乗せした休みとなります。どちらの休日が法定かという決まりはないので、上乗せの休日に労働をさせた場合であっても、休日の割増賃金を支払う必要はないのです。日曜日を法定休日とするような、特定は求められていません。一般的に、週休2日制の事業場の場合では、最後の休日が法定休日と解されます。

注意すべき就業規則規定例

第○条 (休 日)  法定休日は毎週日曜日とする。

 法定休日を「日曜日」と特定した場合、土曜日の休日出勤者は2割5分の割増で、日曜日の休日出勤者は3割5分の割増という不公平が生じることになります。「法定休日は○曜日とする。」という規定はすべきではありません。

 法定休日を特定すると、その週に何日休日があっても、法定休日に出勤させると休日の割増賃金を支払わなければならない。法定休日は、4週を通じて4日あればよく、この休日に労働させた場合に割増賃金を支払う必要があるのです。

pretty diverse young business woman team at office building

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 休日は、原則として暦日(午前0時から午後12時までの継続24時間をいう。)で与えなければなりません。しかし、交替制(8時間3交替勤務のような場合)を導入するような場合、以下の要件を満たせば休日は暦日ではなく、継続した24時間を与えれば差し支えないとされています(昭和63年3月14日付け基発150号)。
(イ)番方編成による交替制によることが就業規則等により定められており、制度として運用されていること。
(ロ)各番方の交替が規則的に定められているものであって、勤務割表等によりその都度設定されるものではないこと。

 「休日」と「休暇」の使い分けをしっかりしましょう。

 残業の時間単価を計算する際には、年間の賃金を年間の所定労働時間で除算して求めるので、所定労働時間が減少すれば、必然的に残業代の単価が上がってしまいます。  ということは、やみくもに「休日」を増やすと、それだけ年間の所定労働時間を減らしてしまい、その結果残業代の単価が上がってしまいます。「休暇」は元来労働義務のある日ですが、その労働義務を会社が免除しているだけですので、年間の所定労働時間に対して影響を与えないのです。ゆえに「休暇」を増やしても残業代の単価には変化がないのです。

就業規則規定例

第○条(休 日)
 休日は次のとおりとする。ただし、パートタイマー等に関しては個別に定める。
(1) 日曜日
(2) 土曜日
(3) 国民の祝日に関する法律に定められた祝日(日曜日と重複したときはその翌日)
(4) 年末年始(12月30日から1月3日まで)
(5) その他会社が指定する日

 休日は、毎週少なくとも1回ではなく、4週間を通じ4日以上でも差し支えありません。

 休日の原則は、週休制の原則を規定したものですが、特定の4週間に4日の休日という変形休日制を規定するものです。

 4週4日の休日制は、興業、土建業等のように厳格な週休制を取りにくい業種において、業務の都合によって必要がある場合には採用することができます。

 変形休日制を採用する場合には、就業規則等において4週間の起算日を明示することが必要です。

 変形休日制における4週間は、特定の4週間に4日の休日があればよく、どの4週間を区切っても4日の休日が与えられていなければならないという意味ではありません。

 あらかじめ特定の4週を定め、たとえば第1週 「1日」、第2週 「2日」、第3週 「0日」、第4週 「1日」のように休日を定めればよいのです。特定の4週間に4日の休日があればよいのであって、ある週に4日与えて残りの3週は休日がなくても差し支えありません。

 休日の振替の場合においても、同一週内に限定されることなく、4週4日の枠内で休日を振り替えても差し支えありません。

 行政解釈では、「就業規則において休日を特定したとしても、別に休日の振替を必要とする場合休日を振り替えることができる旨の規定を設け、これによって休日を振り替える前にあらかじめ振り替える日を特定して振り替えた場合は、当該休日は労働日となり、休日に労働させることにならないとしています(昭23.4.19基収1397号、昭63.3.14基発150号)。

 振替えによって当初の所定休日に労働義務が生じ、かわりに振替えられた日(振替休日)には労働義務がなくなります。当初の休日は労働日となるため、その日に労働させても休日に労働させたことにはなりません。つまり、休日振替をした場合には、休日労働割増賃金を支払う必要はないのです。

 振り替えるべき日については、「振り替えられた日以降できる限り近接している日が望ましい」とされています(昭和23年7月5日 基発968号、昭和63年3月14日 基発150号)。

 就業規則等において、できる限り休日振替の具体的事由と振り替えるべき日を規定することが望まれます。

 しかし、振り替えた休日が週をまたがるような場合があります。当該週の労働時間が40時間を超えた場合には、その超えた時間の割増賃金の支払いが必要となってしまいます。

 「休日は毎週日曜日とする。ただし、業務の都合により会社は休日を他の日に振替えることがある」といった規定を設けている場合、日曜日の出勤を命ずる場合には、遅くとも土曜日までに振り替るべき休日を指定していなければなりません。所定休日の到来する前に振り替えるべき日を指定しなかった場合、事後の休みは振替休日ではなく、いわゆる代休となってしまいます(昭23.4.19基収1397号、昭63.14基発150号)。この場合、休日労働をさせた日が法定休日である場合に3割5分増以上の割増賃金を余儀なくされてしまいます。

 

労働基準法上の振替休日と代休の取扱いの違い

 振替休日は、あらかじめ定められた法定休日を他の日に振り替えることですから、振替前の休日に勤務しても通常の勤務と同じです。したがって、休日労働に対する割増賃金の問題は発生しませんが、振り替えた休日が週をまたがった場合、振替勤務したことにより、当該週の実労働時間が週の法定労働時間を超える場合があります。その場合は時間外労働に対する割増賃金の支払が必要となります。

その一方で、代休は、定められた法定休日に休日労働を行わせた場合ですから、その後に代休を与えても休日労働をさせたことが帳消しにされるものではありませんので、休日労働に対する割増賃金を支払う必要があります。

 休日は労働者が勤務する義務のない日ですから、休日の振替えを行うためには、次に示す措置が必要となります。
 ・就業規則に、休日を他の日に振替えることができる旨を規定すること
 ・振替休日を特定すること
 ・振替休日は、4週4日の休日が確保される範囲の出来るだけ近接した日とすること
 ・所定休日の到来する前に振替えるべき日を示すこと
 ・あらかじめ(前日まで)振替日を指定の上、労働者に通知すること

 振り返られた休日法定休日の範囲内であること。つまり、「毎週少なくとも1回」あるいは「4週4日」(変形休日の場合)の範囲内でなければなりません。

就業規則規定例

第○条 (休日の振替)
 業務に都合によりやむを得ない場合には、従業員の全部または一部について、あらかじめ前項の休日を他の日と振り替えることがある。ただし、休日は4週間を通じ4日を下らないものとする。
 ・・・

  無条件に休日の振替えを行うことができるわけではありません。

 

就業規則規定例

第〇条 (代 休)  
 所定労働時間以上の休日出勤をした場合は、本人の請求によりその翌日から1週間以内に代休を与える。ただし、請求をされた日が業務に支障がある場合は、他の日に変更する事がある。

 振替休日と代休は休日勤務を他の日で埋め合わせると言う点で、外見上は類似しているので、両者を混同していることがよくあります。上記の問題のある規定例でも、これら二つの違いについて明確に理解して定めているとはいえません。この違いについては解釈例規があります。

 

適用除外

就業規則規定例

第○条(適用除外)
 前各条の労働時間・休憩時間・休日の規定は、次の各号に該当する者については適用しない。(深夜割増賃金に関する定めを除く)  
(1) 労働基準法第41条第2号の管理・監督の地位にある者  
(2) 監視または断続的労働に従事する者で、行政官庁の許可を受けた者  
(3) 秘書その他管理・監督の地位にある者と活動が一体不可分で、出退社等について厳格な制限を受けない者

 

 

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