パニック障害
パニック障害は、突然起こる激しい動悸や発汗、頻脈(脈拍が異常に多い状態)、ふるえ、息苦しさ、胸部の不快感、めまいといった体の異常と共に、このままでは死んでしまうというような強い不安感に襲われる病気です。
この発作は、「パニック発作」といわれ10分くらいから長くても1時間以内にはおさまります。
初めてのパニック発作で、救急車を呼んで病院に運び込まれる場合もありますが、医師の診察を受ける頃には発作は消え、血液検査や心電図検査をしても異常はみられず、時には気のせいなどと言われることもあります。
パニック障害の特徴は、検査をしても身体的な異常は見当らないのに、パニック発作を繰り返すことです。
脳の中には、脳内神経伝達物質といわれる物質が数種類あり、外界からの刺激に対応して、さまざまな働きをしています。
パニック障害が起こる原因は、恐怖や不安に関係している神経伝達物質「ノルアドレナリン」と、興奮を抑える神経伝達物質「セロトニン」とのバランスが崩れるためと考えられています。これについて詳しいことはわかっていませんが、脳内のセロトニンが増加する治療を行うと、パニック障害の改善がみられることから推測されています。
パニック障害の最初の症状は、突然の動悸や呼吸困難、発汗、めまいなどの身体症状とともに強い不安や恐怖感を伴うパニック発作です。
パニック発作自体は、多くの場合20~30分くらいでおさまりますが、何回か繰り返すうちに、また発作を起こしたらどうしようという、パニック発作に対する強い恐怖感や不安感が生まれるようになります。これは、「予期不安」といわれます。
予期不安は、逃げ場のないような場所でのパニック発作や、発作を他人や大勢の人に見られることの恥ずかしさといった不安や恐怖を生み、大勢の人が集まる場所や、過去に発作を起こした場所を避ける行動をとるようになります。これが、「広場恐怖(外出恐怖)」といわれます。
「パニック発作」と「予期不安」、「広場恐怖」はパニック障害の3大症状といわれる特徴的な症状であり、この3つの症状は、悪循環となってパニック障害をさらに悪化させます。パニック障害が悪化すると、人前に出るのを嫌って閉じこもるようになり、正常な社会生活が維持できなくなります。さらに悪化すると、うつ病を併発することもあります。
診断
パニック障害の診断は問診が中心になり、アメリカで考え出された基準がよく使用されます。
この基準は13のチェック項目があり、4つ以上当てはまるとパニック障害の可能性があるとされています。
・心臓がドキドキしたり、脈拍が増加する
・手の平や、全身に汗をかく
・体や、手足がふるえる
・息切れ感や、息苦しさを感じる
・窒息感、または喉が詰まった感じがする
・胸の痛みや圧迫感、不快感がある
・吐気や腹部の不快感がある
・めまい、ふらつき、または気が遠くなるような感じがする
・現実感が失われ、自分が自分ではない感覚が起こる
・自分をコントロールできなくなる恐怖や、気が狂う恐怖に襲われる
・このままでは死んでしまうという恐怖を感じる
・体の一部にしびれ感や、うずきを感じる
・冷たい感じや、ほてった感覚がある
パニック障害の治療
パニック障害の治療には薬物療法と精神療法があります。
薬物療法では抗うつ薬や抗不安薬、β遮断薬などを用いて発作を抑え、心の不安を軽減します。
精神療法の1つには認知療法があります。認知療法はパニック障害を引き起こすストレスなどの原因に対して、認識を改めていきます。 その他には、避けてきた状況に心身を慣らす暴露療法や呼吸法、リラクゼーション法などがパニック障害の治療で使われます。
単独では原則として障害年金の対象とならない神経症とは、パニック障害、強迫性障害、PTSD、身体表現性障害、適応障害、抑うつ状態、社会不安障害、解離性障害、転換性障害、摂食障害、睡眠障害などです。ただし、医師の書いた診断書と実際の状態により、その臨床症状から判断して精神病の病態を示しているものについては、統合失調症または気分障害に準じて取り扱います。例えば、「パニック障害+うつ病」など精神病を併発した場合、傷病名は神経症であるものの、症状が重篤で精神病と同様の病態があるというような場合には、認定の対象となるのです。
認定に当たっては、精神病の病態が ICD-10 による病態区分のどの区分に属す病態であるかを考慮し判断することとなっております(診断書に人格障害や神経症だけではなく、精神病の病態について傷病名とICD-10コードが記載されていること)。肢体の障害や精神障害等の併発などとともに、総合認定の判断材料として位置づけられるのです。神経症の病名でも症状が重く、日常生活や社会生活を送る上で支障があるならば認定される可能性があるのです。
神経系統の障害は「肢体の障害」の認定基準に基づいて認定します。神経系統の障害は、発現部位に基づく障害の状況により、該当する診断書を複数選択する必要があります。例えば、脳の器質障害については、身体障害(肢体の障害)と精神障害の両方を総合的に評価して障害認定されます。
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