HIV感染症・後天性免疫不全症候群

 HIV感染症とは、ヒト免疫不全ウイルスによる感染症です。サハラ以南のアフリカ、ロシア、アジア、中南米の一部の地域で流行しており、わが国でもHIV感染者・後天性免疫不全症候群患者は増加しています。

原因と感染経路
 病原体は、ヒト免疫不全ウイルスを原因とします。主な感染経路は性感染で、患者の精液や膣分泌液に含まれるウイルスが、粘膜(尿道・膣・肛門)との接触を介して感染します。その他、母子感染(妊娠中、分娩時、母乳を介した感染)、針刺し事故や注射器の共用などの血液を介した感染があります。

症状
 潜伏期間は、数週間~十数年間です。感染初期に、発熱、のどの痛みや倦怠感などのインフルエンザに似た症状が出ることもありますが、数週間でおさまります。抵抗力が落ちてくると、発熱や下痢などの様々な症状があらわれ、さらに病気が進行すると、肺炎(ニューモシスチス肺炎)や脳炎(HIV脳症)になったり、腫れもの(カポジ肉腫)ができたりするなどの日和見感染症や悪性腫瘍を併発します。

治療
 HIV感染症を完全に治療する薬はなく、ウイルスを抑制して病気の進行を大幅に抑えるための薬を使用します。

予防のポイント
 不特定の人との性交渉は避け、性的接触の際にはコンドームを正しく使用しましょう。また、HIV感染症について正確な情報を知ることが、予防行動をとる上では大変重要になります。

 

 ヒト免疫不全ウイルス感染症及びその続発症によるか、又はヒト免疫不全ウイルス感染症に対する治療の結果によるかの原因の如何を問わず、視機能障害、四肢麻痺、精神・神経障害等の不可逆的な障害は、原疾患との併合認定により認定されます。

 ヒト免疫不全ウイルス感染症(エイズなど)による不可逆的障害(四肢麻痺・視機能障害・精神又は神経障害など)については、担当医にそれぞれの障害の部位毎の診断書(様式第120号の1~6)に、傷病と障害の状態を記載してもらいます。

 新基準になって薬の副作用に関しては認定されなくなりました。そのため、CD4値が重要になりますが、薬の進歩により適切に治療を受けていればCD4値が回復しますので、HIVウィルスに感染しているだけでは認定されなくなりました。エイズを発症する程度でないと認定されません。

 ヒト免疫不全ウイルス感染症(エイズなど)による障害年金は、その特性を考慮したうえ、次に掲げる検査・臨床所見項目を総合的に評価して認定されます。障害年金1級~3級の全ての障害等級に対して、日常生活能力と労働能力の両方の制限度合いを評価して障害認定されます。
 ・続発症(ヒト免疫不全ウイルス消耗症候群、日和見感染症など)の有無と程度
 ・免疫機能低下状態の検査結果(CD4値、ウイルス-RNA定量値など)
 ・治療状況(服薬状況と副作用の有無)
 ・消化器症状の程度、出現頻度、持続時間、不明熱、倦怠感・疲労感など

                HIV感染症の障害年金認定基準

障害の程度

障害の状態

1級

回復困難なヒト免疫不全ウイルス感染症及びその合併症の結果、生活が室内に 制限されるか日常生活に全面的な介助を要するもの

2級

エイズの指標疾患や免疫不全に起因する疾患又は症状が発生するか、その既往 が存在する結果、治療又は再発防止療法が必要で、日常生活が著しく制限されるもの

3級

エイズ指標疾患の有無にかかわらず、口腔カンジダ症等の免疫機能低下に関 連した症状が持続するか繰り返す結果、治療又は再発防止療法が必要で、労働が制限されるもの

 続発症については、その他障害用の診断書(様式第120号の7)に記載することになります。

 

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