年次有給休暇の半日付与

 年次有給休暇の取得率を一層促進するためには、半日付与が有効であるとの見地から、「半日単位の年次有給休暇は、本来の取得方法による年次有給休暇の阻害とならない範囲内で運用される限りにおいては、むしろ年次有給休暇の取得促進に資するものである」(平7.7.27 基監発第33号)とした行政解釈を根拠に、年次有給休暇の半日付与制度が認められています。

 半日の有給で 0.5日を消化したものとし、2回の取得をもって 1日の消化と取り扱います。

 年次有給休暇の半日付与をする場合の「半日」については、法令上の定めはありません。事業所の状況に応じて定めることができます。

 一般的には、文字どおり「半日」である正午を境にする方法が用いられています。概ね「所定労働時間の半分」となるように定めればよいので、休憩時間をはさんで前後を半日と計算しても差し支えありません。

 始業時刻の9時から休憩の12時で3時間、休憩後の午後1時から終業時刻の5時半までの4時間半というように、午前の半日と午後の半日の労働時間が異なるということもあるかと思います。いずれも 0.5日分の年休取得として取り扱います。

 使用者が半日付与を認める場合は、就業規則に明示する必要があります。

 年次有給休暇は、原則として労働日を単位に付与するものですので、仮に半日休暇の請求があった場合にも、就業規則に半日単位に付与する旨の定めがない場合には、半日休暇を与えることができないことになります。

 分割した年休の請求を認める就業規則上の規定や契約内容となった慣行がある場合には、使用者はこれに従い請求に応じる義務があるといえます。 高宮学園事件 東京地判平7.6.19

就業規則規定例
第○条(年次有給休暇の半日分割付与)
 年次有給休暇は、原則として1労働日を単位として与えるが、従業員から特に申し出があった場合には、当年度に付与された休暇のうち5日を限度として半日を単位として分割して請求することができる。この場合の取得日の所定労働時間は4時間とする。

 午前中の半日を付与した場合、午後から出社した従業員がそのまま終業時刻を越えて就労してしまう場合があります。この場合、実労働時間が法定労働時間内であれば割増賃金の問題は生じませんが、年次有給休暇を付与した意味がなくなってしまい、労務管理上望ましくありません。そのため、「年次有給休暇は1日単位で与えるものとする。ただし、会社の裁量によって半日単位を認めることとし、この場合の取得日の所定労働時間は4時間とし、4時間を超えた時間は出勤とみなす」といった労働時間管理を含めた規定を設けるのがよいでしょう。

 

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