夜間宿直勤務

 宿日直勤務として労働時間等に関する規制を適用除外するためには、所轄労働基準監督署長の許可が必要です。

許可基準(昭22.9.13 基初第17号 昭63・3・14 基発第150号)

 断続的な宿直または日直勤務の許可については、労働基準法上の労働時間休憩及び休日に関する規定を適用しないこととしたものであるので、その許可については次のような一定の基準が設けられています。  

(1) 勤務形態としては、常態としてほとんど労働をする必要のない勤務のみを認めるものであり、定期的巡視、緊急の文書又は電話の収受、非常事態に備えての待機等を目的とするものに限って許可されます。

 この場合に、原則的に通常の労働の継続であるものは許可されず、始業又は終業の時刻に密着した時間帯に、顧客からの電話の収受又は盗難や火災防止を行うもの等は許可されません。

(2) 宿日直手当(深夜割増賃金も含む)については原則として1回についての最低額が、当該事業場において宿直または日直につくことが予定されている同種の労働者に対し支払われている賃金の1人1日平均額の3分の1を下らないものでなければなりません。

(3) 回数については宿直勤務は原則として週1回、日直勤務は月1回が限度になります。

(4) その他宿直勤務については、相当の睡眠設備の設置を条件とすることなどの基準があります。

 宿日直手当に関しては、宿日直に就くことの予定されている同種の労働者に対して支払われている賃金(割増賃金の基礎となる賃金に限る)の1人1日平均額の3分の1を下らないことが条件となっています。労働基準法第12条の「平均賃金」ではなく、「1人1日平均額」となっている点に注意です。

 宿日直勤務に対しては通常の労働に対する賃金とは別に相当の手当が支給されるべきことを要件としています。ここでいう「通常の労働に対する賃金」とは、宿日直勤務以外の労働に対する賃金を指します。通常の賃金を払ったうえで、割増賃金と同じように上乗せで手当を支給するという意味ではなく、本来業務とは別に宿日直勤務に就くので、通常の賃金とは別に相当の手当が必要」ということです(昭和35.8.25 基収第6438号)。Fotolia_87820311_XS

 宿日直は、常態として、ほとんど労働する必要のない勤務のみを認めるものであり、定時的巡視、緊急の文書又は電話の収受、非常事態に備えて待機する等を目的とする者に限って許可されます。休日・深夜の出勤を義務付けるとしても、手当の支払いのみで足りるのです。

 ただし、宿日直勤務に関しては労働時間・休日に関する規制は及びませんが、深夜業の規定だけは適用があります。25%の割増賃金の支払い義務があります。

 この点については、「宿直手当(深夜割増賃金を含む)1回について1人1日平均額の3分の1(以上)」であれば、法律の要件を満たすという扱いになっています。宿直手当は、あらかじめ深夜割増込みで定めるとよいでしょう。

 

では、寮の管理人の場合はどうだろう?

 労働基準法第41条は、「労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない」として、その 1 に「断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの」(同法第3号)をあげています。

 上記の「断続的」労働従事者とは、「休憩時間は少ないが、手待時間が多い者」をさすものとされています(昭22.9.13発基17号、昭63.3.14基発150号)。

 断続的労働に該当するかどうかの判断基準は、同通達では、「概ね次の基準によって取扱うこと」として、
(1) 修繕係等通常は業務閑散であるが、事故発生に備えて待機するものは許可すること。
(2) 寄宿舎の賄人等については、その者の勤務時間を基準として作業時間と手待時間折半の程度まで許可すること。

 寮の管理人が、上記の判断基準に合致する場合には、断続的労働従事者と認められるものと思われます。所轄の労働基準監督署長に許可の申請をして、許可を受ければ、労働時間等の規制を受けないことになります。

 

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