悪性新生物
悪性新生物とは、神経節腫(神経節細胞腫)、乏突起神経膠腫(乏突起膠腫)性索間質性腫瘍、骨肉腫、神経節芽腫、血球貪食性リンパ組織球症、Tリンパ芽球性リンパ腫、若年性骨髄単球性白血病、急性前骨髄球性白血病、悪性腫瘍のことです。
細胞が何らかの原因で変異して増殖を続け、周囲の正常な組織を破壊する腫瘍です。癌や肉腫などがこれに入ります。
癌の場合、障害年金の申請ができるのは、臓器を取った、人工肛門を造設したなど、明らかに身体の機能が変わった場合だけではありません。
・抗がん剤使用の副作用で吐き気がひどく、自分で身の回りのことが出来ない
・抗がん剤治療後、出勤回数を減らして仕事に復帰したが、治療前の3割程度しか働けない
など、その原因ががんの治療によるものであることが明らかであり、生活や仕事に支障をきたしている場合も対象となります。
悪性新生物の疾患一覧
大分類 |
細分類 (疾患名) |
1 白血病 |
1. 前駆B細胞急性リンパ性白血病 |
2. 成熟B細胞急性リンパ性白血病 | |
3. T細胞急性リンパ性白血病 | |
4. 急性骨髄性白血病、最未分化 | |
5. 成熟を伴わない急性骨髄性白血病 | |
6. 成熟を伴う急性骨髄性白血病 | |
7. 急性前骨髄球性白血病 | |
8. 急性骨髄単球性白血病 | |
9. 急性単球性白血病 | |
10. 急性赤白血病 | |
11. 急性巨核芽球性白血病 | |
12. NK(ナチュラルキラー)細胞白血病 | |
13. 慢性骨髄性白血病 | |
14. 慢性骨髄単球性白血病 | |
15. 若年性骨髄単球性白血病 | |
16. 1から15までに掲げるもののほか、白血病 | |
2 骨髄異形成症候群 |
17. 骨髄異形成症候群 |
3 リンパ腫 |
18. 成熟B細胞リンパ腫 |
19. 未分化大細胞リンパ腫 | |
20. Bリンパ芽球性リンパ腫 | |
21. Tリンパ芽球性リンパ腫 | |
22. ホジキン(Hodgkin)リンパ腫 | |
23. 18から22までに掲げるもののほか、リンパ腫 | |
4 組織球症 |
24. ランゲルハンス(Langerhans)細胞組織球症 |
25. 血球貪食性リンパ組織球症 | |
26. 24及び25に掲げるもののほか、組織球症 | |
5 固形腫瘍(中枢神経系腫瘍を除く) |
27. 神経芽腫 |
28. 神経節芽腫 | |
29. 網膜芽細胞腫 | |
30. ウィルムス(Wilms)腫瘍/腎芽腫 | |
31. 腎明細胞肉腫 | |
32. 腎細胞癌 | |
33. 肝芽腫 | |
34. 肝細胞癌 | |
35. 骨肉腫 | |
36. 骨軟骨腫症 | |
37. 軟骨肉腫 | |
38. 軟骨芽細胞腫 | |
39. 悪性骨巨細胞腫 | |
40. ユーイング(Ewing)肉腫 | |
41. 未分化神経外胚葉性腫瘍(末梢性のものに限る) | |
42. 横紋筋肉腫 | |
43. 悪性ラブドイド腫瘍 | |
44. 未分化肉腫 | |
45. 線維形成性小円形細胞腫瘍 | |
46. 線維肉腫 | |
47. 滑膜肉腫 | |
48. 明細胞肉腫(腎明細胞肉腫を除く) | |
49. 胞巣状軟部肉腫 | |
50. 平滑筋肉腫 | |
51. 脂肪肉腫 | |
52. 未分化胚細胞腫 | |
53. 胎児性癌 | |
54. 多胎芽腫 | |
55. 卵黄嚢腫(卵黄嚢腫瘍) | |
56. 絨毛癌 | |
57. 混合性胚細胞腫瘍 | |
58. 性索間質性腫瘍 | |
59. 副腎皮質癌 | |
60. 甲状腺癌 | |
61. 上咽頭癌 | |
62. 唾液腺癌 | |
63. 悪性黒色腫 | |
64. 褐色細胞腫 | |
65. 悪性胸腺腫 | |
66. 胸膜肺芽腫 | |
67. 気管支腫瘍 | |
68. 膵芽腫 | |
69. 27から68までに掲げるもののほか、固形腫瘍(中枢神経系腫瘍を除く) | |
6 中枢神経系腫瘍 |
70. 毛様細胞性星細胞腫 |
71. びまん性星細胞腫 | |
72. 退形成性星細胞腫 | |
73. 膠芽腫 | |
74. 上衣腫 | |
75. 乏突起神経膠腫(乏突起膠腫) | |
76. 髄芽腫 | |
77. 頭蓋咽頭腫 | |
78. 松果体腫 | |
79. 脈絡叢乳頭腫 | |
80. 髄膜腫 | |
81. 下垂体腺腫 | |
82. 神経節膠腫 | |
83. 神経節腫(神経節細胞腫) | |
84. 脊索腫 | |
85. 未分化神経外胚葉性腫瘍(中枢性のものに限る)(中枢神経系原始神経外胚葉性腫瘍) | |
86. 異型奇形腫瘍/ラブドイド腫瘍(非定型奇形腫様ラブドイド腫瘍) | |
87. 悪性神経鞘腫(悪性末梢神経鞘腫瘍) | |
88. 神経鞘腫 | |
89. 奇形腫(頭蓋内及び脊柱管内に限る) | |
90. 頭蓋内胚細胞腫瘍 | |
91. 70から90までに掲げるもののほか、中枢神経系腫瘍 |
癌(がん)による障害年金の認定は、悪性新生物そのものによって生じる障害だけではなく、治療の副作用などによって生じる障害も、障害年金の対象になります。
癌(悪性新生物)による障害年金の認定基準は次の3つに区分されます。
・悪性新生物そのもの(原発巣、転位巣を含む)によって生じる局所の障害
・悪性新生物そのもの(原発巣、転位巣を含む)による全身の衰弱又は機能の障害
・悪性新生物に対する治療の効果として起こる全身衰弱又は機能の障害
癌そのものに加えて、抗ガン剤などの治療の副作用についても障害年金の対象となります。
障害年金の審査では、癌によって日常生活がどれだけ制限されているかが認定のポイントとなっています。
・入院を繰り返している
・自宅での安静を指示されている
・余命宣告されている
・癌が複数の器官に転移している
といったときも、障害年金の2級以上が認定されるケースがあります。
原発性の癌(元々の癌)の場合は、他の部位の癌との相当因果関係は認められません。
転移性の癌の場合は、他の部位の癌との相当因果関係が認められる可能性があります。
癌の認定は、末期がんでなければ認定されないことが多いと言えます。
1級とは、入院中でベッドから起き上がることもままならない状態。
2級は抗がん剤の服用等の治療による全身衰弱や身体機能障害で日常生活が自力ではできない、外出も自力では困難な状態。
3級は、通常勤務が不可能な方が想定できるが、ガン闘病中の方で会社を退職せざるを得なかった方でも、治療の効果等から自覚症状や検査数値等が病状の深刻さと比例しないことが多く、単に就労していないかのような状態と判断されることが多いものです。
病状は重篤でなくても抗がん剤治療の最中で、発熱、疲労感、易感染症がみられる場合は3級に認定されるケースが多くなっています。
原発性の癌(元々の癌)の場合は、他の部位の癌との相当因果関係は認められません。
転移性の癌の場合は、他の部位の癌との相当因果関係が認められる可能性があります。
肝癌などの肝疾患による障害の程度は、自覚症伏、他覚所見、検査成績、一般状態、治療及び病状の経過、具体的な日常生活状況等により、総合的に障害年金の認定がされます。
障害年金の審査では、癌によって日常生活がどれだけ制限されているかが認定のポイントとなります。 また自覚症状がどれだけ出ているかも重要です。全身衰弱、倦怠感、発熱、痛み、易感染症など、癌による(または薬の副作用による)症状がある場合は、医師にすべて記入してもらいます。
悪性新生物そのものによるか、または悪性新生物に対する治療の結果として障害を有した場合は、各々の障害ごとの認定要領によるとされており、各々の障害の部位毎の診断書によることとなります。
診断書は「その他の障害用」の診断書を使用しますが、癌が原因で肢体や他の部分に障害が生じている場合などは「肢体の障害用」等の診断書を一緒に提出します。
○食道がん
食道がんとは、喉仏の下~胃の上部までの食道に発生する癌の総称です。普段、食べたものや飲んだものがここを通過することから比較的その働きがイメージしやすい臓器ではありますが、食道の周りにはリンパ管や血管が張り巡っており、気管、頚椎、頚動静脈、胸椎、肺、大動脈など重要な臓器が多く隣接しているため、大変転移しやすい癌でもあります。
がんによる痛みなどにより、一日のほとんどを寝たきりですごしたり、身の周りのことができずに介助を必要としたりする状態であれば、障害年金の対象となる可能性があります。
抗がん剤などの治療により、全身が著しく衰弱してしまっている場合、障害年金の対象となる可能性があります。
○悪性黒色腫(メラノーマ)
悪性黒色腫とは、皮膚や皮下組織、口の中や眼窩内に発生する悪性腫瘍です。皮膚や組織に対しての慢性的な紫外線曝露や繰り返し何らかの刺激を受けたことによって発生の可能性が高まるのではないかと考えられています。
悪性黒色腫が発生した部分のみにとどまらず、離れた組織に転移してしまっている場合、予後不良と診断されてしまった場合は障害年金の受給対象となる可能性があります。
抗がん剤などの治療によって全身の衰弱が著しく、日常生活に他人の介助が必要である場合は障害年金の受給対象となる可能性があります。
○子宮頸がん
子宮頸がんとは、子宮の入り口にあたる子宮頸部という部分にがんができる病気です。婦人科の診察で比較的発見しやすいがんで早期発見であれば予後の良いがんでもありますが、進行してしまうと治療が難しく、生命を脅かすがんとなる可能性があります。この病気の原因は性交渉などで感染するヒトパピローマウイルス(HPV)がほとんどとされています。初期は無症状ですが、進行すると出血することがあります。
がんによる痛みなどにより、一日のほとんどを寝たきりですごしたり、身の周りのことができずに介助を必要としたりする状態であれば、障害年金の対象となる可能性があります。
抗がん剤などの治療により、全身が著しく衰弱してしまっている場合、障害年金の対象となる可能性があります。
○乳がん
乳がんとは、乳線などの乳房の組織の細胞ががん化し、増殖する病気です。 乳房部分にしこりができるため、自分で触診して発見するケースも多くあります。また、乳がんの種類によっては乳房の周りのリンパ節や、乳房から離れた臓器に遠隔転移することもあります。
がんによる痛みなどにより、一日のほとんどを寝たきりですごしたり、身の周りのことができずに介助を必要としたりする状態であれば、障害年金の対象となる可能性があります。
がんが乳房だけでなく、別の場所に転移している場合は受給対象となる可能性が高いです。
抗がん剤などの治療により、全身が著しく衰弱してしまっている場合、障害年金の対象となる可能性があります。
○膀胱がん
膀胱がんとは、膀胱にできる腫瘍のことで、この膀胱にできる腫瘍のほとんどは悪性であり、女性に比べて男性の発症が多い傾向にあります。症状としては血尿が出ることで健康診断などで発見されるケースが多いです。手術によってがんを摘出しても、再発の可能性が高いため注意が必要です。
傷病によって、新膀胱を造設した場合、障害等級3級に認定されます。新膀胱の場合は、初診日から1年6ヵ月を待たずして障害年金の申請をすることができます。(造設日が障害認定日 ※ただし、1年6ヵ月を経過した後に申請する場合は、1年6ヶ月が経ったその日が障害認定日となります)
がんの悪化により全身状態が悪く、身のまわりのことが他人の援助なしにはできない、また、長期的な安静を必要とする場合は、障害年金が受給できる可能性があります。
○直腸がん
直腸がんとは、大腸のうちの直腸(直腸S状結腸部、上部直腸、下部直腸)の組織内にがんができる病気です。直腸は便をためる機能があり、骨盤の内側にあるため、手術の際に膀胱や性器に影響があったり、肛門機能を担っている肛門括約筋を温存することができない場合があります。進行するにつれてリンパ節や肝臓、肺などの臓器に転移します。
直腸がんやその治療によって日常生活に支障がある場合や、永久ストーマを造設した場合に、障害年金の対象となる可能性があります。
がんの悪化により全身状態が悪く、身のまわりのことが他人の援助なしにはできない、また、長期的な安静を必要とする場合は、障害年金が受給できる可能性があります。
身のまわりのことはできるが、日中の半分以上は就床している
がんやその治療によって日常生活や労働に制限がある場合は、障害年金の対象となる可能性があります。
治療の際、やむなく肛門機能を廃し、人工肛門に置き換える場合があります。その場合、永久造設のストーマであれば3級の障害年金を受給することができます。また、新膀胱も造設した場合は、2級以上となる可能性があります。
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