守秘義務
在職中に身につけた技術やノウハウのすべてに守秘義務を強制しますと、労働者は職業生活で身に付けた知識、経験、技能、人脈等を生かして転職をすることが不可能となり、職業選択の自由、営業の自由を不当に侵されることになります。しかし、一方では、企業にはさまざまなノウハウや顧客情報、開発中の製品情報等の営業秘密が存在していますので、企業独自のノウハウや技術等については一定の範囲で退職後も守秘義務を課すことが認められるものと考えられます。
会社側としては、退職後も守秘義務があることを就業規則に定めます。
退職時に秘密保持誓約書を取るのは困難なケースが多いので、「誓約書」は入社時にとるとよいでしょう。その誓約書の中では損害賠償等についても定めておきます。
また、特に必要のある者については、退職後の守秘義務契約や競業避止契約を退職時に結ぶのがよいでしょう。そして、これらの誓約に違反したときは、損害賠償請求をすることがある旨を付記しておくとよいでしょう。
就業規則規定例 1 第○条(秘密保持義務) |
就業規則規定例 2 第○条(退職後の秘密保持義務) 2 退職した従業員が企業の機密を漏洩した場合は、退職金の全部又は一部の返還を求めることがある。 |
誓約書の記載事例 このたび、私は貴社の業務を行うにあたり、次の事項を誠実に守り、決して貴社にご迷惑をおかけないように誓約いたします。 (1)就業規則を遵守し、職務上に関すると否と問わず、知り得た貴社の『営業秘密』を貴社の許可なく第三者等に開示、漏洩してはならない。 (2)営業秘密においては、貴社を退社した後も貴社の許可なく第三者等に開示、漏洩してはならない。 (3)前各号に違反して、貴社の営業秘密を貴社の許可なく第三者等に開示、漏洩もしくは使用した時は、法的な責任を負い、貴社の被った一切の損害を賠償すること。 |
「個人情報保護法の施行」(平成17年4月1日)に伴い、個人情報管理の規定を定めることが必要となりました。
服務規律の中への追加、制裁の条文の中への追加が必要です。
就業規則規定例 従業員は、会社が保有する個人情報を会社の業務の目的の範囲外で利用し、または第三者に開示・漏洩し、或いは第三者の知り得る状況に放置するなどの不適切な管理や、権限を有しない他の従業員に取り扱いをさせるなどしてはならない。 なお、従業員は、当該情報等を厳重に管理しなければならない。 |
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