遷延性植物状態
遷延性植物状態とは、外傷や脳内での出血などによる脳の損傷により、重度の昏睡状態に陥ってしまった状態のことで、いわゆる植物状態とよばれるものである。
日本脳神経外科学会による定義(1976年)によると、
1. 自力移動が不可能である
2. 自力摂食が不可能である
3. 糞・尿失禁がある
4. 声を出しても意味のある発語が全く不可能である
5. 簡単な命令には辛うじて応じることも出来るが、ほとんど意思疎通は不可能である
6. 眼球は動いていても認識することは出来ない
以上6項目が、治療にもかかわらず3ヵ月以上続いた場合を「遷延性意識障害」という。
思考と行動を制御している大脳が機能しないものの、睡眠サイクル、体温、呼吸、血圧、心拍を制御している視床と脳幹が機能している状態です。頭部外傷、酸素欠乏、髄膜炎や脳炎などの重症な脳感染症によって、脳が重度の損傷を受けると、植物状態になることがあります。
植物状態にある人は、自発的に眼を開けます。また、比較的正常な睡眠覚醒パターンがみられます。呼吸をしたり、吸ったり、かんだり、せきをしたり、むせたり、飲み込んだりすることができます。場合によっては、大きい音に反応して、ビクッとすることもあります。そのため、意識があるように見えることもあります。しかし、認識、思考、意識的な行動の能力はすべて失われています。周囲に対する見かけ上の反応は、反射の結果です。植物状態の人の多くに、腕や脚のこわばりや引きつりなどの明らかな異常反射が起こります。
2~3ヵ月以上植物状態が続いた場合、意識の回復はまず見込めません
なお、2~3ヵ月後に意識が回復した人のほとんどは重い障害が残ります。