メニエール病
メニエール病(内リンパ水腫とも呼ばれる)は、日常に支障を来すような回転性めまい(自分や周囲がぐるぐる回るような感覚)の発作が繰り返し起こり、聴力低下や耳鳴りを伴う病気である。
この病気は、内耳の液体が正常に存在している量のバランスが崩れることで起こると考えられています。
液体は分泌と再吸収が絶えず行われて、一定量に保たれています。ところが液体の産生量が増えるか再吸収量が減ると、この均衡が崩れます。
メニエール病の症状
主な症状として、めまい、耳鳴り、難聴などの症状があります。
反復した経過があれば診断は容易ですが、症状のない初期の段階での診断は必ずしも容易ではなく、初回発作時ではめまいを伴う突発性難聴との鑑別が困難な場合もあります。
発症した側の耳に、閉塞感や圧迫感が周期的に生じます。聴力にはよく変動がみられますが、数年かけて徐々に悪化していきます。耳鳴りは常に聞こえる場合も断続的に生じる場合もあり、回転性めまい発作の最中や前後に悪化することがあります。難聴や耳鳴りは、普通は片側の耳だけに起こります。
あるタイプのメニエール病では、数ヵ月または数年ごとの最初の回転性めまい発作の前に難聴と耳鳴りが起こります。回転性めまい発作が起こりはじめると聴力が改善する場合があります。
メニエール病の特徴はめまいで、ぐるぐると回転するようなめまいが生じます。 このめまいは突然始まって、めまいに伴い吐き気、耳鳴り、難聴などがみられます。 メニエール病の耳鳴りは低い「ブーン」といった音が特徴的です。 めまいはぐるぐる回る回転性のめまいで、ひどいときは立つことができなくなり、吐き気・嘔吐を伴うことがあります。このようなめまいは耳鳴り、難聴、耳閉感から始まり、めまいが起こることが多いです。めまい発作は数日で治まりますが、何回も繰り返すと難聴が治まらない可能性もあります。
症状としては、明らかな原因もなく日常に支障を来す重度の回転性めまいが突然生じ、吐き気や嘔吐を伴います。このような症状の持続時間は通常は2~3時間ですが、まれに最長で24時間も続くことがあります。
メニエール病とは、耳のかたつむり管(音を感じる部分)の内リンパ液の異常により、めまい、耳鳴り、難聴といった三大症状がみられます。メニエール病は男女に関係なく30代~40代に多くみられます。
原因
メニエール病の原因としては、自律神経障害による内耳の循環障害によって引き起こると考えられています。また、ストレスや睡眠不足も関与しているといわれています。
「内リンパ水腫(内耳のリンパが増え、水ぶくれの状態)」である。その根底には、ストレス・睡眠不足・疲労・気圧の変化・几帳面な性格などがあると考えられている。
内耳には、 ①聞こえの細胞が詰まっている蝸牛 ②平衡機能を司る三半規管と耳石器 があります。この両方もしくはどちらか一方が強く水ぶくれになるかにより症状が異なります。
蝸牛が強く水ぶくれになれば、めまいは感じず難聴だけを自覚します。 水ぶくれが弱ければ難聴を自覚せず、「耳が詰まった感じ」や「耳鳴り」、「音が響く感じ」のみ出現する場合もあります。三半規管・耳石器が強く水ぶくれになれば、難聴や「耳が詰まった感じ」などは感じず、めまいのみを自覚します。めまいの強さも「グルグル回転する激しい」ものから、「フワフワ雲の上を歩いている感じ」のものまでさまざまです。めまいの持続時間は10分程度から数時間程度であることが多く、数秒~数十分程度のきわめて短いめまいが主である場合、メニエール病は否定的です。
メニエール病(内リンパ水腫とも呼ばれる)は、内耳の液体が正常に存在している量のバランスが崩れることで起こると考えられています。液体は分泌と再吸収が絶えず行われて、一定量に保たれています。ところが、液体の産生量が増えるか再吸収量が減ると、この均衡が崩れます。なぜ産生量や吸収量が変化するのかはわかっていません。
診断
メニエール病は「くり返す」エピソードがあって初めて診断できます。従って十分な問診が大事です。めまいの診察では体のバランスを調べる検査(目を閉じて足踏みしてもらう検査などがあります)や眼振検査(目の動きの異常を調べる検査)を行います。聴覚症状に対しては耳内を観察し、聴力検査を行います。
症状がめまいのみでも、隠れた難聴がある場合を想定して聴力検査を行う必要があります。逆に聴覚症状のみでも、隠れためまいがないか眼振検査を行う場合があります。 中枢性疾患の除外には、他の脳神経症状がないか神経学的診察も欠かせません。体のバランスを調べる検査で小脳や脳幹の障害が発見される場合があります。
「めまい=メニエール病」と考えがちですが、メニエール病には厳密な診断基準があります。
メニエール病の診断基準は「難聴、耳鳴り、耳が詰まる感じなどの聴覚症状を伴うめまい発作を反復する」である。重要なのは「反復する」という点です。めまい発作や難聴発作が1回起きただけではメニエール病とは診断できない。この診断基準を満たし、かつ、類似の他の病気を除外できたものを「メニエール病確実例」と診断する。
聴覚症状のみ、めまいのみをくり返すタイプは「メニエール病非定型例」と診断します。非定型例は確実例よりさらに除外しなければならない病気が多く、厳密な検査と経過観察をすることが推奨されています。
その他に外リンパ瘻、内耳梅毒、聴神経腫瘍、小脳・脳幹を中心とした中枢性疾患など原因既知の疾患もメニエール病と類似の症状を呈し、鑑別が必要です。
症状のない初期の段階での診断は必ずしも容易ではなく、初回発作時ではめまいを伴う突発性難聴との鑑別が困難な場合もあります。
メニエール病の検査
目振検査、平衡機能検査、グリセロールテスト、聴力検査、フロセマイドテスト など
通常、聴力検査を行い、ときにはMRI(磁気共鳴画像)検査も実施します。
めまい、耳鳴り、難聴の3症状が繰り返し起こると、メニエール病の診断は容易です。聴力検査では、低音域の感音難聴が確認されることがあります。
メニエール病では聴力検査で低音部の難聴がみられます。平衡機能検査とは、目を閉じて字を書いて左右に文字が傾くか調べたり、目を閉じたまま足ふみを行ってバランス感覚を調べます。 グリセオール試験や、フロセミド試験、蝸電図では、内耳に余分なリンパ液が貯まっていないか確認します。 グリセロールテストとは、グリセロールを内服した後で聴力が改善されるか検査します。メニエール病の難聴はグリセロールで改善されるため、グリセロールテストが用いられます。フロセマイドテストとは、フロセマイドを注射した後に眼振が改善されるか検査します。
治療
薬物療法では、抗めまい薬、抗ヒスタミン剤、精神安定剤、ビタミン剤などがよく使われます。このような薬物療法でもめまいが止まらない場合は、内リンパ圧を下げる手術を行うことがあります。
強い発作で嘔気が強く、薬を飲む事も出来ない時は安静の上でめまい止めの点滴を行います。内服が可能であれば、めまい止め・利尿剤を中心に抗不安薬や循環改善薬・ビタミン剤などを組み合わせて使用します。発作の初期に上手にめまい止めや抗不安薬などを用いることで、大きな発作の予防や症状の軽減を図る事ができます。
減塩食と利尿薬(尿の量を増やす薬)によって発作の頻度を減らせる場合もあります。
発作が起こったときには、メクリジン、ロラゼパム、スコポラミンなどの薬を内服すると、一時的にめまいが軽減する場合もあります。
吐き気や嘔吐は、プロクロルペラジンを含む坐薬で軽減できる場合があります。
薬物治療を行っても回転性めまいの発作が頻繁に起こり、日常生活に支障を来す場合にはいくつかの治療法があります。
治療は、内耳の液体の圧力を下げるか、内耳の平衡感覚機能を破壊することが目的となります。内リンパシャントは最も穏やかな処置で、しなやかな薄いプラスチック製シートを内耳に留置する方法です。ゲンタマイシン溶液を鼓膜から中耳へ注入し、内耳の平衡機能を低下させる方法もあります。ゲンタマイシンは聴力が低下する前に平衡機能を選択的に低下させますが、やはり難聴が生じるリスクはあります。ゲンタマイシンを1回だけ注入し、再度注入が必要な場合は数週間の間隔を空けてから繰り返すことで、難聴が生じるリスクを下げることができます。
内耳前庭神経を切断すると内耳の平衡機能が永続的に破壊されますが、聴力は残り、回転性めまいも95%はコントロールできます。この処置は通常、内リンパシャントの実施後も症状の改善がみられない場合や、回転性めまいを完全になくしたい場合に行われます。
めまいが日常生活に支障を来すほど激しく、発症している側の耳ですでに著しく聴力が損なわれている場合には、迷路摘出術という処置で半規管を取り除く方法があります。
このような回転性めまいに対する外科的治療法のいずれも、メニエール病にしばしば伴う難聴の治療には効果がありません。
しかし、メニエール病にはストレス・睡眠不足・疲労が関与していると考えられており、薬による治療だけでは根本的な治療にはなりません。「薬によって症状を抑える事が出来る」事で少し安心しつつ、ゆっくりとストレスの原因を見つめ直したり、生活習慣を正すことが必要です。
回転性めまいと、片側の耳の耳鳴りと難聴という典型的な症状がみられれば、メニエール病が疑われます。通常聴力検査を行い、ときにはほかの原因がないか調べるためにMRI検査を実施することもあります。減塩食と利尿薬(尿の量を増やす薬)によって発作の頻度を減らせる場合もあります。