関節リウマチ

 関節リウマチは、関節(普通は手や足の関節を含む)が炎症を起こした炎症性関節炎で、関節に腫れと痛みを生じ、しばしば関節が破壊されます。

 免疫の異常によるもので、関節の腫れや痛みを生じそれが続くと関節の変形をきたします。

 関節が腫(は)れて、痛みをともないます。手首や手足の関節で起こりやすく、左右の関節で同時に症状が生じやすいことも特徴です。また、熱が出たり、疲れやすい、食欲が無いなどの症状があらわれます。

 関節の炎症が、肺や血管など全身に広がることもあります。

 リウマチ スピリチュアルな観点

 関節リウマチは世界の全人口の約1%にみられる病気で、人種や出身国にかかわらず、女性の方が男性よりも2~3倍多く発症しています。通常なら関節リウマチは35~50歳で発症しますが、どの年齢層でも発症する可能性があります。関節リウマチに似た病気は小児でも発症することがあります。その場合は若年性特発性関節炎と呼ばれ、その症状と予後(経過の見通し)は多少異なります。

 日本の関節リウマチの患者数は約50万人であると推測されています。これは全人口の0.3~0.5%にあたる値です。また、新たに関節リウマチを発症する患者は約2~4万人といわれています。

 関節リウマチはどの年齢層でも発病する可能性のある病気です。発病する年齢層は20~50歳が多く、特に40歳代が最も多いとされています。さらに性別で比較した時、女性での発病が男性よりも3~4倍多いこともわかっています。  免疫機構が、関節と結合組織に損傷を与えます。

 関節(一般には手足の小さな関節)が痛くなり、起床時やしばらくじっとしていた後に60分以上こわばります。

 発熱、筋力低下、その他の器官への損傷が起こることがあります。

 

症状

 関節リウマチの患者は、ゆるやかな経過をたどります。長期間寛解状態(病気が不活動状態)にあってときに急に再燃したり、ゆっくりまたは急激に着実に進行したりします。関節リウマチは、突然、同時に多くの関節が炎症を起こして始まることがあります。多くの場合は、漠然と始まり、徐々に異なる関節を侵していきます。通常、炎症は対称的に起こり、体の両側の関節がだいたい同程度に影響を受けます。一般には、最初に手指や足指、手、足、手首、ひじ、足首などの小さな関節に炎症が起こります。炎症を起こした関節は普通は痛みがあり、特に朝起きたとき(こわばりは一般的に少なくとも60分以上続く)や、しばらくじっと動かないでいた後にしばしばこわばり感があります。疲れやすさや脱力感を、特に午後の早い時間に感じる人もいます。関節リウマチでは食欲減退、体重減少、微熱などがみられることがあります。

 影響を受けた関節は、腫れた軟部組織や、時には関節内の液体が原因で、圧痛、熱感、発赤、肥厚します。関節は急速に変形することもあります。関節がある位置で固まってしまい、十分に曲げたり伸ばしたりすることができなくなります。手の指は正常な位置よりもわずかに各手の小指側に傾き、指の腱は元あった位置からずれてしまいます。

 手首の腫れが神経をはさんでしまうと、手根管症候群によるしびれやチクチク感が生じることがあります。炎症を起こした膝の裏に嚢胞ができ、これが破れると膝から下に痛みや腫れが生じます。関節リウマチの患者の最大30%は、皮膚のすぐ下に硬い隆起(リウマチ結節)が認められ、普通は圧力が加わりやすい部位にできます(前腕の外側のひじ関節付近など)。

 まれに、関節リウマチは血管の炎症を起こします。この状態は組織への血液供給を減少し、神経の損傷や脚のびらん(潰瘍)を引き起こします。肺を覆っている膜(胸膜)もしくは心臓を取り囲んでいる袋(心膜)の炎症、または肺や心臓の炎症と瘢痕化により、胸痛や息切れが生じることがあります。一部の人ではリンパ節の腫れ;眼、口、腟の乾燥、またはそれらの組合せから成るシェーグレン症候群;炎症による眼の充血や痛み(上強膜炎)が認められます。

 関節リウマチの症状は、まず全身の関節にこわばり、痛み、はれを感じます。特に朝のこわばりはリウマチ特有の症状です。起床時に手指などの関節がこわばって動かしにくい、なんだかぎこちないといった自覚症状を認めます。ただ、温めたり動かしたりすると数分〜数時間で消えていきます。 このこわばり感に引き続いて関節症状が現れます。痛みだけではなく、関節のはれや発赤、熱感、運動の際感じる痛み、関節液が溜まる等の症状を伴います。関節炎は左右対称で感じ、痛みが移動することもあります。その際は手や指、足、膝などの関節に生じます。  また、先の症状の他に微熱、食欲減退、全身倦怠感などの症状や、目や口の乾き、乾いた咳、運動時に息が苦しくなる等の症状をしばしば伴います。

 

原因

 原因は免疫のはたらきの異常と考えられています。免疫は、体内に侵入してきた細菌やウイルスなどを攻撃し、自分のからだを正常に保つはたらきをしています。関節リウマチは、免疫がまちがって自分自身の細胞を攻撃してしまうことで、関節の細胞に炎症が起こり、腫れ(はれ)や痛みが起こります。関節で炎症が続くと、関節の周囲を取り囲んでいる滑膜が腫れ、骨や軟骨をこわしていきます。

 関節リウマチは自己免疫疾患であると考えられています。免疫系を構成している成分が関節の内側の軟部組織を攻撃し、さらに血管や肺のような、その他の体の多くの部位の結合組織をも攻撃することがあります。やがて、関節の軟骨、骨、靭帯は破壊され、関節の変形、不安定化、瘢痕(はんこん)化が起こります。関節が変性していく速さはさまざまです。遺伝的素因など多くの因子が病気のパターンに関与しています。未知の環境要因(ウイルス感染など)も一部の役割を担っていると考えられます。

 

診断

 症状の重要な特徴的パターンに加えて、医師は以下のような方法で診断をサポートします。臨床検査、針で吸引した関節液の検査、リウマチ結節の生検(顕微鏡下で観察するため組織の一部を採取する)。X線検査でも関節の特徴的な変化がみられます。MRI(磁気共鳴画像)検査は感度が高く、関節の異常を早期に検出できると考えられますが、通常は診断に必要ではありません。

血液検査:

 関節リウマチ患者の10人中9人に赤血球沈降速度(ESR:垂直に立てた試験管内の血液中で赤血球が沈む速度を測定する検査)の上昇がみられ、これは活動性の炎症が起きていることを示唆しています。ただし、ESRの上昇は、その他の多くの病気でも同様にみられます。医師はESRをモニタリングして、病気が活動性であるかどうかを調べることがあります。

 関節リウマチ患者の多くは、血液中にリウマチ因子などの特有の抗体があり、関節リウマチ患者の70%にリウマチ因子が存在します。(リウマチ因子は、肝炎やその他の一部の感染症など、いくつかの病気でも生じます。病気を示す所見がなくても血液中にリウマチ因子を持っている人もいます。)通常は、血液中のリウマチ因子が高値であればあるほど関節リウマチも重症であり、その予後は不良となります。リウマチ因子の値は関節の炎症が治まるにしたがって減少します。

 抗環状シトルリン化ペプチド(抗-CCP)抗体は関節リウマチ患者の96%に存在し、関節リウマチにかかっていない人にはほとんど常に存在しません。したがって、関節リウマチの診断に役立てるために抗-CCP抗体検査が使用されるようになっています。

 多くの人は軽度の貧血を起こします。まれに白血球数が異常に少なくなることがあります。関節リウマチ患者の、白血球数が少なく脾臓の腫大が認められる病態をフェルティ症候群といいます。

 診断は主に症状に基づいて行いますが、血液検査のリウマチ因子やX線像も参考にします。

 関節リウマチの診断基準には米国リウマチ学会のものが使用されます。この診断基準には7項目あり、医師の慎重な判断が必要とされます。

 

予後(経過の見通し)

 関節リウマチの経過は予測できません。最初の6年間、それも特に最初の年は病気の進行が非常に速く、10年以内に患者の80%において、永久的な関節異常が発症します。関節リウマチは平均余命を3~7年短縮すると考えられています。心疾患、感染症、消化管出血、薬物療法、癌、その他の基礎疾患が原因で起こることがあります。まれに、関節リウマチは自然に症状がなくなることもあります。

 

 治療により4人中3人は症状が軽減しますが、十分な治療にもかかわらず少なくとも10%は、やがては重い機能障害を伴います。

 予後が良くないことを予想させる傾向のある要因は次のとおりです。
 ・リウマチ結節がある
 ・発症したときに高齢である
 ・20以上の関節が炎症を起こしている
 ・ESRの数値が高い
 ・リウマチ因子または抗-CCP抗体が高値である

関節リウマチの治療 に続く