産前・産後の休暇

 産前・産後休暇は法律で定められていますので、産前の休暇は本人の請求があった場合、必ず与えなければなりません(労働基準法第65条)。

 産前休業は出産予定日を含んで6週間(多胎妊娠は14週間)以内に出産予定の者が請求したときは休業させること。母性保護の観点から就業させることができません。

 出産の範囲は、妊娠4ヵ月以上(1ヵ月は28日として計算しますので、4ヵ月以上というのは、28日 × 3ヵ月 + 1日 = 85日以上のことになります)の分娩とし、死産も含まれます。また、出産当日は産前に含まれます。

 なお、6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内に予定されていた出産が予定よりも遅れた場合は、予定日から出産当日までの期間は産前の休業に含まれます。

 

 産後休業は出産後8週間は休業させること。

 産前の休業については、女性からの請求が条件となっていますが、産後の休業は8週間を経過しない女性を請求の有無にかかわらず就業させてはなりません

 ただし、産婦の健康状態は個人によって異なるので、産後6週間を経過しており、かつ、労働者の請求を条件として医師が差し支えないと認めた業務に限り就業させることが認められます。使用者は、産後6週間を経過しない女性について、当該女性が就労を請求した場合であってもその者を就労させてはなりません。a1380_001602

 使用者は、妊娠中の女性が請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させなければなりません。このような場合には、当然に賃金が低下することが考えられます。賃金が低下するならば、その旨を規定する必要があります。軽易な業務とは、原則として女性が請求した業務に転換させる趣旨であり、新たに軽易な業務を創設して与える義務はありません

 

 産前産後の女性が休業する期間については、本規定のほか、次のような保護が与えられます。

(1) 産前産後の休業期間中の賃金については、規定で定められていませんので、労働協約、就業規則等で定めるところにより、有給、無給のいずれでも差し支えありません。(通常無給扱いとなります。)

 どちらにしても、はっきり就業規則に規定しておく必要があります。

 無給であれば、健康保険法により標準報酬日額の3分の2に相当する金額が出産手当金として支給されます。

(2) 平均賃金の計算にあたっては、この期間は計算の基礎から除外されるので、平均賃金が不当に低くなることはありません。

(3) 年次有給休暇における出勤率8割の算定において、休業期間は出勤したものとみなされます

(4) 本規定による休業期間中とその後30日間は、原則として解雇が制限されます。

 

産前産後の休業期間中の年次有給休暇の利用

 産前産後休業と年次有給休暇との関係について、産前休業と産後休業とで取扱いが異なります。

 産前休業については、これをとらず年次有給休暇を利用することが可能です。

 これに対し、産後休業の期間については、年次有給休暇の利用はできないと解されています。というのは、産前休業は、これを利用するか否かの判断が労働者本人に委ねられており、請求した場合のみ休暇が与えられるのに対し、産後の休業は本人の希望の如何や請求の有無に無関係で、産後8週間を経過していない限りその間は就業させることはできないという違いによるものです。

 

 出産に関しては、健康保険から「出産育児一時金」と「出産手当金」という手当が受けられます。

出産育児一時金 は こちらへ

出産手当金 は こちらへ

 

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