未成年者を雇用するときの注意点

 労働基準法では、その肉体的な面や精神的な面から保護が必要ということで、「未成年者(満20歳未満の者)」「年少者(満18歳未満の者)」「児童(満15歳に達した日以後の最初の3月31日までの者)」に区分して、通常の社員とは別な保護規定を設けています。

 

○未成年者(20歳未満)

 時間外労働や休日労働は、18歳以上の者にさせる事は可能です。ただし、「36協定」の締結及び届け出の必要があります。

 労働契約は本人と結ばなければなりません(労働基準法第58条)58条)。
 未成年者を雇う場合であっても、労働契約は本人と締結しなければなりません。親権者親権者もしくは後見人は、未成年者に代わって労働契約を締結することはできません。親との間で労働契約を結んでも、労働契約は成立しないこととなります。  
 また、未成年者が労働契約を締結するには、法定代理人(親権者または後見人)の同意が必要になります(民法5条)。  
 なお、未成年者が締結した労働契約が、本人にとって不利であると親権者、後見人または労働基準監督署長が認めた場合は、契約を解除することができます。

 賃金は本人に支払わなければなりません(労働基準法第59条)。
 未成年者は、独立して賃金を請求することができます。親権者や後見人が未成年者の賃金を代わりに受け取ることは、禁止されています。 なお、親権者等が代理に受け取った場合には、受け取った者が法違反となります。同時に、賃金を支払った使用者も労働基準法24条(賃金の直接払い)違反となります。

 

○年少者(18歳未満)

 1日8時間・1週40時間の法定労働時間が適用されます。36協定を締結しても、1日8時間、1週40時間を超えて働かせることはできません。

 変形労働時間制やフレックスタイム制などを採用している事業場でも、年少者に適用することはできません。変形労働時間制は適用されません(労働基準法第60条)。

 週44時間の特例が認められている事業場であっても、年少者には認められず、週40時間になります。
 ただし、次のいずれかの場合は、例外として認められています(児童を除く)。
(1) 1週の労働時間が40時間以内で、1週のうち1日の労働時間を4時間以内に短縮すれば、他の日の労働時間を10時間まで延長することができます。
 (2) 1週について48時間以内、1日について8時間以内であれば、1箇月単位の変形労働時間制または1年単位の変形労働時間制を適用できます。
(3) 災害等による臨時の必要がある場合で労働基準監督署長の許可を得た場合は、(または事後遅滞なく届出)時間外労働、休日労働させることができます。Fotolia_89434317_XS

 年少者を深夜(午後10時から午前5時)に働かせることは原則として禁止されています。
 ただし、次の場合は、例外として深夜に働かせることができます(労働基準法第61条)。
・交代制で勤務する16歳以上の男性
 交代制による事業で、労働基準監督署の許可を得た場合は、午後10時30分まで働かせることができます。
・農林水産業の事業、保健衛生業の事業、電話交代の業務
・災害などによる臨時の必要がある場合の時間外、休日労働

 年少者を雇った場合には、年齢を証明できるものを事業場に備え付けることが義務づけられています(労働基準法第57条)。氏名と生年月日を確認できる、「住民票記載事項証明書」備え付けがよいでしょう。

 

○児童(15歳に達した日以後の最初の3月31日までの者)

 原則として、児童(15歳に達した日以後の最初の3月31日までの者)を働かせることはできません(労働基準法56条)。ただし、非工業的事業で、健康や福祉に有害でない軽易な作業であれば、満13歳以上(映画の制作・演劇の事業では満13歳未満も)の児童を修学時間外に働かせることができます。この場合、所轄の労働基準監督署長の許可を得る必要があります。

 1日7時間を超えて働かせてはなりません(労働基準法第60条)。休憩時間を除き、就学時間を通算して1日7時間、1週間について40時間の労働が限度とされています。

 

分類

児童

(15歳に達した日以後の最初の3月31日までの者)

年少者

(18歳未満)

未成年者

(20歳未満)

20歳以上

労働の禁止

原則禁止

13歳以上 

軽易な作業は可

映画の制作・演劇の事業では満13歳未満も可

労働契約の締結

本人

本人

本人

本人

1日の最大労働時間

修学時間と合わせて7時間

8時間

例外あり

8時間+残業

8時間+残業

1週の最大労働時間

修学時間と合わせて40時間

40時間

例外あり

40時間+残業

40時間+残業

週44時間の特例

不可

不可

時間外労働

不可

不可

休日労働

不可

不可

深夜労働

不可

不可

例外あり

変形労働時間制

不可

不可

賃金の支払い

本人に支払う

本人に支払う

本人に支払う

本人に支払う

年齢を証明する書面の備え付け

必要

必要

不要

不要

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