心気症

 心気症は、「重病にかかっている」という恐怖感にとりつかれたり、「本当に自分は病気だ」と思いこんだりする障害です。

 このような感情は、正常な身体的感覚や軽度の身体症状の誤解に基づくことに起因することが多いようです。

 患者は、正常な身体機能の徴候である腹鳴や発汗などを、重い身体疾患だと思いこみます。

 綿密な医学的評価によって、症状の原因となる身体疾患や他の精神疾患がないと診断されても、依然として患者は不安にとらわれています。

 心気症は成人期初期に発症することが最も多く、男性にも女性にも同程度にみられます。

 

症状

 心気症は、異常や障害とは無関係の正常な身体機能や軽い身体症状を誤って解釈しがちです。

 心気症の症状には、腹部膨満、腹鳴、心拍の自覚、発汗、痛み、疲労感などが含まれます。患者は自分の症状を事細かに説明します。そのような症状が重い身体疾患の徴候だと考えます。たとえば、頭痛がすれば脳腫瘍だと考えがちです。症状が多大な苦痛を引き起こします。健康問題への不安が募るのにつれて、しばしば人間関係や仕事に支障が生じます。

 心気症患者は、医師が診察して病気を否定しても懸念が解消されず、医師が基礎疾患を見落としていると考えがちです。中にはうつ病や不安障害を併発する患者もいます。

 心気症はしばしば何年も持続します。患者によっては、症状が現れたり消えたりします。また、完全に回復することもあります。

 

治療

 心気症患者は体のどこかに重病が潜んでいると信じこんでいるため、治療は困難です。「心配の必要はない」と医師が伝えても、患者の不安は解消されません。ただし、親身になってくれる医師との支持的な信頼関係は有益で、特に定期的に受診していると効果が期待できます。症状にあまり改善がみられない場合は、かかりつけ医の治療を継続しながら、精神科医や他の精神医療の専門家を紹介してもらい、詳しい検査や治療を受けると有益なことがあります。

 抗うつ薬のセロトニン再取込み阻害薬による治療が有用な場合があります。認知行動療法でも症状が軽減されることがあります。

心気症 スピリチュアルな視点