職能資格制度 人事評価

 昇格するには、人事評価がどの程度でなくてはならないかを決めます。たとえば 「4等級に昇格するには、直近の人事評価A以上」という具合です。

 人事評価は直近の1回分だけを見ればよいのでしょうか?「たまたまうまくいった」ということが現実にはあり得るからです。しかし、あまり回数を多くしすぎて、過去の評価を引きずるのも問題です。「たまたま不幸にして大きなミスをしてしまった」ということが何年も前にあり、既にリカバリーしているにもかかわらず昇格できないということが起こるからです。人事評価は直近2年分程度を見るのが妥当なところでしょう。

 また、下位等級は直近1年だけにして、上位等級は直近2年にするという方法もあります。 上位等級ほど昇格要件を厳しくするのです。

 次に、「どの程度の評価なら昇格させるのか」を決めます。 評価段階を「S」「A」「B」「C」「D」の5段階としますと、このような例が考えられます。  
   ① 直近2年の評価がA以上
 ② 直近2年で、1年目はB以上、2年目はA以上
 ③ 直近2年の評価がA以上で、どちらか1年はS

 5段階評価の場合、B評価が「標準」でしょうから、少なくともB以上が要件とすべきです。 また、上位等級ほど、条件を厳しくするのが妥当です。たとえば、下位等級はパターン1、中位等級はパターン2、上位等級はパターン3というやり方です。

 

昇格必要年数

 3等級4年、4等級5年、というように、「昇格するまで、その等級に何年いるか」ということです。これは、次の3つがあります。

 (1) 標準年数   (2) 最短年数   (3) 最長年数

(1) 標準年数

 標準的な社員が標準的に昇格した場合に、各資格等級にいる年数です。

 資格制度の設計、そしてそれに続く賃金制度の設計をする際、必ず必要になるのが「モデル賃金」です。これは、「新卒で入社し定年まで勤続する社員が標準的に昇格、昇給した場合の年齢別の賃金」です。このモデル賃金設計の基礎になるのがこの「標準年数」です。

 経験則では、複数の人がいると、その中の優秀な人・普通の人・できない人の比率は2:6:2になると言われております。 (参考 「パレートの法則 : 「8:2の法則」」)

(2) 最短年数

 どんなに優秀な社員でも、最低○年は、その等級に滞留させるということを設定します。

 なお、優秀な人はどんどん昇格させ、逆転人事も当たり前という考えを取るなら、最短年数は設定しないか、設定しても1年~2年程度にします。

 一方、あまり差をつけたくなければ、最短年数を長めに取ります。(標準年数よりは短くします。)。ただ、これをやるとなると、その分年功的になります。

(3) 最長年数

 どんなに評価が悪くても、ある程度の年数、同じ等級に滞留していたら昇格させるということです。

 もし、1等級からスタートして、どの等級にもすべて最長年数滞留した場合でも、60歳時点で4等級までは昇格するようになっていたとします。その場合、4等級が「最低昇格等級」ということになります。

 制度上設定する場合は、下位等級だけにすべきでしょう。

 

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