賃金表の作成

 基本給体系を定めた後は、それぞれの基本給項目に対して賃金表を作成します。賃金表を作成するのは、賃金管理をあいまいではなく明瞭なかたちで行うためであり、公正な賃金管理には欠かせないものです。

 制度のフレームが出来ると、次にそれぞれの級の賃金幅(最低がいくらで最高がいくらにするかということ)の設定にかかります。最終的には、それぞれの等級の賃金額を記載した表となります。

 等級ごとに基本給の上限額と下限額を決め、各人の発揮能力=実力を評価して基本給の号俸改定(昇給・昇給停止・マイナス昇給)を行い、各人のキャリアと実力に応じた賃金を実現していきます。

 各等級のくくりを「バンド」と呼びますが、従来型の職務等級よりもバンドの上下幅(賃金レンジ)を意識的に大きくとって、各人の実力の違いを基本給に十分反映できる仕組みにします。

 昇給は、低い賃金ゾーンでは昇給幅を大きくとりますが、高い賃金ゾーンに移るにしたがい段階的に昇給幅を抑制し、最終的にその評価に対応するゾーンの上限に達したら昇給を停止します。毎年の評価は当然変動しますが、徐々に各人の役割責任と実力にふさわしい賃金水準へと収斂していきます。

 また、各人の到達した賃金額に比べて評価が低すぎるときは、そのギャップに比例する「マイナス昇給」を行い、賃金が各人の既得権になってしまうのを防ぎます。

 号俸の金額ステップは、長期雇用と能力開発を主眼におく一般社員の等級では細かい刻み方にしておき、毎年の昇給格差をむやみに大きくしないで、徐々に発揮能力に応じた賃金バランスを実現していく比較的緩やかな方式をとります。
 賃金水準の高い管理職や専門・スタッフ職については、号俸の金額の刻みを大きくし、賃金が早めにアップ・ダウンする型の方式を選択することもできます。

○号俸表

 「○級・○号」というように決めます。横軸が「級」で縦軸が「号」です。1年勤続で1つ下の号にコマを進めます。

 

J1

J2

J3

30,000

35,000

45,000

32,000

38,000

49,000

34,000

41,000

53,000

  このままでは、人事考課が賃金表に反映できないというのが弱点です。上の級に昇格できない人がいる限り、号を下に伸ばして行かざるを得ないからです。

○段階号俸表

 号俸表に人事考課要素を取り入れた改良型です。号俸表の号間の階差を昇給の評価段階の数で割り、細かくします。

 

J1

J2

J3

30,000

35,000

45,000

30,400

35,600

 

30,800

36,200

 

31,200

36,800

 

31,600

37,400

 

32,000

38,000

49,000

32,400

   

32,800

   

33,600

   

10

34,000

   

  最低評価でも昇給してしまうというのが弱点です。また、号俸表に比べて、縦が長くなってしまいます。

モデル賃金表の例は こちら

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