職務分析・職務評価

職務分析

 職務分析とは、個々の職務について、課せられている仕事の内容や職務遂行過程で要求される知識や能力、職務遂行過程で受ける負荷(精神的負荷・身体的負荷)などを調査し明らかにすることをいいます。

 同じ評価尺度で比較できる職務内容をグループ化して、職務区分として定義します。

グループ化
 部長職 課長職 専門職
 営業職 事務職 企画職 技術職 研究職
 補助職(パート・派遣)

 

職務分析の方法

 職務分析のやり方は、これまでいろいろなものが開発されてきました。 主なものをあげてみます。

・記述法  
 調査表に記入させる方法です。

・観察法  
 分析者が直接現場で観察します。

・面接法
 分析者が職務担当者にインタビューする方法です。

・実験的分析法
 職務によって分析方法は異なります。製造現場などの場合、観察法や実験的分析法が適しています。

職務記述書

 各職務について職務分析を行った結果を「職務記述書」として職務ごとに記述していきます。

 一般的に、その内容は、  
 ・職務の名称  
 ・職務の概要  
 ・職務の内容や責任
 ・職務遂行要件  
 ・他の職務との関連
などから成り立っています。

職能要件書

 職種に関係なく、会社が求めている職能基準を示したものであり、能力に対する概念的なものをいいます。

 職能要件書は、共通のものと職種別のものを作るのが一般的です。「職種」とは、「同じ種類の仕事の集まり」のことで、「営業職」「技術職」といったくくりです。同じ等級でも、職種によって必要な能力は異なります。ただ、どの職種でも共通的に必要な能力もあります。たとえば、「企画書を分かりやすくまとめることができる」というような能力は、どの職種にも共通して必要なものでしょう。 一方、「新製品に関する市場調査を実施し、データ分析を的確にできる」というような能力は、営業職やマーケティング職固有のものといってよいでしょう。

職能要件書 の例は こちら

職務評価

 職務評価とは、職務分析で明らかになった職務の特性をもとに、客観的に存在する職務の価値に対して重要度・難易度などによって格付けを行うことをいいます。

 職務評価の方法には、次のようなものがあります。

(1) 序列法  
 全部の職務を、重要度の順に並べる方法です。
 比較的、簡単な方法です。ただ、この方法で明らかになるのは、「職務の相対価値」です。序列の論理的な説明が難しいという欠点があります。

(2) 分類法  
 まず、職務等級表をつくります。そして、職務等級の定義づけをします。
 例)
 ・2等級: 定型業務
    短期的な部署の利益に影響。マニュアル知識が必要。
 ・3等級: 判定業務
    中期的な部署の利益に影響。業界知識が必要。

 そして、この等級表に照らして、各職務がどこに該当するかを判定していきます。

(3) 点数法
 職務に共通する要素を選び出します。  
 たとえば、「知識」、「経験」、「判断」などといったものです。そして、各要素をレベル分けし、点数を設定します。
 たとえば、「知識」の要素だと、次の通りです。
 ・レベル1(1点):マニュアル知識    
 ・レベル2(2点):業務に関連する法律知識  
 そして、各職務を、これらの要素で評価し、点数づけをしていきます。 「○○職務は、知識レベルは2、経験レベルは1」という具合です。

(4) 要素比較法  
 点数法同様、評価要素を選びます。
 次に、いくつかの基準職務を選びます。基準職務の選び方はいろいろありますが、レベル的に中位にあると思われるものを、営業職、技術職などの職種ごとに選ぶのが一般的でしょう。ただ、最もレベルが高いと思われるもの、最もレベルが低いと思われるものを選ぶという手もあります。
 この基準職務を、あらかじめ選んでおいた評価要素を使って評価します。 それ以外の職務は、基準職務に比べてどうであるかを評価するわけです。
 人事部門などの担当部署が、現場の責任者や、ベテラン社員などに、アンケート調査やヒアリング調査をして、洗い出していくのが一般的です。

 

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