糖尿病による障害と等級

主な傷病

  糖尿病性と明示された全ての合併症
  (糖尿病性網膜症糖尿病性腎症糖尿病性神経障害糖尿病性動脈閉寒症など)

障害の程度

1級

長期にわたる安静を必要とする病状が日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの

・一般状態が一般状態区分表のオに該当するもの

2級

長期にわたる安静を必要とする病状が日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの

・一般状態が一般状態区分表のエまたはウに該当するもの

3級

労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの

・必要なインスリン治療を行っても、なお血糖のコントロールが困難なもので、次のいずれかに該当するもの
1) 内因性のインスリン分泌が枯渇している状態で、空腹時又は随時の血清Cペプチド値が0.3ng/ml未満を示すもの、かつ、一般状態区分表の又はイに該当するもの
2) 意識障害により、自己回復ができない重症低血糖という無自覚性低血糖の所見が平均して月1回以上あるもの、かつ、一般状態区分表の又はイに該当するもの
3) 糖尿病ケトアシドーシス又は高血糖高浸透圧症候群による入院が年1回以上あるもの、かつ、一般状態区分表の又はイに該当するもの

・糖尿病性神経障害が長時間持続するもの

障害手当金

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   一般状態区分表

区分

一 般 状 態

無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく、発病前と同等にふるまえるもの

軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの   (たとえば軽い家事、事務など)

歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの

身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの

身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの

 この疾患は事実上糖尿病を意味するが、「痛風」などもこれに含まれると考えられます。

 糖尿病の障害認定は、治療を行ってもなお、 血糖コントロールが困難な症状の方が対象となります。

 単にインスリンを投与しているというだけでは認定の対象となりません。インスリンを使用しても血糖コントロールが不良であるという場合に3級と認定されます。(HbA1cが8.0%以上で空腹時血糖値が140mg/dl以上の場合にコントロール不良)

 糖尿病性神経障害は、激痛、著明な知覚の障害、重度の自律神経症状等があるものは、「神経系統の障害」の認定の基準となり、長期間に糖尿病性の神経障害が持続するものは、3級程度に該当するとされます。

 上記の数値に満たず、血糖値が治療・服薬・日常生活規制(食事制限、運動など)によってコントロール可能であると判断された場合には、障害年金の対象とはなりません。

 単なる疲れ、感覚異常は、認定の対象となりません。

 「糖尿病」は、様々な合併症の原因となるため、血糖コントロールの状態そのものが認定される場合もありますが、多くは合併症に対する認定です。

糖尿病による合併症
 脳梗塞、脳卒中、糖尿病網膜症、心筋梗塞、糖尿病腎症、下肢閉塞性動、 脈硬化症、糖尿病神経障害、皮膚疾患

 したがって、
 ・合併症を併発しているか否か、またその病状はどうであるか
 ・血糖コントロールの状態、治療と病状の経過
 ・日常生活の状態
を考慮して総合的に判断されます。

 糖尿病での障害年金の認定は、血糖のコントロール不良によるもの以外に、合併症で糖尿病性網膜症糖尿病性腎症などを発症することが多くあります。

 糖尿病と糖尿病性腎症相当因果関係「あり」とされております。
 
初診日は糖尿病と診断された日となります。

 糖尿病と洞機能不全相当因果関係「なし」です。

 糖尿病と脳出血相当因果関係「なしです。

 糖尿病と脳梗塞相当因果関係「なし」です。

 糖尿病から「糖尿病性網膜症」糖尿病性腎症」「糖尿病性神経障害」が起こった場合は、それぞれの病気の認定の基準によって障害の等級が定められます。

 糖尿病性網膜症を合併したものの程度は、「眼の障害」の基準により認定されます。

 糖尿病性動脈閉塞症を合併して運動障害を生じているものは、「肢体の障害」の認定要領により認定されます「肢体の障害用」の診断書が必要になります。

 糖尿病性神経障害は、激痛、著明な知見の障害、重度の自律神経症状等があるものは、「神経系統の障害」の認定要領により認定します

 糖尿病性腎症を合併したものの程度は「腎疾患による障害」の認定基準により認定されます

 障害年金の制度では糖尿病と糖尿病性腎症、糖尿病性腎不全等の腎疾患は相当因果関係があるとされているため、その期間が長くても糖尿病と診断された日を初診日とします。

 再検査で受診し教育入院したが、退院後は直ちに体に不調がないため受診を中断していて、数年後に体調不良で受診したとしても、健康診断の日が初診日になります。再検査指示があったが、特に体が疲れやすいこともないため受診をしないで数年後に体調不良で受診した場合は、数年後の受診日が初診日になります。

 内科で糖尿病を指摘される前に目の不調で眼科を受診して糖尿病性網膜症と診断されたときは、眼科受診日が初診日となります。

 尿検査で異常所見が出たことだけで、初診日とするのは不適当です。

 

糖尿病と他の内科疾患との総合認定
 内科的疾患が2つ以上ある場合は、併合認定でなく総合的に認定し併せて1級、2級又は3級となることがあります。総合認定です。総合認定は、認定基準が全く不明で単純に3級が2つあれば2級になるとは限りません。2級と3級を併せて、2級のままの場合や1級という場合もあります。

 

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