音声又は言語機能の障害と等級

主な傷病

  喉頭全摘出    咽頭摘出術後遺症    構音障害又は音声障害  失語症

障害の程度

1級

 -

2級

 音声又は言語機能に著しい障害を有するもの

・発音に関わる機能を喪失するか、話すことや聞いて理解することのどちらか又は両方がほとんどできないため、日常会話が誰とも成立しないもの

・喉頭全摘出手術を施した結果、発音に関わる機能を喪失したもの

3級

 言語の機能に相当程度の障害を残すもの

・話すことや聞いて理解することのどちらか又は両方に多くの制限があるため、日常会話が、互いに内容を推論したり、たずねたり、見当をつけることなどで部分的に成り立つもの

障害手当金

言語の機能に障害を残すもの

・話すことや聞いて理解することのどちらか又は両方に一定の制限があるものの、日常会話が、互いに確認することなどで、ある程度成り立つもの

  音声又は言語機能の障害とは、発音に関わる機能又は音声言語の理解と表出に関わる機能の障害をいいます。

 音声または言語機能の障害は、主として、歯、顎、口腔(舌、口唇、口蓋等)、咽頭、喉頭、気管等の発声器官の形態異常や運動機能障害により、発音に関わる機能に障害が生じる構音障害又は音声障害をいいます。脳性(失語症等)又は耳性疾患によるものも含まれます。

 喉頭部の患部疾患・打撲によるものは、患部疾患・打撲により、摘出した日(又は廃用した日)を障害認定日とします。

 上下顎欠損とは、外傷(交通事故など)により、歯茎や顎の一部などを欠損した状態を指します。

 舌癌は、有郭乳頭(舌背部後方にある8~10個の突起)より前方部(舌前方の3分の2)に生じた癌をいい、障害年金では「言語障害」および「そしゃく・嚥下障害」として認定がされます。

 喉頭全摘出手術を施したものについては、原則として次により取り扱います。
ア 手術を施した結果、発音に関わる機能を喪失したものについては、2級と認定します。
イ 障害の程度を認定する時期は、喉頭全摘出手術を施した日(初診日から起算して1年6月を超える場合を除く)とします。

 喉頭部の患部疾患・打撲によるものは、患部疾患・打撲により、摘出した日(又は廃用した日)を障害認定日とします。

 障害年金の認定基準については、「言語機能の障害」として認定されることになります。

 歯が喪失したことを原因とした咀嚼障害や、発音障害などの障害が残る場合があり、上下顎欠損により「音声又は言語機能に著しい障害を有するもの」の場合には、障害等級2級に該当するケースがあります。

 歯のみの障害による場合は、補綴等の治療を行った結果により認定を行います。

 言語機能の障害は、発音不能な言語と会話状況の判定により障害状態を判断します。

 発音不能な語音は、次の4種について確認するほか、語音発語明瞭度検査等が行われた場合はその結果を確認します。  
  ⅰ 口唇音    (ま行音、ぱ行音、ば行音等)    
  ⅱ 歯音、歯茎音 (さ行、た行、ら行等)   
  ⅲ 歯茎硬口蓋音 (しゃ、ちゃ、じゃ等)   
  ⅳ 軟口蓋音   (か行音、が行音等

  言語障害において、喉に脱着可能なパイプをつけると何とか話せるケースがあります。そのため、言語障害の場合の障害認定ではパイプを取り外した状態で認定をします。

構音障害
 構音障害(又は音声障害)は、歯、顎、口腔(舌、口唇、口蓋等)、咽頭、喉頭、気管等の発声器官の形態異常や運動機能障害により、発音に関わる機能に障害が生じた状態といいます。

 構音障害は、運動障害性のもの、機能性のもの、生まれつき上唇、上あごが裂けていて発音が正しくできないもの、言葉がつまったりして、流暢に話せない吃音などがあります。

 音声又は言語機能の障害(特に構音障害)とそしゃく・嚥下機能の障害とは併存することが多い。その場合、両者は併合認定されます。

失語症
 失語症は、大脳の言語野の後天性の脳損傷(脳血管障害、脳梗塞、頭部外傷、脳炎等)により、いったん獲得された言語機能に障害が生じた状態です。

 失語症については、音声言語の障害(話す・聞く)の程度について確認するほか、失語症に関する検査(例えば「標準失語症検査」等)が行われた場合はその結果も障害年金の参考とされます。

 失語症になり、他者とのコミュニケーションが困難となり、日常生活上支障を来たすようになった場合に、障害年金の対象となります。

 身体表現性障害による失声症は原則として、障害年金の認定の対象とされていません。

 失語症が、音声言語の障害と比較して、文字言語の障害(読み書き)の程度が重い場合には、その症状も考慮して認定する。

 障害年金の失語症の障害の程度について、診断書に『失語症』の欄があり、下記の様にあります。

I 音声言語の表出及び理解の程度
 単語の呼称(単語の例:家、靴下、自動車、電話、水)
 短文の発話(2〜3文節程度、例:女の子が本を読んでいる)
 長文の発話(4〜6文節程度、例:私の家に田舎から大きな小包が届いた)
 単語の理解(単語の呼称と同じ)
 短文の理解(短文の発話と同じ)
 長文の理解(長文の発話と同じ)

 これらが、
 1 できる
 2 おおむねできる
 3 あまりできない
 4 できない
のどれに該当するか確認します。
 

 高次脳機能障害により精神の障害と失語症が併存する場合、失語症は精神の障害の一つと考えられるが、「言語機能の障害」の認定要領により認定します。そして、精神の障害との併合認定の可能性を検討することになります。

 音声または言語機能の障害(特に失語症)と肢体の障害又は精神の障害とは併存することが多いが、この場合についても、併合認定の取扱い行います。

 例えば、脳血管障害による片麻痺などの場合において、その片麻痺と共に言語障害などの別障害が併存する場合は、それらの障害の全てを評価して障害の認定をします。「肢体の障害用」の診断書と「言語の障害用」といった複数の診断書で併合の診断をします。

 高次脳機能障害により精神の障害と失語症が併存する場合、失語症は精神の障害の一つと考えられるが、「言語機能の障害」の認定要領により認定します。そして、精神の障害との併合認定の可能性を検討することになります。

 

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