被用者年金一元化(7)

 前回に引き続き、被用者年金一元化について書いていきます。

一元化の勉強会のなかで社会保険労務士を対象とする講義では、社会保険の手続きに係るものが中心となることがありましたので、要点をまとめたいと思います。

 今回の一元化では、共済年金を厚生年金に揃えるのが主流なのですが、厚生年金を共済年金に揃える事項があるのですが、以下の2点で混乱をきわめております。

1 70歳以上の在職支給停止  昭和12年4月1日生まれ以前の在職支給停止なし

→ すべての70歳以上の在職支給停止を適用

2 同月得喪の期間の計算

 厚生年金の資格を取得した月にその資格を喪失し、同月内に国民年金の資格を取得したときは、厚生年金期間をカウントしない。

 保険料は国民年金のほうを徴収 (厚生年金保険料の徴収はない)

 

1 について

これまで昭和12年4月1日生まれ以前の方は在職支給停止がなかったのですが、平成27年10月以降は、在職支給停止を適用することになりました。

 法人の会社で勤められておられる方で、一般従業員で報酬が30万円を超えるような方は少ないと思いますが、役員をされておられる方は逃れられません。10月以降から「厚生年金保険 70歳以上被用者 該当・不該当届」で、現在の標準報酬月額相当額を書いて、届出を要することになりました。

 

2 について

例えば11月1日転職したが、会社が合わなくて11月7日で辞めたようなケースです。わかりづらいので、さらに分解して解説します。

これまで

・健康保険 

 健康保険として11月分の加入・保険料を会社から支払います。

 11月8日以降の11月分として、国民健康保険に加入・保険料を自ら支払います。

・厚生年金

 厚生年金として11月分を会社から支払います。

 11月8日以降、国民年金に加入・国民年金の保険料を自ら納付します。

 11月の保険料は厚生年金と国民年金の両方を負担して、国民年金納付分は老齢基礎年金に反映し、厚生年金の納付分は経過的加算としてもらえておりました。

 

平成27年10月以降

・健康保険 

 健康保険として11月分の加入・保険料を会社から支払います。

 11月8日以降の11月分として、国民健康保険に加入・保険料を自ら支払います。

・厚生年金

 健康保険と厚生年金はセットなので、会社から年金事務センターに11月1日の「健康保険・厚生年金保険 資格取得届」を、11月8日の「健康保険・厚生年金保険 資格喪失届」を届けます。年金事務センターの確認の進捗によっては、会社としてはいったん厚生年金として11月分を負担することがありますが、11月分の厚生年金保険料は還付となります(60歳以降は還付ありません。)。

 11月8日以降の11月分として、国民年金に加入・国民年金の保険料を自ら納付します。

 11月の保険料としては、国民年金のほうを自ら納付することが優先しますので、会社としては、11月分の厚生年金保険料を天引きしないよう配慮が必要です。ただし、これは60歳未満の方に関係するので、60歳以降の社員については、11月分の厚生年金保険料を天引きする必要があるのです。

 なかなか理解が難しいですね。労務管理をされておられる方は参考ください。また、一元化の法制度は日々見直しがかかることがありまして、以上に述べたのと変わることがあるかもしれません。その際はご指摘いただきたいと思います。

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