読書 「知的生活」

 今では、大学生の53%の1日の読書時間は「ゼロ」(全国大学生協連調べ、2018年)。1ヵ月の生活費のうち、図書費は自宅生が1340円、下宿生が1510円と、金額、支出に占める割合がともに1970年以降最低を記録するなど、「読書離れ」が深刻化している。

 少し前までは、電車に乗れば新聞や書籍を読んでいる人も多かったが、今やほとんどがスマートフォンをいじっている。20代がスマホでインターネットを利用する時間は120分以上という調査結果もある(総務省情報通信政策研究所「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」、2016年)。

若い世代からは、「スマホで情報を調べたりするのは読書と変わらない」という反論も予想されるが、果たしてそれは正しいのでしょうか。

 

情報の選別眼を持ち、良書は時間をかけてでも読み、知識を得る

 幸福の科学大川隆法総裁は、『知的生活』などを発表した19世紀イギリスの著述家・P.G.ハマトンの霊言を収録した。(「ハマトンの霊言―現代に知的生活は成り立つか―」)。知的生活を志す現代人へのアドバイスを求められたハマトン霊は、時間やお金を無駄にしないためにも、必要な情報が何かを判断する力が大切と話し、現代人が本を読まずにスマホを何時間も使っていることに対しては、「根本には知識と情報の区別がつかなくなってきていることもあるかなと思う」と、情報の消費に重点を置き、普遍性のある「知識」を大切にしない風潮に苦言を呈した。

 

時代が変わっても変わらない「知的生活」の送り方

 さらに、『知的生活』に書かれている「知的労働者には強い精神力が要求される」という箇所への質問に対し、本を読むのと、スマホや携帯で情報を取るのと、何の違いがあるんだと、若い人はみんな必ず言うのですが、強い精神力をつくるというところが、分からないんだろうと思うんですねと、良書1冊を読み抜き、内容をつかむのに必要な意志力の大切さについて語った。

 そして、「(『知的生活』を掲げながら)こういう本を読んで、知的鍛錬をしてきた人であればこそ、これを咀嚼して、読みこなすことができますが、強い意志力が要ります。その精神力を鍛える、強い意志力が、大きな判断や決断の時や、何かをつくり出すときに、仕事をするんです。強い意志力が、やり抜く力を与えてくれます。強い意志力は、忍耐心を持った、継続的努力の中から生まれてくるんですよ」と、読書を通じて身につけられる強靭な意志力が大事を成し遂げる力となり、偉人を生み出すと語った。

 大英帝国が世界最強だったころのベストセラー『知的生活』などの著者であるハマトン。『知的生活』が忘れられてから、教養階級が失われたとも言われている。国民の知的鍛錬は、国家の発展や没落まで左右するのでしょう。

 ハマトン霊が語る「知的生活」は、現代においても変わらない普遍性に満ちている。多忙な現代社会の中で、情報の波にのまれず、知的生活を送るための秘訣がここにあるのです。

参考

 知的生活の時間を確保しようとして、時間に追い立てられたり、周囲と不調和を起こしたり、自己嫌悪に陥ってしまえば、せっかくの知的生活も実りが少なくなります。知的生活の目的は、単に「本を読むこと」ではないからです。

 

短くても時間の密度を高める

 ベネットが知的生活の中で重きを置いたのは、「考える力を養うこと」でした。それは以下のような言葉に象徴されています。

 「自分が読んだものについて、少なくとも45分くらいかけて、注意深く、しんどくなるくらいに反すうしてみないなら(最初のうちは恐ろしく退屈なものだが)、せっかくの夜の90分も無駄に費やされたのだと言っても過言ではあるまい」

 ベネットは、例えば、朝の通勤時間のひとときを使って、「何かについて考える」ことを勧めています。初めは一つのことに集中できれば、それが何でも構わないといいますが、例えば読んでいた本の一節や一文について考えてみると良いといいます。

 例えば、前日の朝の通勤時、何を考えていたか思い出せる人は少ないのではないでしょうか。取りとめのないことを考えたり、過去を思い出してくよくよしたり、未来のことを考えて不安に思っていたかもしれません。その時間は わずかでも知的生活の一部に組み込めるはずです。

 読書をして私たちが得るものは、本に書かれている情報だけではありません。その本を読み込むことで、仕事に使える「知識」が得られ、さらには書かれている内容について考えることで「智慧」が得られます。同じ読書時間も、考える時間を経ることで、さらに実りある質の高い時間へと変化します。

 本をきっかけとして「考える」ことが喜びになれば、手に取る本も「娯楽のための本」や「軽いハウツー本」だけでなく、「繰り返し読める本」「味わい深い本」「人生の真理を内包した本」へと変わっていくことでしょう。歴史書や伝記、文学作品や詩編、宗教書が身の回りに増えていくはずです。

 人は皆、生まれた場所や環境、家族、学校、職業など、異なる人生経験を積んでいます。さらに、異なる思想・信条を持ち、それぞれの視点から世界を見ています。だからこそ、同じ本を読んでも、その人固有の気付きが得られるはずです。

 歴史書や偉人の伝記を読めば、過去にどのような事件が起きたのか、偉人や他の人たちは、どのように対処し、その結果、どうなったかを知ることができます。それを、今直面している問題と照らし合わせることで、新しい解決策を思いつくかもしれません。

 また、宗教書を読み、神仏の言葉を学ぶことで、人生の苦難や困難に直面しても揺れない「神仏の視点」を持つことができます。だからこそ、自分自身や他の人が悩みの中にある時にも、その嵐を潜り抜けていくことができるようになります。

 「読書をして考え、智慧を得る」という積極的な知的生活を送るうちに、最初は自分のために確保していた時間が、他の人々のために不可欠な時間へと変わります。一日のちょっとした時間も、積み重ねると大きくなります。使い方に意識を向けてみてはいかがでしょうか。

 

学問は知的生産性を高めよ

 大川隆法総裁は、学問の基本的な態度は、本質的に何か訴えるべき核の部分があるかどうか、まだ誰も発見していないものを見つけたか否かなどにあるとし、学んだものを結晶化し、知的生産に結び付けることの重要性を強調した。

 結局、いくら知識を集めても、それが最終的に知的生産物に変わっていかなければ時間の無駄になってしまう。この点、現状の学問界は知的生産性が足りないのではないかと危惧した。

 そして、今後の国家や世界の運営を考えたとき、拡散している知識体系を鳥瞰して価値判断できるような目を持つ人の存在がいかに必要であるかを指摘した上で、総裁の学問的探究心を次のように語った。

「『諸学問の開拓』をすると同時に『諸学問の統合』をする」ということは、はっきり言えば、十倍ぐらいのエネルギーがかかることではありますが、私はこうしたことを学生時代に志しました。」

 限りなく専門分化が進み、社会に対して有為な知的生産物を生み出しことが難しくなってきている学問界において、こうした志を掲げる大学が誕生することはイノベーションそのものと言える。

 新たな学問的地平を切り開かんとする幸福の科学大学創立者の精神は、後世にまで多大な影響を与え続けるでしょう。

 

人生に勝利するために

 人生の途上で迷ったり、悩んだりしたとき、力を与えてくれるのが教養の書です。特に大切なのは、神仏の教えを伝える宗教書を学ぶこと。  「人間の本質は霊である」「天国・地獄はある」「明るい心には天使が訪れ、暗い心には悪魔が忍び寄る」。こうした宗教的真理を学んでいると、一時期、逆境に陥ったとしても、最後には勝利する道を選んでいくことができます。

      (大川隆法総裁 心の指針142 より)

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