就業規則(14)

○休職

 休職制度は、ほとんどの会社に設けてあると思いますが、法律で規定されているわけでは、ありません。設けるかどうかは会社の自由です。トラブルの多い制度でもありますので、慎重に規定を設ける必要があります 。 曖昧な規定では、実際に休職者が出た場合に必ずと言っていいほどトラブルになります。

 規定する場合は、

・適用される社員の範囲

・休職となる事由

・休職期間

・一時復職し再び休職した場合の通算の取り扱い

・休職中の賃金

・復職について

・休職期間が満了した場合の取り扱い

等を詳細に規定します。

 

適用される従業員の範囲

 試用期間中の従業員やパートタイマー等の長期雇用を前提としない従業員については、適用除外にしておくのがよいでしょう。

 

休職事由

どのような休職事由を定めるかは、会社の自由ですが、休職の事由や発令時期を明確にしておくこと。

 

適切な休職期間を設定します。

 私傷病の場合の休職期間は勤続年数に応じて差をつけるのが一般的です。

勤続5年未満・・・・・・・・3月

勤続5年以上10年未満・・・

6ヶ月 勤続10年以上・・・・・・・1年

 また、休職期間について勤続年数別に分けて定める場合もあります。

 休職者の休職期間を定めた場合の当該期間は、実質的な休職状態が始まった時からではなく、正式に休職が発令された日から起算します。

 私傷病休職の開始時期がはっきりと規定されていないと、従業員が風邪などで休んだ日にも医師の診断書さえ提出すれば私傷病休職として扱わざるを得ないことが起こりえます。

 精神上の疾患についても規定します。

 私傷病で欠勤が継続するケースは昨今「精神障害疾病」が多発する中では多く見られます。

 一般に精神疾患にかかっている場合は、欠勤が断続的に続いた上で、また出社するということを繰り返すことが多いようです。就業規則に「1ヶ月欠勤が続いたとき」という規定では、休職を命ずることは難しくなります。欠勤が継続していなくても、不完全な労務提供しかできないとの理由で休職の取扱いができるようにしておくべきでしょう。

 休職期間中の賃金や社会保険料の取扱いは具体的に明示します。 賃金については、従業員の都合による休職は会社が任意に決めることができる。

 ノーワーク・ノーペイの原則により無給でもよい。

 休職期間中の賃金は原則として、無給とするのが一般的ですが、私傷病で休職する者に対しては、勤続年数により一定期間賃金を支給してあげることも考えられます。  社会保険料については、従業員負担分は徴収する義務がある。ただし、復職後の給料から控除すると「賃金の全額払い」に抵触する。

 賃金その他(社会保険料等)について一般と異なる扱いをする場合には、「賃金規程」等別規程にて明記するのがよいでしょう。

 同一事由による休職の通算規定を定めます。

 再休職の休職期間は最初の休職期間の延長として期間を通算する。あくまでも最初の休職期間の始まりをスタート時点とします。

 いったん復職したものの、しばらくしてから再度同一の疾病又はそれに伴う個別の傷病により休職を繰り返す場合、復職する都度休職期間を最初から適用していては、休職制度の本来の意味が損なわれてしまいます。

 

 休職期間を勤続年数に含めるかどうかは、会社が任意に決めることができます。

 休職期間を勤続年数に含めるかどうかは、「その都度会社が定める」のではなく、休職事由ごとにあらかじめ定めておくのが望ましいでしょう。

 私傷病休職、自己都合休職、公職休職の期間は、勤続年数から控除するのが一般的。

出 向休職、組合専従による休職の期間は、勤続年数に算入される場合が多い。

 退職金の算定期間に含めるか否か

 トラブルを防止するために規定する。勤続年数に算入しなくても差し支えありません。

 

 休職期間中は解雇ができないため、次のようなルールを徹底する事が求められます。  

・同じ病気での休職は認めないこと。   

・休職期間終了時に職場復帰が出来ない場合は、自然退職とする(解雇ではない)   

・復職時には医師の診断書を提出させること。(医師は会社が指定する場合もある)

就業規則規定例

第○条 (休職期間)  

 休職期間は次のとおりとする。ただし、試用期間中の従業員は対象から除外する。

(1) 傷病休職  勤続年数により、休職を発令した日から次の通りとする。

勤続年数

休職期間

5年未満

3ヵ月

5年以上10年未満

6ヵ月

10年以上

1年

(2) 自己都合休職  2ヵ月

(3) 業務上の必要性により、関係会社又は関係団体の業務に従事するとき  会社が必要と認めた期間

(4) その他特別の事情があって会社が休職させることを適当と認めたとき  会社が必要と認めた期間

2 第1項第1号の休職において、同一事由による症状再発の場合は、再発後の期間を前回の休職期間に通算する。この場合、休職の中断期間が3ヵ月未満の場合は、前後の休職期間は連続しているものとみなし、中断期間を含めて休職期間に通算する。

3 業務外の傷病による休職が1ヵ月を超える場合は、会社は、医師の診断書の提出を求めることがある。この場合、会社指定の医師の診断書の提出を求めることがある。

4 休職期間は、原則として、勤続年数に通算しない。ただし、第1項第○号の休職の場合はこの限りでなく、会社の裁量による。

 

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