障害年金の不支給率の地域差

 「同じように障害年金を申請した場合でも、支給される地域差があるのではないか?」と言う声に応えるために、厚生労働省は、平成22年~平成24年までの3年間で新規に申請された障害基礎年金の内、不支給となった割合を都道府県ごとに比較しました。

 調査の結果、不支給となった割合が最も高いのが大分県(24.4%)で、最も低いのが栃木県(4.0%)と20.4%もの差があることが判明しました。

 大分県では障害基礎年金を受給しにくく、栃木県は受給しやすいという事になります。

ワースト1位:大分県 24.4%

ワースト2位:茨城県 23.2%

ワースト3位:佐賀県 22.9%

ワースト4位:兵庫県 22.4%

 傷病部位ごとの不支給割合では、身体障害などは全国的に同様の結果となりやすく、精神障害・知的障害について特に地域差がみられました。

 

 本来であれば同じような診断書や申立内容であれば、提出する都道府県に関わらず結果は同様でなくてはなりません。なぜこのような地域差は生まれてしまうのでしょうか?

 主な理由としては次の2つが理由として考えられます。 

原因1 認定基準が不明瞭

 身体障害等の基準は「数値ではっきり」決められているので障害等級の判断が分かりやすいのに対して、精神障害・知的障害は「基準が非常に曖昧」というのが以前から指摘されていました。

原因2 審査の場所が違う

 障害年金の審査は、障害厚生年金と障害基礎年金とでは取り扱いが異なります。特に、うつ病や双極性障害といった精神障害や知的障害における認定基準が曖昧であるため障害基礎年金では各都道府県におかれた日本年金機構の年金事務センターごとで独自のガイドラインを用いて審査を行ってきました。各事務センターでの独自のガイドラインに沿って認定される為、同じような診断書や申立内容であっても、ある地域では支給、ある地域では不支給という不条理な決定がなされてしまったのです。

 

「全国統一のガイドライン」が適用されるとどのような影響があるのでしょうか?

 このガイドライン適用によって「受給率の低下」が心配されています。

 今までは都道府県ごとに各々の基準によって、支給・不支給を決定していましたが、等級判定ガイドラインを適用することによって全国統一の基準によって判定されます。これにより地域差は是正されることになります。そうなると、今まで認定されやすかった地域も今後は認定されにくくなることが予想されるのです。