社会保障と社会保険

日本国憲法25 条第2項

 「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」

 日本国憲法25 条は国民の生存権を規定し、第2項では、国には国民の生存権を政策や制度として実現するために努力する義務がある とうたっています。

 皆さん、これを聞いたことがありますか。

 私たちが加入している社会保険には、国民年金、厚生年金、健康保険、雇用保険等々があります。また社会保険とは別に、社会福祉の関連法、生活保護法、児童福祉法といった法律もあります。これらは全て、憲法25条2項で定められている生存権に基づいて法制化され、運用されるべきものなのです。

 そして、国民年金法の1条にもこの憲法25条2項の規定する理念に基き・・・といったように書いてあります。

国民年金法1条 (国民年金制度の目的)

 「国民年金制度は、日本国憲法第25条第2項に規定する理念に基き、老齢、障害又は死亡によつて国民生活の安定がそこなわれることを国民の共同連帯によつて防止し、もつて健全な国民生活の維持及び向上に寄与することを目的とする。」

 社会保険、社会保障制度、いろいろありますが、なぜ国はそのようなことをやらなければならないかと言いますとこのような規定があるからです。

 公的年金制度をはじめとした国の社会保障制度は、本来、この憲法25 条を具体化するものとして制度設計され、運用されるべきものです。

 しかし、現実には、そうなっていない面が多々あります。だからこそ、みなさんが憲法で保障された権利を大いに行使して、制度を利用していただきたいのです。そのことを通じて問題点を明らかにしていきたいのです。