未来産業について

アポロ計画に匹敵する火星植民都市計画

 アメリカ政府が月面有人探査計画の中止を決める中、日本政府は2016年4月、2020年までに二足歩行ロボットなどで月面無人探査を目指すことや、有人探査についても検討する方針を打ち出している。

 中国も2020年代に月面有人探査を目指しているが、日本やアメリカとは、まだまだ技術力の差は大きい。今後、日本が世界の宇宙産業をけん引していくためには、1960年代のアポロ計画に並ぶような大きな構想が求められる。

21世紀中に、月と火星に植民都市を建設する

 月にとどまらず、火星というさらなるフロンティアを目指していくことによって、人類の宇宙開発技術をさらにレベルアップさせていく役割が日本にはある。

こうした構想を進めていくうえでのポイントを挙げてみます。

〔法制面〕

・国益重視の法整備・・・軍事利用の可能性を排除せず、宇宙産業が基幹産業として成り立つよう国際常識に見合ったものにする。

〔資金面〕

 基幹産業育成のためには、何より最優先に資金を配分すべきである。

・官民共同の投資ファンド設立・・・プロジェクトごとにファンドを設立し、特許料や民生転用などで生まれた利益をもとに出資者に配当する。これには贈与税や相続税の免除も検討する。

・宇宙開発債(国家未来事業債)の発行・・・赤字国債や従来の建設国債の枠を超えて発行する(贈与税や相続税の免除も検討)。また、この国債に限り、緊急に巨額の資金を投じる必要性を判断した場合には、日銀の引受け(財政法第5条)を国会で議決するなど思い切った決断も必要です。

・政府紙幣の発行・・・一連の施策を踏まえ、政府紙幣の発行による資金調達を検討する。

・政策減税・・・宇宙産業の研究開発費や、同産業への投資について減税する。

〔組織面〕

・日本版NASAの設立・・・強力なリーダーシップを発揮できる組織をつくる。宇宙政策の一元化や予算の集約、国際競争をにらんだ体系的な政策立案を行う。民間からも人材を募る。

そしてやはり最後は、政治のリーダーシップだろう。21世紀の後半には人類が当たり前のように月や火星で過ごせる未来を描き、そこに向かって突き進む中に、基幹産業としての宇宙産業が立ち上がってくるのです。

 参考

海洋開発

 日本は現在、石油や天然ガスのほぼ100%を海外からの輸入に頼る「資源小国」だが、「資源輸出大国」に変身するかもしれない。それを可能とするのが「海」だ。

 日本は、海岸線から200海里の排他的経済水域(EEZ)が世界で6番目に広い。この海域には、金、銀、銅のほか、マンガン、ニッケルなどの海底鉱物資源が豊富に存在する。

 また、メタンハイドレートは、日本周辺海域だけでも、国内で使う天然ガス14年分の埋蔵量があるといわれており、将来の有望なエネルギーとして生産手法の確立に期待が集まる。

 こうした海洋資源を調査するために、JOGMEC(石油天然ガス・金属鉱物資源機構)は20171月、三菱重工業に調査船の建造を発注。金額は173億円で、深海まで潜るためにはさらに資金が必要になる。

佐賀大学が研究を進める「海洋温度差発電」は、発電の過程で水素や淡水をつくり出す未来型のクリーンエネルギーとして期待されるが、実用化を早めるにはやはり一定の資金を投入しなければ難しい。

 宇宙産業の項で挙げた資金調達の考え方は、海洋開発でも生かせるでしょう。

 

ロボット産業

人間に代わって活躍するロボットの可能性

 世界のロボットの3分の2は日本で生産され、稼働中のロボットの3分の1が日本製だ。そんなロボット大国の日本だが、現段階では産業用に限られている。人間の負担を減らしたり、危険な場所に赴く家事や介護、レスキューロボットなどはまだまだ伸ばしていく必要があるし、伸びる可能性は十分にある。

 アメリカ生まれの掃除ロボット「ルンバ」はすでに日本でも市販されているが、1台約7万円にもかかわらず、日本の深夜のテレビ通販番組で紹介されたところ、1日で2億円以上を売り上げた。「家事ロボット」に大きなニーズがあることをうかがわせる。

 日本の技術では、歩行支援ロボットスーツ「HAL」や、人の顔を識別して会話したり留守番したりするコミュニケーションロボット「ワカマル」などが生活の場に進出してはいるが、安全性やメンテナンス、価格の高さが影響し、市販はされずレンタルでの利用となっている。テレビのように、「一家に1台」「一人に1台」に近づけるには、政府としてもこの分野に資金と人を投入していく必要があるだろう。

 ロボット産業について、経済産業省は2025年に7兆2千億円の市場規模を見込んでいるが、ロボットは航空・宇宙や軍事、海洋開発などでも人間に代わって活躍することが予想されるため、爆発的な成長も期待できる。ロボット研究の開発費や投資についての減税政策が有効だろう。

 

自動車産業

 自動車産業は、関連のサービス部門も含め、世界で年間600兆円の市場規模がある。日本国内は100兆円以上で、そこで働く人は515万人に及ぶ。情報通信産業は国内の市場規模が約100兆円、雇用が185万人。また、建設業は市場規模が64兆円で、422万人の雇用がある。

 これから10年から20年かけて、航空・宇宙、国防、海洋開発、ロボットなどの産業分野に巨額の資金を投入し、人的資源も集中することで、自動車、情報通信、建設の各産業を足し合わせたぐらいの雇用創出は十分可能だろう。

 アメリカのオバマ大統領は、石油代替エネルギーを開発・普及するグリーンニューディール政策を打ち出しているが、10年間で1500億ドル(約14兆7千億円)を投資し、500万人の雇用を創出するという。

 これに倣うとするならば、官民による投資ファンドの設立や、国家未来事業債の発行、政府紙幣の発行などによって、少なくとも30兆円を集め、各分野に投じるならば、国内で1000万人の雇用創出は十分計算が立つということになる。

 

 こうした新たな基幹産業の立ち上げ以外にも、日本の主要都市をリニア新幹線で結ぶ「交通革命」や、安くて広いマンションを都市部に供給するための都市開発や土地利用の規制緩和、やる気のある農家に農地を集約する「平成の農地解放」など、さまざまな雇用創出策が考えられる。

 こうした大胆な取り組みを重ねていけば、国内の雇用創出はもちろんのこと、世界の人々を富ませていくことができる。そして日本は、世界からその役割を期待されているのである。

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