規制緩和

 景気を良くするために政府がすべきことが3つある。

 一つ目は、消費税の減税。

 二つ目は、すぐには利益が出ないような大きな事業に政府がお金を使うこと。具体的には、航空・宇宙産業などへの投資や、国防に役立つ防衛産業だ。そうすれば、慎重になっていた企業もお金を使い始める。

 そして三つ目には、企業や銀行の仕事を邪魔する古い法律や必要ない政府の仕事などの「規制」を取り除くことである。アベノミクスで最も踏み込めていない規制緩和である。

 IT技術の導入で、農業の効率化や品質向上を目指す取り組みが進んでいるが、企業参入の障壁をもう一段外せば、大規模化によって農業はまだまだ富を創出する可能性を秘めている。航空・宇宙産業も日本の技術力を発揮する潜在的な可能性が高い。

 公共事業においても、建築規制などを緩和すれば、空中を活かして、よりダイナミックな都市開発が可能になる。高層建築が増えれば、都心の安くて広い部屋に住めるようになり、通勤も楽になる。

 高速道路やリニア新幹線の開通を前倒しし、羽田・成田空港の24時間運用などによって、東京を国際都市に飛躍させる。こうした中長期的な日本経済の発展を見据えた、大胆な投資が望まれる。

 国民が起業家精神を発揮し、潜在力を解放する環境を整えるために、規制を緩和していくのが政府の役割である。

  リニア新幹線の早期敷設や宇宙・防衛分野への大規模投資など、胸躍るような成長の青写真が必要です。それは世界経済のためでもあります。米欧中の経済が回復途上にある中で、日本が力強い成長で世界経済を回すべきです。

 新幹線やリニア新幹線などは、地方の経済成長を促す重要な交通インフラですが、交通網のみを発達させるだけでは不十分です。同時に新産業の誘致にも力を入れる必要があります。

 景気回復基調が続けば、税収が増え、財政問題の解決が見える。政府は東京五輪に向け、より積極的な投資を行う。リニア新幹線敷設も前倒しできる。

 好景気と将来への明るい見通しの中で、新エネルギーや新産業への投資も進む。これがもう一段の経済成長のエンジンとなる。日本は再度の高度経済成長の中、盛大に2020年東京五輪を迎える。

 人口が少ない地方でもベンチャー企業などの誘致に成功すると、新しく雇用が生まれます。従業員には給料が支払われ、その給料からは所得税が収められます。ベンチャー企業の成長に伴い、関連産業が発達していくとさまざまな形で税収が増え、さらに人口も増えて、地方の活性化につながるのです。

 企業誘致を進めるために地方自治体がなすべきは、企業に対する税の優遇です。法人税を減免するなどし、ベンチャー企業を育てる土壌をしっかり作ることが重要でしょう。企業家を集め、投資を呼び込むことを地方活性化の柱と考えることです。

 

規制緩和はなぜ大切なのか

 幸福の科学大川隆法総裁は、「創造する頭脳」という法話でアベノミクスがなぜ限界に直面しているか、「自由」と「創造性」をキーワードに解き明かされた。

 景気回復のための政策といえば、ひと昔前は、政府による公共事業が有効だった。道路を舗装することで物流が便利になれば、道路建設に投じたお金以上の経済効果が生まれる。だが、現在の日本経済は、工業を中心とした第二次産業から、サービスを中心とした第三次産業へと移行している。大川総裁は「サービス産業のほうには、そうした設備投資がほとんど効かない」と、現在の経済政策が誤りであるとした。

 では、何が有効なのか。大川総裁は、手続きの簡略化や、参入障壁の排除、そして許認可行政の撤廃など、サービス産業の障害となっているものを取り除くことを挙げた。

 日本は学校ひとつ建てるのにも、複雑な手続きが必要だ。飲食業や旅館業などを営むのも許可が要る。タクシーの運賃も定められ、500円タクシーは姿を消した。こんな「不自由」な状況では、経済は活性化しないだろう。

 残念ながら安倍首相はこれとは逆のことを行った。当初は規制緩和にも取り組もうとしていたが、各分野に利権を持つ政治家や官僚からの猛反対で頓挫。消費増税で低迷する景気を回復させようと焦った安倍首相は、民間企業に賃上げを要求し、女性管理職の割合を3割にすることなどを働きかけ、逆に「政府主導」の社会主義的な政策を進めてしまう。

 高度な社会になればなるほど、規制緩和などで自由を担保することが重要だ。安倍政権の「大きな政府」志向は、アベノミクスの再生には繋がらないことを理解する必要がある。

 さらに学問における創造性の高め方として、理系・文系を問わず、新しいものにチャレンジしていく精神の重要性があります。STAP細胞問題のように、理系の研究においても、長老が仕切る役所のような年功序列型のシステムが、チャレンジしにくい環境を作っている。特に「理系の場合は、文系よりも才能が出てくるのが早いことが多い」「発明・発見に関しては、年齢は関係ないことが多い」とし、もう一段の自由と寛容さを求める。

 

創造するには自由が必要

 今、日本が最も必要としているものは、富を生む新しい基幹産業を打ち立てることだ。

 日本は防衛産業、宇宙産業、エネルギー産業などにおいて、先進各国に遅れをとっている。これらの産業の発展を阻害しているのが、高い税金であり、数々の規制であり、実用性ある学問を教えない大学である。

 これらの障害を打破するには、「消費減税」「規制緩和」「教育の自由化」が必要です。共通している概念は「自由」であり、それは政府の仕事を減らすことです。

 この「自由」こそ、創造性を高めるカギです。

 政治家は、自由の範囲を拡大し、国民の創造性を最大限に発揮できる環境を整えることこそ、政治の仕事であり、国を富ませる道であることを知らねばならない。

 同時に、国民の側も、創造力を発揮し、未来を切り開いていこうとするチャレンジ精神が必要である。

 

法律や規制をどんどん作り直すのが「自由の創設」

 「岩盤」を破るポイントは、農業や医療、教育などの分野で新規参入を認められるかどうか。いずれの分野も新規入のハードルが極めて高い。例えば、農業では株式会社が農業に参入しようとしても、その会社の役員が「年に60日以上、農作業をしなければならない」という おかしな規制がある。新しく漁業を始めたいと若者や民間企業が考えても、江戸時代からの伝統で、漁業権は地元の漁協の組合員に優先的に与えられており、入り込む余地はほとんどない。人気の回転寿司チェーンが漁業に参入して、生産・加工・流通を一体として営んでもいいはずだが、これも簡単なことではない。

 医療は、政府がサービスの価格や量を決め、新規参入も厳しく制限する「統制経済」となっている。教育は私立学校であっても、役所が細かく口を出せる。保育園に入れない待機児童が全国で2万4千人以上いるのは、民間企業の新規参入を積極的に認めないためだ(横浜市では株式会社の参入を積極的に認めたため、2013年に待機児童ゼロを達成したが、この方式が全国に広がるまでにはなっていない)。

 こうした法律や規制をどんどん作り直すのが「自由の創設」だ。さまざまな参入規制をなくしていけば、農水省や厚生労働省、文科省は最終的に廃止しても構わない。

 

規制緩和の余地はまだまだある

 介護サービスの価格自由化

 株式会社による病院経営の自由化

 株式会社による農業への参入要件の緩和

 公立・私立学校の区別をなくし、設立を自由化

 テレビや携帯電話会社の電波オークションの採用

 保育所の価格・参入の自由化

 

旅館業法を緩和
  家に観光客を泊める
  「民泊」が増え消費が伸びる
  予算0円→経済効果10兆円

建築基準法などを緩和
  東京都内の特区で投資・住居需要・商取引が増加
  予算0円→経済効果10兆円
   都内28カ所の特区で、建物の高さや、外国人を含む起業の手続きなどを緩和した場合の政府試算。

 

減税と規制緩和で救われた1980年代のイギリス

 実際に減税と規制緩和で経済の低迷から脱出した例がある。1980年代のイギリス、サッチャー政権だ。国が国民の面倒を見ようとして高福祉政策で生じたイギリス病と呼ばれる国の停滞からイギリスを救った。

 サッチャー氏は、税金に関しては、所得税の最高税率を83%から40%、最低税率を40%から30%にし、法人税率を中堅・大企業は52%から35%に、小企業は42%から25%まで減税した。規制緩和では、長距離バスの規制廃止やメガネの独占販売制度の廃止、事務弁護士が独占していた不動産譲渡手続きも一般に開放するなどの政策を実施した。