医療改革の方向性

医療費の大半は65歳以上に投じられている

 年金とともに深刻な問題になると予想されるのが医療費の増大です。最先端医療や新薬など、医学の進歩は望ましいことですが、すべてを保険対象にすれば、お金がいくらあっても足りなくなります。療費全体の54.6%が65歳以上の高齢者に投じられています。

世界でも長い「寝たきり期間」

 歳をとれば病気やケガで病院のお世話になることも増えるでしょうが、医療費増大の理由はそれだけではありません。日本は、世界トップクラスの平均寿命を誇る一方、介護や生活支援を必要とする「寝たきり期間」も世界トップクラスの国です。

 平均の「寝たきり期間」は、男性は9.1年、女性は12.7年で、アメリカ8年、イギリス7.6年、ノルウェー7.1年と比べると長くなっています。

 

医療改革の方向性

 医療サービスへの政府の管理を緩め、国民が自分の健康に責任を持つ

国民側
 自分の健康は自分で守る
 医療に過度に頼らず、自分で健康を管理し、病気予防の努力をする。
 病気の原因が自身の「心」にもあることを受け止め、改善する。
 終末期は、あの世にスムーズに旅立つための準備期間と捉え、過度な延命治療を見直す。

医療者側
 治療実績で差が生まれる
 医療サービスの価格を段階的に自由化することで、病院間・医療者間の健全な競争環境が整う。 
 患者を病院に通わせ続けるのではなく、病院から「卒業」させる優れた治療実績を残した病院に患者が集まる。

「予防医療」の強化
 予防医療のノウハウを持つ医師に注目が集まり、そもそも病気にかからないようにするための教育や医療が発展する。 

これからは
 国民が自分で健康を管理できるようになる。人生の最期まで健康に過ごし、魂修行をまっとうすることを目指す。
 増え続ける保険料・税負担を減らし、国民の財産を守ると同時に、財政悪化を防ぐ。
 日本の医療システムを守り、国民の健康で幸福な人生を支える。

 

 医療制度の自由化を推し進めると、患者の選択の結果に「差」が生まれることは避けられません。だからこそ、最後は「人生観」「死生観」が大事になってきます。

 現代の医療の目的は命を長らえさせることに主眼が置かれすぎ、高齢者の延命治療に膨大な医療費を費やしています。しかし、人生の末期に長く苦しみが続くと、”亡くなった後”にも苦しみを持ち越す場合もあります。

 人間の本質は魂であり、あの世が本来の世界です。そうであるならば、医療の役割は、この世での人生修行の途上において体と心の苦しみを取り除き、一人ひとりの人生の目的をまっとうできるよう、支えることに徹するべきです。

 どんな形でも地上の人生を引き延ばせればいいというのではなく、あの世にスムーズに旅立つ心構えをすることが、真の幸福につながります。最後は「霊的人生観」の普及が、医療問題解決の大きな鍵となるのです。

 患者と医療者の両方の意識改革です。国民一人ひとりが自助努力の精神で自分の健康に責任を持ち、管理すること、そして医療者側も必要以上の医療行為を控え、患者が本来持っている力を引き出す方向で治療を行うことで、行き過ぎた医療負担を適正にすることができる。

参考

国民と医療機関の双方に「自助努力の精神」

国民一人ひとりは安易に医療に頼るのではなく、「自分の健康は自分で管理する」ことで、生活習慣病などを予防することが大切だ。

 また、終末医療に関しては、少しでも長く生き延びることよりも、安らかな終末期を過ごすことの方が大切だという考え方もある。病院での延命治療だけではなく、在宅医療やホスピスなど患者の希望に合わせた幅広い選択肢が必要だ。

 一方、効率の悪い経営をしている赤字病院は、国の税金に頼るのではなく、マネジメントの発想を取り入れ、経営改善する努力の余地がある。

 さらに、国が医療の価格を決める社会主義的な制度が、過剰医療などのひずみを生んでいるため、医療の価格設定にも市場原理を取り入れるなど、時代に合わせた医療制度に変えていくことが必要です。

参考