労働基準監督官とは

労働基準監督官は労働法の警察

 労働基準監督署とは厚生労働省の出先機関であり、全国に321箇所あります。

 その役割は、法律に定められた労働条件や安全衛生に関するルールを事業主に守らせることです。

 例えば、法律で決められた労働時間である「1日8時間、1週間40時間」を超えた長時間労働をさせていないか、させている場合は、経営者と労働者の間で契約を交わした上で「残業手当」と呼ばれる割増料金を支払っているか、といった点を監督・指導します。

 事業主に法律を守らせるため、労働基準監督官には強い権限が与えられています。そのひとつが、事業所(会社の事務所や工場など)に立ち入り、労働に関する法律が守られているかを調査できる権限です。この調査は、昼夜いつでも、原則として予告や事前連絡なしで行うことができます。また、調査のため、組織図や労働者の名簿、出勤簿や賃金台帳などの提出を会社に求めたり、従業員に尋問したりすることができます。これらは任意調査とはいえ、会社側が理由なく拒んだり邪魔したりすれば、処罰の対象となります。調査の結果、ルール違反があることがわかれば、法律を守るよう指導されます。求められた書類を隠したり、嘘をつくなどの悪質な場合や、何度指導してもルール違反の状況を変えようとしない場合は、強制捜査や逮捕をすることもできます。強制捜査では、労務管理に関するさまざまなデータや資料を押収できます。

 税務調査に入ることはできても逮捕まではできない税務調査官に比べ、労働基準監督官には強い権限が与えられており、「労働法の警察官」と言ってもよいでしょう。

 現在、政府は、長時間労働をさせている企業の監督や取締りを強化するため、労働基準監督官を増員する方針を固めています。

参考

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