病院経営を効率化

 高齢化が進む日本であれば、本来はがん治療なども世界最先端になるはずですが、競争がないために、海外の方が薬の質も手術も進んでいます。

 介護の需要が増えていますが、もし、診療報酬が自由化されれば、医師より高給の看護師が出てきてもおかしくありません。ホスピタリティの高い看護師を抱えている病院は人気が集まって、儲かるようになるはずです。

 薬価も診療報酬も、下限だけでも自由化するべきです。それだけで価格もサービスの種類も一変しますし、医療費も間違いなく圧縮されます。

 財政赤字を考慮すれば、保険適用の治療を絞る「免責」についても議論する必要があります。飛行機にエコノミーやビジネスなどのクラスがあるように、皆保険にも内容にランク差があって構わないと思います。

医療サービスの内容や診療報酬を自由に決められるようにする
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 24時間診療の病院などサービスの種類が増えて価格も下がる。
 医療技術の進歩が促される。

製薬会社が薬価を自由に決められるようにする
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 価格破壊が起きて、医療費を削減できる。
 新薬開発が進む。

病院に経営視点からの改革

 病院には「利益」や「競争」という考え方はなじまないかもしれません。しかし、幸福の科学グループ大川隆法総裁は、著書『未来への国家戦略』で「公益事業こそ、黒字体質をつくる必要がある」という趣旨のことを述べています。

 医療者の使命とは、患者の病を治して病院を『卒業』させること。「あの病院に行くと早く治る」という良い評判が立ち、多くの患者が来院することで、黒字化することが理想です。そのためには、医療者が政府の規制に縛られず、最善の治療を目指して、切磋琢磨できる環境が求められます。

 また、患者も自分の健康を病院や医療者に頼り切るのではなく、主体的に治療を選ぶ姿勢を持ち、病気の原因となる「心」を改めて自分の力で病気を克服するセルフ・ヘルプの精神が必要です。

 医療を自由化すれば、価格やサービス内容での競争になり、価格破壊や技術の進歩が加速するようになる。その意味で、安倍政権が混合診療の解禁を進めていることは評価できる。

 また、政府は、入院が長引くと診療報酬が下がる仕組みを強化したり、「在宅復帰率」という基準をつくるなど、世界でも際立って長い入院日数を減らし、患者を早く退院させる流れをつくろうとしている。わずか1%でも入院期間が減れば、医療費を800億円節約できるという試算もあり、医療費の無駄はまだまだ多そうです。

 保険の診療報酬や病床数、入院日数などを政府がコントロールするやり方は、社会主義的と言わざるを得ない。

 医療には規制が多いため、24時間営業の病院さえ日本にはまだない。高額だが最先端の医療が受けられる病院や、カウンセリングが充実した病院、必要最低限だが早くて安い病院など、もっと多様なサービスがあってもよい。

 例えば、ここ数年「ワンコイン健診」が広がっている。簡単な採血だけで、血糖値やコレステロール値などをわずか5分程度で測ることができる。仕事や買い物帰りに利用できる駅周辺などに店を構え、看護師が常駐して価格は500円程度。病気の予防はもちろん、健康への意識を高める効果も期待できる。

 だが、このワンコイン健診も規制に縛られている。看護師は医師の指示なしに採血ができないため、素人である客が自分で採血をしなければならない。また、広告規制の対象になったため、効果的な宣伝ができなくなっている。多様なサービスを制限するこうした規制は撤廃するべきです。そして、医療を自由化するためには、やはり医療費の値下げも自由に病院側が決められるようにしていくべきであろう。

 医療法では、病院の経営責任者である理事長は、原則、医師でなければいけないと定めています。経営能力のある医師もいますが、一定の医療知識を持った経営のプロに任せても問題はないはずです。むしろ、医療者は治療に専念でき、高度な知識や技術を生かすことができます。

 より多くの患者を救うためには、医療者一人ひとりの切磋琢磨に加えて、病院としての経営努力が必要です。

 日本の医療界は、経営資源である「人、モノ、金、情報」が政府によって管理され、病院は自由な経営ができない状態です。これらの規制を大幅に緩和すべきです。

 例えば、株式会社の病院参入を認め、病院経営にマネジメントの思想を取り入れることが挙げられます。「病院長は、原則、医師でなければならない」とされていますが、これは製造業なら、「社長は技術者でなければならない」と言っているのと同じです。病院経営も、マネジメントの能力の高い人材に、門戸を開くべきです。

 医療法では「営利を目的とした病院に開設許可は与えられない」と定めていますが、一人でも多くの患者を救うために、利益を確保し、事業を安定的に発展させることを否定すべきではありません。

 

サービス向上のためにも経営責任の明確化を

 ニーズに合った医療サービスを増やしていくためには、病院にも経営マインドが必要です。多くの病院が莫大な赤字を抱えていることは、国の財政負担にもなっている。

公立病院は、救急や小児医療などの不採算医療部門を社会のセーフティネットとして維持しているという認識から、赤字でも税金で補填して当然という感覚がありました。公立病院が赤字体質になる原因は、公務員の人件費の高さと意思決定システムにある。院長は名誉職的なものであることが多く、経営センスがあっても、予算や人事権が首長や議会に握られていて何もできないこともあるという。

 実際に病院の資金の流れを見る事務長には、基本的に医者ではなく公務員が就くことになっており、必ずしも経営のプロとは言えない。いくら赤字でも潰れない状態では、経営改善やサービスの向上など望むべくもない。

 政府による病院の統廃合だけではなく、自由主義経済で当然起こりうるはずの倒産・合併などのリスクと、それに伴う経営者の責任がなければ医療の無駄はなくならないであろう。

 

株式会社化でニーズ志向の医療に

 株式会社に対する『利益追求』『弱者切り捨て』といった印象が日本人には強いように思いますが、病院が株式会社化されれば、効率や人の使い方、サービス内容が改善されるでしょう。麻酔科医が足りないために手術が滞る病院もありますが、株式会社であれば何に投資すべきか判断し、早急に手を打つはずです。ただし、診療報酬制度に縛られている現状では、予防医学や心理療法などの分野での活躍が期待できると思います。 

 現代医療の問題は哲学や宗教に通じる『理念』の不在だと思います。株式会社が高い理念を掲げて世の中に付加価値を生み出しつづければ、医療も変わっていかざるを得ないはずです。戦後、抗生物質で魔法のように病気が治るのを見てきた世代は、西洋医学への信仰が強いですが、パラダイムシフトが必要な時代が来ていると思います。

 株式会社の参入規制緩和は、医療サービスのあり方を大きく変えるであろう。これまで民営化されてきた分野は、どれも政府では行き届かなかったニーズに応え、効率を高めて価格をどんどん下げていった。

 現在のように、公立病院には設備投資の際に何億円もの補助金が出るが、民間病院にほとんど出ないという状況では自由競争とは言えない。公立病院の甘やかしすぎは是正すべきです。

・赤字補填の甘やかしを止め、経営責任を明確にする
・株式会社の参入を認め、自由競争を促す
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 人、金、モノなどが効率よく使われる。
 ニーズに合わせた医療サービスが増える。
医療者は患者を早く治すことを意識するようになる。

霊的人生観が本当の医療改革をもたらす

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