「ストレス」が高いがん患者は死亡率が9割方高いケースがある

 がんの発症には、遺伝要因、環境要因(汚染、感染、地質学的因子など)、生活習慣(喫煙、飲酒、食事、運動など)が大きく関わっています。しかし、ストレスによる影響は不明のままでした。ここ30年、「ストレスとがん」の関連を調査した研究は数多く報告されてはきましたが、「関連があった」とする報告もあれば「なかった」との報告もあり、混沌としていて結論が出ていなかったのです。

 分析の結果、ストレスが高い人はストレスが低い患者に比べて、がん発症が20%も高くなり、がん発症後も、ストレスが高い患者では、がんの種類によってがん死亡率が高いことがわかりました(Nature Clinical Practice Oncology 5: 466-475, 2008)。

 例えば、肝・胆道系がんでは、ストレスが高い患者は低い患者にくらべ、がん死亡が88%も高くなっています。これらの結果は世界初の報告であり、実際に「ストレスががんに悪影響を及ぼす」ことを示しています。

 注目すべきこととして、このストレスによるがんへの悪影響は、従来ストレスとがんを結びつける介在因子と考えられてきた「喫煙、飲酒、運動不足、社会・経済的地位」などの生活習慣危険因子を統計補正しても、やはり強く認められました。つまり、「ストレスが肉体に直接作用し、がん発症を促し、予後を悪化させている」ことが示唆されたわけです。

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