そもそも「待機児童問題」とは

 待機児童問題とは、子育て中の親や保護者が保育所や学童保育などの施設に入所希望を出しても保育関連施設が満員で入所できず、入所待ちの児童が発生している問題を示します。

 とくに、0歳児から3歳児の児童や4月ではなく、途中入所を希望する場合が入所困難とされています。

 「子育て中だけどこれから働きたい」「今働いているけど子供が欲しい」と考えている女性にとって、不安な問題は待機児童問題です。

 女性の社会進出が進む中、子供が待機児童となり育休を延長せざるをえない ママ や新たに働きたくても働くことができない ママ が増加している。

 厚生労働省も国として解決に向け「待機児童解消加速化プラン」という対策を掲げ、保育所の整備などによる受入児童数の拡大、保育士の確保を図っている状況です。

 保育園とは、親が働いている、病気などの理由により家庭内で十分に子どもを保育できない家庭に変わって、乳児、幼児の保育を行う厚生労働省が管轄する「児童福祉施設」です。

 保育園には大きく2種類があります。「認可保育園」と「無認可(認可外)保育園」です。

認可保育園

 国が定めた認可基準(施設の広さや設備保育者の資格所持や人数など)を満たした保育施設です。保育料は自治体により異なり、世帯の所得に応じた軽減があります。自治体が運営する公立と企業やNPOが運営する私立があります。

無認可(認可外)保育園

 認可保育所以外の保育施設です。施設の広さや庭園がないなど一部が満たされていないだけの施設も多くあります。認可保育園に比べても値段が高い反面、教育に力を入れていたり、延長保育や夜間、24時間預かりなどの融通が利いたりと利点もあります。無認可保育に入園する場合、自治体によっては助成金が出ることもあります。

 少子化なのに、待機児童が多いのはなぜでしょうか。いくつかの理由が挙げられます。まず、女性の社会進出の増加、雇用形態の変化による共働きの家庭が増えたことにあります。現在、25歳から44歳の結婚している女性の就業率は60%を超えています。全世帯数から見ても20%以上が共働き世帯となり、不景気により出産を機に退職するよりも働く選択をする女性が増えているのです。

 また、核家族化が進み、親世代に子供を預けることができない点も原因の一つです。2015年段階で、児童のいる世帯のうち79%が核家族世帯となっています。このうち、1人親世帯は7%と年々増加の傾向にあります。これらの状況が重なり、子供を預けなくては働けない家庭が増えています。しかし、その需要人数に対し保育関連施設や保育士が不足しているため受け入れることができず、待機児童として入園待ちをしているのです。

 2015年9月の厚生労働省の発表によると、全国に待機児童は2010年から4年連続で減少し、2014年には 21,371人まで減少していました。2015年には 23,167人に増加していると発表されています。

 増加している背景として、現状の国の対策により新制度の導入、サービスメニューの多様化が活発になったことで、需要は増え、保育利用の申請者が大幅に増加したことが原因とされています。しかし、保育サービスを受けたいが申請をしていない児童が潜在的にはもっと多くいるともいわれています。

 

子ども・子育て支援新制度

 すべての家庭が安心して子育てができ、子どもたちが笑顔で成長していくために、2015年4月から「子ども・子育て支援新制度」がスタートしています。この制度では、子どもの年齢や親の就労状況などに応じた多様な支援を用意し、必要とするすべての家庭が利用できる支援を目指しています。

子どもの年齢や親の就労状況に応じて多様な支援が用意されています

 「子育てと仕事と両立できるか不安」「子どもを預けたいが、保育所が満員で預けられない」・・・ こうした子ども・子育てをめぐる様々な課題を解決し、安心して子育てできるように「子ども・子育て支援新制度」がスタートしました。「子ども・子育て支援新制度」では、必要とするすべての家庭が利用でき、子どもたちが豊かに育っていける支援を目指し、支援の「量の拡充」と「質の向上」の両面から、様々な取組を行っています。

子ども・子育て支援新制度の取組

 身近な市区町村が主体となって、地域の実情に応じて以下のような取組が行われます。

支援の量を拡充

 子供の年齢や親の就労状況などに応じた多様な支援を用意

 教育・保育や子育て支援の選択肢を増やす

 1人目はもちろん、2人目、3人目も安心して子育てできるように、待機児童の解消に向け教育・保育の受け皿を増やす

支援の質を向上

 幼稚園や保育所、認定こども園などの職員の処遇を改善 →給与アップ、研修の充実など処遇の改善を行い、職場への定着と質の高い人材確保を目指す    など

消費税率引き上げによる増収分を活用します

 「子ども・子育て支援新制度」の実施のために、消費税率引き上げによる増収分が活用されました。

 

仕事・子育て両立支援 (2016年度創設)

 従業員が働きながら子育てしやすいように環境を整えて、離職の防止、就労の継続、女性の活動等を推進する企業を支援します。

企業主導型保育事業

 従業員のための保育施設の設置・運営の費用を助成します。

 ※ 週2日程度の就労や夜間、休日勤務など、従業員の多様な働き方にも対応できます。

企業主導型ベビーシッター利用者支援事業

 残業や夜勤等でベビーシッターを利用した際に、費用の補助を受けることができます。

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