ヒッグス粒子の発見

 物質の起源に迫るヒッグス粒子の発見は、霊界と物質界の関係を解明する新しい物理学への第一歩でもある。

 現代の物理学では、宇宙誕生のビッグバン直後、素粒子は質量を持たなかったが、宇宙の温度が下がるとヒッグス粒子の影響によって素粒子が質量を持つようになり、それによって素粒子が集まって電子や陽子になり、原子をつくり、物質ができたとされている。ヒッグス粒子が「神の粒子」とも呼ばれるのはこのためで、今回の実験は標準理論を完成させたといえる。

 参考

 ヒッグス粒子は素粒子のひとつですが、理論物理の「標準理論」において考えられた17種の粒子のうち、発見されていなかった最後の一つです。

 ビッグバン直後に発生したヒッグス粒子は、それまで光速に近い速度で飛び回っていた他の粒子に質量を持たせた。この粒子によって物質が存在するようになり、星や生命が生まれた。そのため、ヒッグス粒子は「神の粒子」とも呼ばれています。

 現代の物理学では、ビッグバンから宇宙が始まったと考えられています。ビッグバンが起きて、あらゆる素粒子やエネルギーが生まれ、爆発的に広がっていったわけですが、ビッグバン直後には素粒子は質量を持っていませんでした。質量がなければ互いに影響を与えることもないため、できたばかりの宇宙空間には素粒子が自由に飛び回っていました。

 しかし、やがて宇宙の温度が下がると、空間中のヒッグス粒子の影響で素粒子が質量を持つようになりました。それによって素粒子がぶつかったりくっついたりして、電子や陽子になり、原子をつくり、物質ができたとされているのです。

 このように、物質の起源にかかわっていることが、「神の粒子」と呼ばれている理由です。

 ただこれまでは、「こう考えると説明がつく」という理論上の話で、この理論が正しいことを証明するには、ヒッグス粒子の発見が不可欠でした。しかも、この理論は素粒子物理学の根幹ともいえる「標準理論」のなかで重要な役割を果たしている部分だったので、もし発見されなければ物理学の世界では大問題になります。

 そのようなわけで、2008年にスイス・ジュネーブにある欧州原子核研究機構(CERN)で稼働を開始した一周27キロメートルの大型ハドロン衝突型加速器(LHC) で陽子同士を光速に近い速度で衝突させ、その際に発生するヒッグス粒子の痕跡を観測しました。そして2012年、ヒッグス粒子発見のニュースが世界を駆け巡りました。

 

ヒッグス粒子発見で物理学の何が変わる?

 物理学では、自然界で働いている力は4種類あると考えられています。その4種類とは、コイルの実験でおなじみの「電磁気力」、原子核の崩壊に関わる「弱い力」、原子核の中で陽子と中性子をくっつけている「強い力」、そして重力の4つです。

 ヒッグス粒子の発見によって完成したといわれる「標準理論」は、重力を除く3つの力について、統一的に説明している理論です。今回得られたヒッグス粒子のデータを解析することによって、標準理論にまだいくつか残されている問題点や、標準理論では説明できていない重力の秘密など、さらにいろいろなことが分かるかもしれません。

 もしかしたら、ヒッグス粒子は「多次元」を行き来する粒子の第一号になる可能性だってあるのです。

 現在の素粒子物理学は、「物質がどうやってできたのか」という根源の部分に迫ってきています。この物質の起源について、幸福の科学総裁大川隆法総裁は、『釈迦の本心』で「空」(くう)について、「霊の世界における仏の光が、地上に現われるときに霊子という核をつくり、霊子がもとになって素粒子が誕生する」ことをすでに明らかにしていました。

「三次元、四次元、五次元などという世界があると言われているが、ほんとうは、そうしたさまざまな世界があるわけではない。ただ光のみがある」

「霊の世界における仏の光が、いろいろなかたちで霊体をつくり、また、霊体のなかにある光子体をつくっているのだ。地上に現われるときには、それが霊子という核をつくり、霊子がもとになって、現代物理学でいう素粒子が誕生する。そして、素粒子がさらに大きな物質を構成していくのである」

「仏の光という霊的エネルギーが物質をつくり、その物質が分解されると、霊的エネルギーに還元されるのです。このように、『エネルギーと物質が循環している』という思想も、『空』の思想と言うことができます」

 重さのない「光」が、重さのある「粒子」になる。あるいは逆に、粒子が光になる。それが、仏教で言われてきた「色即是空、空即是色」の意味の一つであり、その仲介をするのがヒッグス粒子だと考えられる。現代物理学がようやく霊界科学の入口にたどり着いた。その先に、いよいよ神仏の世界である高次元霊界の理論の研究が始まる。

参考