コロナ問題の本質が「天罰」である

 宗教的に言えば、「人々が自分自身の本質を偽って生きてきたことに対する”自己処罰”として、さまざまな災害が今、目の前に現れてきている」ということでもあります。

 では一体、コロナ問題で神仏は何に憤っているのでしょうか。

 その一つは、中国共産党政府の無神論・唯物論であることは明らかです。人を人とも思わない人権弾圧、ウイグルやチベット、内モンゴルなど周辺地域への残虐な侵略行為、世界制覇を目指した軍事力の膨張、一帯一路による経済支配などは極限に達していました

 漢代の歴史書『漢書』の中に「災異説」が説かれています。

参考

 「災異説」は、主に儒教の中で語られてきました。「政治の乱れが災害を招く」という思想そのものは、孔子以前からありましたが、それを理論としてまとめたのが、漢代の儒学者・董仲舒(とう・ちゅうじょ)でした。漢の皇帝に儒学を国教化するよう提言した人物です。孔子が創始した儒学は「焚書坑儒」など不遇の時代を経て、この時代、初めて政治の中心に据えられたのです。

 彼は、古より伝わる天罰思想に陰陽道を融合させて、「なぜ天変地異は起きるのか?」「為政者がどんな失敗をすると、どんな災害が起きるのか?」を体系化しました。

 その内容に、後世の儒学者たちの言葉も合わせて編纂された代表的な古典が『漢書五行志』というものです。

 

天変地異を説明する二つの説

 『漢書五行志』では、天変地異の起き方として、主に二通りの説明がなされています。

 一つ目が、「意志を持った天による警告」という説明です。

 「国家が道から外れた失敗をしようとすると、天はまずは災害を出現させて『けん告(≒警告)』する。為政者がそれに気づかず反省しなければ、さらに怪異を出現させて『警ぐ(≒驚き恐れる)』させる。それでもまだ異変に気付かなければ、破滅がやがて訪れる。天の御心は、人君に仁愛を注いで惑乱をくいとどめてやろうとしていることが分かる」

 こうした説明の仕方は、「天けん説」と呼ばれることがあります。

 もう一つが、「邪気や陰陽の不調和が、自然現象として現れる」という理論です。

 「刑罰が適正をかくと、邪気が生じる。邪気が下に積もると、怨恨憎悪が上に集まる。上下が不和になると、陰陽にひずみくるいが生じて、災異が起きる」

 悪政によって悪しき想念のようなものが生まれ、その反作用で災害が起きるというイメージでしょうか。この説明の仕方は、「感応説」と呼ばれることがあります。

 かたや天を人格のように捉えており、かたや自然法則そのもののように捉えています。二説がどのように使い分けられているかについては、後世の研究者の間でも諸説あるようです。

 

悪徳と災害の関係

 『漢書五行志』には、「為政者の悪徳と、それが起こす災害の種類」について、さまざまな法則やケーススタディが記されています。当時の人たちが「災害が為政者の不徳によるものだとして、いったい人間はそこから何を読み取るべきなのか」について、必死で探究していたことが伺えます。

 昨今の中国大陸を襲う災害に関するものをあえて紹介すると、以下のような内容が見られます。

 政治家が鬼神を敬わなければ、多くの河川が氾濫して村や町を破壊する。

 君主が有徳者を登用しなければ、水が流れて人を殺し、水がひけば地面に虫が生ずる。

 魯と宋の間で長年にわたって戦が起きた。人々は悲嘆と不満をつのらせ、陰の気が盛んになり、両国に洪水が起こった。

上に立つ者の心が暗愚でおおわれていると、善悪を見分けることができず、近しい者ばかりを重用し、罪のあるものが誅殺されず、官僚体系が混乱する。その結果、民が病にかかる。

 上に立つ者がさまざまな意見に耳を傾けなければ、下々の思いがさえぎられ、豚が大量に死ぬなどの「豚の禍」が起きる。

 上に立つ者が欲深く残忍で民から搾取すれば、イナゴの害が起きる。言葉が素直でない時も、こうした殻のついた動物の害が起きる。

 「為政者の不信仰」「政治家や官僚の腐敗」「戦争への傾倒」「民意の無視」「搾取」「嘘」などが、各種の災いを招くことが書かれています。

 

「災異説」は暴政のストッパー

 後世の多くの研究者は「災異説」を、「為政者の横暴を抑止する機能を持っていた」と分析しています。

 漢のある皇帝が、以下のような詔(みことのり)を発したという記録が残っています。

 「思うに災異は天の戒めである。朕は士と民の上に立つ地位を託されながら、多くの衆生を調和させることができない。近日、北海と琅邪に地震が起こり、祖宗の廟を破壊した。朕ははなはだ驚き恐れている。この異変に対処し、朕の足らざるところを補う方法があれば、忌憚なく申し述べよ」

 為政者が謙虚な政治を行うため、「天の意志を慮る」という思想は、中国の歴史の中で非常に大きな役割を果たしていたことが分かります。