成果をあげるには 自らをマネジメント

 成果をあげるには、まず自らをマネジメントすることから始めなければなりません。自分をマネジメントできない者が他人や仕事をマネジメントすることはできません。他人や仕事をマネジメントすることができなければ成果をあげることは難しいのです。よって、成果をあげるには、自らをマネジメントすることが重要になります。

 自らをマネジメントする上で大切なことは何でしょうか? 基本的なことですが、最初に下記の4点を意識することが最も重要です。

 ・目標とビジョンを持つ

 ・人に恥じないことを行う

 ・全ては自己責任である

 ・素直に学ぶ

1 目標とヴィジョンを持つ

 よく言われることですが、意外にしっかりと意識している人が少ないようです。目標やビジョンがなければ方向性がわからなくなってしまいます。目標やビジョンがあるが故に、今自分の行っていることに正当性があるのです。そうではなく、ただ闇雲に毎日忙しく働いているだけであれば、10年後自分が何も達成できていないことに気づくことになるでしょう。

 目標やビジョンは、あなたの人生の目的地であると同時に、あなたの人生の道標にもなってくれます。

 あなたはこれから人生に迷うことも当然あると思います。しかし、そのときに目標とビジョンが明確であれば方向性を見失うことはありません。目標・ビジョンという目的地と現在地(現状)とを照らし合わせて、進むべき方向を見出せば良いのです。あなたは、しっかり自分の目標とビジョンを持って、それに向かって前進していかなければなりません。

 できれば目標はお金ではない方が良いでしょう。
 自分がやりたいこと、自分が本当に充実感に満たされて幸せになれることを目標やヴィジョンに掲げることをおすすめします。

 もちろん、お金持ちになりたいというのも立派な目標ですが、お金持ちになった後に何がしたいのかというものがあった方が仕事に情熱が持てます。本来、お金は手段であってそれ自体に意味はありません。

 また、これは自分は「他人から何によって知られたいか」を自問することで、自らがなすべきことを知ることができるのです。

 あなたが人から「彼、彼女は◯◯をした人」だと言われたいとした場合、◯◯の部分があなたが最も重視すべき価値観なのだと知ることができます。本当に自分が情熱を持てるものを見つけ、それに向かって断固突き進む勇気が持てれば、誰でもその目的地にたどり着くことができるのです。

2 人に恥じないことを行う

 世の中には人を騙してお金を稼いでいる人が存在します。それはヤクザや詐欺師と言われる犯罪者だけではなく、合法的に人を騙して大金を得ている人たちがいるのです。そのようなグレーな商売をして大金を稼ぐ人が大勢いるのは事実ですが、しかし、そういう人は家族や友人に自分の仕事を誇りを持って言うことができるでしょうか。きっと後ろめたさがあるので自らの仕事を他人に説明することはできないでしょう。そういう人は、はじめはよいかもしれませんが、いずれボロが出て他人からの信用を失います。人に恥じない仕事をするよう常に自分を律していなければ、貴重な財産である人からの信用を失い、いずれ自らを破滅させることになります。

3 全ては自己責任である

 これは大事な考え方であり、多くの人に足りないものです。仕事で何か問題が発生するとすぐに言い訳をする人がいます。

 それが自分の過失である場合に言い訳をする人は言語道断ですが、それが自分に過失がなくても言い訳はするべきではありません。「上司に言われたから」や「部下が指示をきかなくて」などと言い訳をしようと思えば、いくらでもそれを考えることができます。世の中の多くの人が、特に組織に働く人には、現在の自分の仕事が理想的なものではないことが多いと思います。
 また、一緒に働く人間を自分で選ぶこともできないと思います。しかし、皆同じ環境で働いているのです。そして、元々は自分がその仕事を選んで働いているのです。

 自分の仕事で起こった問題は、原因の如何に関わらず、全て自分にも責任があるのだと考えなければいけません。

 「上司に言われてやったからトラブルは自分の責任じゃない」という人は、まったく主体性がなく自己責任の感覚が欠如しています。

 「俺は最初から絶対上手くいかないと思ってたんだよ」などと、後で愚痴をこぼしたり言い訳をするのも止めるべきです。その仕事が失敗すると思ったのであれば、その旨を最初に上司に言うべきです。それが言えない環境だとしても、その環境を選んだのはその人自身です。
 責任をとりたくなければ、大きな仕事は与えられませんし、それを成し遂げることもできません。

 大きな仕事で成果をあげたければ、自己責任という考え方を重視する必要があります。

 

4 素直に学ぶ

 何かを新しく学ぼうと思ったら、先入観を持って学んではいけません。また、教えてくれる人がいるのであれば、その人の言うことは、まずしっかり聞かなければいけません。新しく学ぶときに、あなたの意見が必要なことはほとんどありません。よく教えてもらっている人に対して、「私はあなたと違ってこう思う」などと言う人がいますが、それは教えてもらっている段階では、心に留めておけばいいのです。

 もちろん、質問することは良いことです。しかし、学ぶときには、素直に相手の言うことを受け入れる姿勢が重要です。間違っていることがあれば、後でそれを正せばよいのです。何かを学ぶときは、「話すな、聞け」という思考を肝に銘じておかなければなりません。また、新しい仕事を始めるときには、新しい仕事のやり方を学ばなければなりません。前の仕事では、こういうやり方で上手くいっていたから今回も同じやり方でやるというのは間違いです。新しい仕事にはその仕事に合った方法があるはずです。したがって、新しい仕事をするときには、必ず「新しい仕事で成果をあげる為には何をしなければならないか」を自問しなければなりません。

 自らをマネジメントする方法は下記の4点です。

 ・自らの強みを知る

 ・仕事の仕方と価値観に着目する

 ・時間を管理する

 ・最も重要なことに集中する

1 自らの強みを知る

 人は強みによってのみ成果をあげることができます。弱みを克服することではなく、強みを伸ばすことによって成果を上げるのです。

 日本の教育では全ての教科を人並みに出来るようにすることに注力しています。したがって、多くの人が弱みを克服しようと必死に努力をしています。しかし、弱みを克服しても人並みにしかならないことが多いのです。優れた成果をあげるには、人より優れた自らの強みに焦点を合わせなければなりません。

 では、自らの強みとは何でしょうか。多くの人は自らの強みを自分で理解していると思っています。しかし、自分で思っている強みが、実際には間違って認識されていることがあります。人は自分が思っている以上に自分のことをわかっていないものです。

 どのように自らの強みを知ればよいのでしょうか。方法は2つあります。しかも、2つとも行う必要があります。

 一つ目は、身近な他人に聞くことです。自らの強みを明らかにしたいのであれば、客観的な意見が必要になります。それを、最も簡単に行う単純な方法は人に聞くことです。家族や親しい友人、会社の上司や同僚などの身近な人間に自分の強みは何だと思うか尋ねるのです。これを聞いた場合、以外な答えが返ってくることがあります。

 二つ目は、フィードバック分析を行うことです。これは、何かものごとを始めるときには、それによって期待される結果を予め書き留めておき、実際の結果と照らし合わせて定期的に検証と反省を行うというものです。これを半年、1年、2年、3年と定期的に行うことによって、自らの強みが明らかになってきます。半年前に期待していた結果と実際に得られた結果を照らし合わせながら、その半年間の仕事を振り返ると、自分の得意とするものや苦手とするもの、独自の癖やこれから勉強しなければならないことなど、色々なことがわかってきます。

 そして、このフィードバック分析後に、下記の7点に意識的に取り組まなければなりません。

明らかになった強みに集中する

 明らかになった強みに集中しなければ、成果をあげることはできません。

その強みをさらに伸ばす

 いったん強みが明らかになれば、その強みをさらに伸ばすべく努力を続けなければなりません。

知的な傲慢を正す

 ある一定の分野に詳しければ、他の分野のことは知らなくてもよいという考え方は間違いです。自分の専門外の知識がない為に仕事に失敗する可能性があることを認識すべきです。

悪癖を改める

 多くの人は仕事の妨げになるような悪癖を持っていると思います。例えば過度の飲酒や夜更かしなどです。フィードバック分析の結果、わかったこのよう悪癖を改めなければなりません。

人への接し方を改める

 人間関係によって仕事が上手く進まないという人もいます。仕事での人間関係は、相手に敬意を持って礼儀正しく接していれば、こじれるということはないでしょう。人への接し方が雑な人は、態度を改めなければなりません。

行っても成果のあがらないことは行わない

 人には、明らかに能力がなく苦手なことがあるものです。そのような分野では、努力して成果をあげることは難しく、最終的に他人に迷惑をかけることになるので仕事を引き受けてはなりません。

並にしかなれない分野に無駄な時間を使わない

 苦手ではないが、努力しても並み程度の成果しかあげられないものは切り捨てるべきです。そのような時間とエネルギーがあるのなら強みに集中すべきです。

 このように、まず自らの強みを知り、その強みに焦点を合わせていくことが、自らをマネジメントすることの一つであり、成果をあげる方法なのです。

 

2 仕事の仕方と価値観に着目する

 自らの強みを知ることと同様、自らが得意とする仕事の仕方を知ることも重要です。 一般的には、特に組織で働く人には、仕事の仕方には唯一正しい方法があると思い込んでいる人が多い。しかし、実際には、その人に合った仕事の仕方というものがあります。それは、個性であり、これもフィードバック分析で明らかになります。早いうちに自らの得意な仕事の仕方を見つけて、その方法で仕事に取り組むようにしなければなりません。そして、最初に知っておくべき基本的なことは、ものごとの理解の仕方です。これは、人には「聞く人」と「読む人」がいるということです。これに関して意識している人は少ないと思いますが、人には聞かなければ理解できないという人と読まなければ理解できないという人に分かれます。これを知らずに自分に合わない方法で理解しようとすると、間違いが起こります。

 また、仕事の学び方も人それぞれだということも理解しなければなりません。書かなければ忘れてしまう人もいれば、実際に仕事をしながら学ぶという人もいます。学校では皆同じ方法で学ぶよう教えられるために、これに気づかない人も多いのですが、仕事の学び方も、人によって得意な方法とそうでない方法があることを理解しなければなりません。

 また、理解の仕方や仕事の学び方以外にも意識しなければならないことがあります。それは、人と組むか一人でやるかという問題です。組織で働いている人は、自分では選べないかもしれませんが、組織の中でもできる限りのことを自分一人でやりたいという人もいれば、仲間と協力しながら仕事を進めていきたいという人もいます。これも個人の適性であって、一人の方が上手くいく人もいれば、人と組んだときに上手くいく人もいます。

 また、人と組む場合には、意思決定者と補佐役のどちらが適正かということもあります。補佐役として優秀でも、優柔不断で意思決定には向かない性格の人もいますし、その逆もあります。

 また、組織との関係においても、大きな組織が良いか小さな組織が良いかということがあります。

 大企業では力は発揮できなかったけれども、中小企業に移った途端成果をあげられるようになったという人もいます。その逆の人もいます。仕事の環境として、ベンチャー企業のように不安定で緊張感があった環境の方が良いか、大企業のように安定した環境の方が良いかということもあります。近年、終身雇用制度が崩壊したと言われていますが、今後、グローバル化によって、さらに人材の流動化が進むと予想されます。そのような世の中では、自分の適性にあった組織に移るチャンスも多く生まれてくると思います。

 自分の適性が早いうちからわかっていれば、そのチャンスを逃さず、自らが得意とする仕事の仕方で、もしくは適した環境で働くことができるようになると思います。

 以上のように、自分の適性はどのようなものかをなるべく早く知ることが、成果をあげることへの近道となります。そして、その適性に逆らって仕事をしても、成果をあげることは難しいので、自分に合った仕事の仕方、環境で働くことを強くおすすめします。また自らをマネジメントする為には、強みや仕事の仕方とともに、自らの価値観を知っておかなければなりません。  

 人と同じように、組織にもそれぞれ価値観があります。企業であれば「社是」や「企業理念」などに表されていることがありますが、そういった表面上のものでなくても、その組織に属していれば価値観がわかると思います。

 同じように、個人にも価値観があります。組織の価値観と自らの価値観がずれていたとしても問題はありません。しかし、共存できないほどにかけ離れていた場合は上手くいきません。その場合は、お互いの価値観が共存できるような組織に移る方がよいでしょう。

 また、自らの仕事と価値観のずれという問題もあります。自分が行っている仕事と価値観が共存できなければ成果をあげることはできません。たとえ成果をあげられたとしても、幸せにはなれません。この場合は仕事を変えた方が良いでしょう。

 自らの強みや仕事の仕方が価値観と共存できない場合は、価値観を優先させるべきです。そうでないと、ずっと心の中で苦しむことになりますし、仕事が上手くいっていたとしても、充実感に満たされず、幸せにはなれないでしょう。

 自らをマネジメントするという意味では、この価値観というのは、最も重要な部分かもしれません。

 自らの得意とする仕事の仕方、環境、そして、自らの価値観を知るということは、自らをマネジメントする上で、そして、成果をあげる上でとても大事なことです。

 自らの強みと合わせて、なるべく早めに見極めることが重要です。

 

3 時間を管理する

 自らをマネジメントする上で、時間を管理することは重要です。時間はあらゆる資源の中でも最も貴重なものです。時間だけは1日24時間と常に限りがあり、それを増やすことも他のもので代替することもできません。そこで、この最も貴重な資源である自らの時間を管理することが、成果をあげる上では欠かせない要素となってきます。

時間を管理する具体的な方法は下記の3段階です。

 ・自らの時間の使い方をリアルタイムに記録する

 ・記録して明らかになった時間を整理する

 ・整理して自由になった時間を大きくまとめる

 この3つを行うことが、成果をあげる時間管理の基本です。

(1) 自らの時間の使い方をリアルタイムに記録する 時間を管理する為には、自分がどのように時間を使っているかを把握しなければなりません。

 そして、人は記憶によって時間を知ることができないという事実を認識しなければなりません。

 窓も時計もない部屋に一日中いると人は時間感覚を失ってしまいます。自分の過ごした正確な時間が分からず、記憶を辿ってもその時間を大きく、もしくは、小さく見積もってしまいます。そこから分かるように、自分の時間の使い方を記録する際は、リアルタイムに記録しなければなりません。大変かとは思いますが、これを最低でも3~4週間記録を取ります。

 そして、できれば年に2回ほど行えれば、より正確な時間が把握できると思います。こうして得られた記録を見ると多くの人は驚くと思います。

 きっと自分が考えていた時間の使い方とは違う結果が得られるからです。そして、いかに自分が時間を無駄なことに使っていたかが分かるでしょう。

 しかし、これで時間管理のベースが整います。 人は、本来自分のことを知りたいと思うものですが、自分自身のことを本当に理解することは難しいことです。しかし、自分自身の時間を知ることはできます。 上記を行うことで、自らの時間に関しては客観的に見ることができるのです。

(2) 記録して明らかになった時間を整理する

 次に時間を整理していきます。時間を浪費する非生産的な活動を見つけて排除していく作業です。

 テレビや漫画を読んでいる時間が長いなど、そういった一目で分かる無駄な時間をすぐさま排除しなければなりません。問題なのは、仕事上での非生産的な活動を排除していく作業です。これは、以下の3つのことを考えることで行うことができます。

自分の全ての仕事に対して「行わなければ何が起こるか」を問う

 これを自問して、答えが「何も起こらない」であれば、その仕事はすぐにやめなければなりません。何も問題が起こらないのであれば、その時間を他の成果のあがることに使うべきです。

 他の人が行えることは何かを考える

 新入社員などであれば難しいかもしれませんが、本当にやるべきことをやる為に、自分がやらなくてもよいことは他の人に任せるという考え方は重要です。

他人の時間を浪費する活動はないかチェックする

 

 自らの活動が他の人の時間を浪費している場合に、それを排除する作業です。
時間は最も貴重な資源であるだけに、他人の時間を浪費することは罪です。例えば、自らが設定したミーティングに参加する必要のない人がメンバーとして加えられている場合などです。これは、自分で気づくことは難しいのですが、簡単にわかる方法があります。それは単純に他人に聞くということです。

 聞き方や関係性によっては正直に答えてくれない場合もあるかと思いますが、「正直、私があなたの時間を無駄に浪費している活動はないですか?」という趣旨の質問を、真摯に他人に投げかけることが大切です。

 これら3つのことを行うことによって、時間を整理することができます。

 時間を整理するときに、重要な仕事まで整理してしまうのではないかと不安に思うものですが、たいがいは杞憂に終わるものです。もし、仕事を整理しすぎた場合は すぐに分かるものです。

 また、自らコントロールできる非生産的な活動以外にも、マネジメントの欠陥によって起こる時間の浪費があります。

 それは大きく以下の4点です。

 第一は、周期的な混乱や繰り返し起こる混乱からくる時間の浪費の問題です。

 例えば、棚卸しの際に起こる在庫管理の問題などです。こういった問題に毎回個別に対応していくのは時間の無駄です。こういう場合は、予め予防策を考えておくか、事務的に処理できるよう日常の仕事にルーティン化しなければなりません。

 第二には、人員過剰からくる時間の浪費の問題です。

 人が多すぎる為に無駄な時間が使われるということはあります。大きな組織では、プロジェクトを進めるうえで、面子を立てるためや個人的な人間関係の摩擦を避ける為に、直接的に関係のない人間の理解を得なければならない場合があります。そういった人間の理解を得るために、一から説明をするのは時間の無駄です。こういったことでプロジェクトの進行が遅れるのは馬鹿らしいことです。

 第三は、組織構造の欠陥からくる時間の浪費です。 代表的なものが過剰な会議です。会議は本来組織構造の欠陥を補う為に行うもので、会議が多すぎるというのは、仕事の組み立て方や組織の単位に問題があります。理想的な組織は、会議がなくても意思疎通の図れる組織です。会議は、原則ではなく、例外にしなくてはなりません。

 第四には、情報機能の障害からくる時間の浪費です。 必要な人に必要な情報が伝達されない場合などです。例えば、ある新製品開発の案件に関して、マーケティング担当と開発担当で毎日メールでやりとりをしていたとします。そして、開発の決済をとる為には、担当上司にそのメールでのやりとりの過程を再度一から説明し納得してもらわなければなりません。しかし、そういった場合には、はじめからメールの宛先に担当上司を追加しておくよう決めておけば、同じ情報が共有できているので、それほどお互いの時間を取られることもないでしょう。情報を必要な人に適切なタイミングで共有できるようにしておく必要があります。

 これらのマネジメントの欠陥からくる時間の浪費に関しては、一人の力では克服することは難しいかもしれません。しかし、少なくとも、問題提起をして皆で改善する努力をすべきです。自分自身と組織と両方の成果に対して責任を持たなければなりません。

(3) 整理して自由になった時間を大きくまとめる

 最後に、時間の記録と整理によって自由になった時間をまとめなければなりません。成果をあげるべく物事に取り組む場合には、細切れの短い時間では不可能だからです。

 時間を整理したとしても、自由になる時間はそれほど多くはない。例えば、自由な15分間を何回かに分けて、重要な仕事にあてていても成果はあがらないでしょう。成果をあげたいのであれば、時間を大きくまとめて集中して仕事にあたらなければなりません。そして、油断すると、すぐに目の前の仕事に時間を奪われてしまいますので、重要な仕事には自ら締め切りを設ける必要があります。その締め切りに遅れると、再び自由な時間が不足することを自覚するのです。このように、時間を管理する為には努力が必要です。

 しかし、勇気を持ってこれを行わなければ、自らをマネジメントすることはできません。そうしなければ、成果をあげることからどんどん遠ざかってしまいます。

 時間を管理する作業は、複雑なように感じるかもしれませんが、基本は、時間を記録し、整理し、まとめるだけです。

 この3つの作業を意識しましょう。

 

4 最も重要なことに集中する

 成果をあげる為に大切な要素は集中するということです。これは、最も重要なことから始め、一度に一つのことしか行わないということです。

 人は、何も考えていないと、やりやすいことから手をつけてしまいがちです。しかし、最も重要なことを見極めて、それを行うことから始めなければなりません。また、一度に複数のことに手をつけてしまう人も多いと思います。しかし、一度に行うことは一つまでと決めなければなりません。

 成果をあげるために行わなければならないことがたくさんあります。しかし、自由に使える時間には限りがあります。実際、一つのことを成すにも時間が足りないのが現実です。

 一度に一つのことに時間とエネルギーを集中して投入するのが、成果をあげるための一番の近道なのです。

 成果のあがらない人は、以下のことを行っています。

・一つの仕事に必要な時間を少なく見積もる

 彼らは短い時間で上手くいくだろうと楽観しますが、たいていは予想外の問題が発生し、時間が足りなくなります。何事も余裕をもってあたらなければなりません。

・急ごうとする

 このために焦ってしまい、結局はミスが生まれさらに遅れてしまいます。 成果をあげるためには、時間と競争してはなりません。急いで早く終わらせても、仕事が雑であっては意味がないのです。「急がばまわれ」です。

・同時に複数のことを行う

 このために、どの仕事に対してもまとまった時間が割けずに、どの仕事も中途半端で不十分な状態になってしまいます。自分が並外れた天才ではないと自覚のある人は一つのことに集中しなければなりません。

 成果をあげるためには、最も重要なことから始め、一つのことに時間とエネルギーを集中することです。

 集中する為の原則の一つは、生産的でなくなった過去のものを捨てることです。多くの人が過去の決定によってもたらされた仕事に追われています。しかし、集中する為には、生産的でなくなったものから排除しなければなりません。成果をあげるためには、明日の機会に焦点を合わせなければならないからです。そして、そのためには、定期的に自らの仕事を見直し、以下のことを自問しなければなりません。「まだその仕事を行っていなかったとして、今これに手をつけるべきか」 この答えが無条件で「イエス」でない限り、その仕事はやめるか、縮小しなければなりません。そして、生産的でなくなった過去のものを捨てると同時に、集中するためのもう一つの原則として、優先順位と劣後順位を決めることが大切です。

 複数のことを同時に行ってはいけません。優先順位とは、手をつけなければならないことの順番を決めるものです。劣後順位とは、手をつけてはならないことの順番を決めるものです。この両方を行わなければなりません。  劣後順位は上記の過去を捨てる作業と同時に行うべきでしょう。優先順位を設けている人は多くいると思いますが、劣後順位を設けている人は少ない。しかし、手をつけてはならないことを明確に決めない限り、過去の仕事の圧力によって必ず時間を奪われてしまいます。

 優先順位の決定には、以下の4つの重要な原則があります。

 ・過去ではなく未来を選ぶ

 ・問題ではなく機会に焦点をあてる

 ・横並びではなく独自性を持つ

 ・無難で容易なものではなく変革をもたらすものを選ぶ

 成果をあげたいのであれば、これらの原則に即して仕事の優先順位を決めなければなりません。また、優先順位、劣後順位ともに、現実に照らし合わせて変更していかなければなりません。現実は刻々と変化していきます。そのため、優先順位、劣後順位が変わることは自然なことなのです。したがって、これもまた定期的に見直しを行う必要があります。

 最も重要なことに集中することは勇気のいる作業です。しかし、勇気を持って決断すればきっと成果をあげることができるでしょう。

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