パワーマネジメント
組織と人材マネジメントにおけるパワーとは何かについて考えていきましょう。
企業組織において、リーダーは業務の目標達成のためにリーダーシップを発揮して組織を牽引していますが、その際にリーダーシップだけでなくパワーが必要となります。
ここで言うパワーの例としては、相対的な地位に由来する権力、知識や報酬を与えることができる能力、メンバーに対して恐怖心を与えることができる能力、みんなに好かれていることなどが上げられます。
組織と人材マネジメントにおけるパワーは、次の4つに集約することができます。
賞罰:
メンバーの年収や出世について影響を及ぼす力を持つ人がメンバーに対して権力を行使できるもの
正当化:
個人的な損得勘定ではない納得性からくる権力 「代表取締役の命令なので従って当然」と思わせる力
同一化:
心理的に一心同体となることで発生する権力 「この人のためなら休日出勤もいとわない」と思わせる力
情報:
専門的な知識や優れた情報を持っていることを基盤とした権力
これらのパワーについては、リーダー1人だけに集中しているわけではなく、組織内で分散して存在しています。
例えば、特定の業務に関してリーダーよりも高度な専門知識を持ったメンバーは、その人にパワーがあることを周囲の人は認識します。
この様に、パワーは組織内で分散して存在しているのですが、各人が自分の目標達成のためだけにパワーを用いるようになってしまうと、それは組織内での政治活動となり、そのメンバーが所属する組織やグループにとって好ましくない状態に陥ってしまいます。
一方、組織内でパワーが適切に分散していると全員参加型の組織運営も可能となります。
このようなプロセスは、パワーを握っている人が自分以外のメンバーに対してパワーを分け与える「エンパワーメント」を行うことによって達成されます。
しかし、全員参加型のグループを運営する能力のないメンバーに対してエンパワーメントを行ってしまうと、そのまま組織にとってのリスクとなってしまいます。