被用者年金一元化(5)

 平成27年10月より始まる被用者年金制度の一元化についてですが、今回が最後です。

在職支給停止の「激変緩和措置」

 平成27年10月以降は、厚生年金保険法による在職老齢年金の仕組みが適用されますが、老齢厚生年金と退職共済年金の両方を受けている人が、平成27年10月1日以降も引き続き厚生年金の被保険者である場合、一元化前に在職停止がなかった方が、一元化後に在職停止がかかってしまうことがあります。このような方でも、必ず在職支給停止になるわけではなく、「激変緩和措置」がとられます。

 『標準報酬月額相当額』と『厚生年金と共済年金を合わせた1月当たりの年金額』の合計額が35万円を超える方や、一元化前に在職支給停止があった方は、複雑ですが、以下の①、②、③の支給停止額の低いほうが在職支給停止となります。

① 一元化後の本来の在職停止額
 (報酬月額 + (老齢厚生年金 + 退職共済年金) - 28万円) ×1/2

② 35万円保障による在職停止額
 (報酬月額 + (老齢厚生年金 + 退職共済年金) - 35万円

③ 上限1割による在職停止額停止額
 (報酬月額 + (老齢厚生年金 + 退職共済年金) - 一元化前の在職停止) × 1/10
 + 一元化前の在職停止

*『標準報酬月額相当も額』と『厚生年金と共済年金を合わせた1月当たりの年金額』の合計額が35万円以内 であれば、在職支給停止はないということです。

事例
 62歳  
 報酬月額  26万円
 年金額(月額) 厚生年金  6万円   
        共済年金  6万円

○一元化前の在職停止額  2万円  
 厚生年金  (報酬月額 + 老齢厚生年金 - 28万円) ×1/2
       (26万円  +  6万円      - 28万円) ×1/2 = 2万円
 共済年金  在職停止なし   26万円 + 6万円 = 32万円 < 47万円

○一元化後の在職停止額

① 一元化後の本来の在職停止額 停止額
 (報酬月額 + (老齢厚生年金 + 退職共済年金) - 28万円) ×1/2
 (26万円   + (6万円         +    6万円)      - 28万円) ×1/2 = 5万円

② 35万円保障による在職停止額
    報酬月額 + (老齢厚生年金 + 退職共済年金) - 35万円 
     26万円  + (6万円         +    6万円)      - 35万円 = 3万円

③ 上限1割による在職停止額
    (報酬月額 + (老齢厚生年金 + 退職共済年金) - 一元化前の在職停止)× 1/10
    + 一元化前の在職停止  
    (26万円   + (6万円         + 6万円)         -     2万円) × 1/10
    + 2万円 = 5.6万円

 したがって、②の3万円が実際の在職支給停止となります。

 激変緩和措置が取られるには、平成27年10月1日に引き続き厚生年金の被保険者であることが要件とされます。

 平成27年10月1日以降に厚生年金の被保険者となった方は、この激変緩和措置は取られません。

例)平成27年9月30日まで共済組合に在籍
  平成27年10月1日に民間会社に転職  という場合
 10月1日に厚生年金の同日得喪の扱いとなります。

 この方は退職改定にあたるので、この激変緩和措置は取られません。

 

 ブログで書きましたが、元となるものがあります。こちらの方がやや詳しい。 

こちら をご覧ください。

 これからも年金を中心に労働問題へも広げて『バカまじめ』に情報発信していきたいと思います。