就業規則(8)
服務心得の具体的事項
○出退勤に関する規律
従業員が守るべき基本的なルールとして、次の事項を規定します。
(1) 始業時刻までに出勤し、所定の方法で出勤の事実を明らかにすること
(2) 退勤時は、整理整頓後、退勤の事実を明らかにし、速やかに退勤すること
(3) 出退勤の事実を明らかにする方法としては、タイムカードの打刻又は出勤簿によること
また、本人以外のものによる不正打刻行為を禁止すること
○入退場に関する規律
服務に関する規定は、組織秩序を維持することを目的としたものです。この考え方に基づいて職場への入退場に関する事項についても規定をしておくべきでしょう。 例えば、社員が組織秩序を阻害するおそれがあるときは、その入場を禁止することになります。 また、職場で秩序を乱すような行為をした場合は職場を出て行ってもらうことになるでしょう。 入退場に関する規定には、そうした内容を記載することになります。
○所持品検査の規定
会社が従業員に対して、所持品検査をすることには、ある程度の業務上の必要性があると考えられます。
しかし、所持品検査は重大なプライバシーの侵害になる恐れがあるために、無制限に許されるものではありません。
また、検査を行う理由については、まず、業務に関連した範囲にとどめる必要があると言えます。
会社の管理責任を問われない程度の従業員間の個人的な問題については、自己責任とするように区別しなければなりません。
所持品検査が適法とされるためには、次の4つの要件が満たされていなければなりません。
(1) 所持品検査を必要とする合理的理由に基づくこと
(2) 一般的に妥当な方法と程度で行われること
(3) 制度として職場従業員に対して画一的に実施されること
(4) 就業規則その他明示の根拠に基づき行われること
○遅刻、早退、欠勤等
不意の遅刻、早退、欠勤は業務の遂行に影響を及ぼすので、これを最小限にするため、所定様式による届出により、事前の届出と許可の励行が必要です。
遅刻、早退については、あらかじめ会社に届け出て承認又は許可を得ることとし、やむを得ず遅刻した場合には事後速やかに届け出て承認を得る等、明確に定める必要があります。 また、交通の延滞等、本人の責任が及ばない理由による遅刻、その他の不就労の場合の例外的な取扱いについても明確に定めておくべきです。
規定例
やむを得ない事情により、あらかじめ届け出ることができない場合には、欠勤中あるいは出社後、速やかに届け出て承認を受けなければならない。
遅刻、早退、欠勤については、懲戒規定にも個別に明記しておくこと。定めていない場合は、懲戒処分ができないのです。
○私用面会・私用外出
私用面会や外出等の職場離脱については、その間は不就労となり、また、事故防止という観点からも規定により制限を加えるべきです。
原則として休憩時間中に限るとし、緊急やむを得ない場合のみ、会社の許可を得て面会又は外出できる旨を定めるべきです。
○マイカー通勤
マイカーによる通勤に関しての規定をしている会社はまだまだ少ないようです。多くの会社で「業務と直接関係ないから」と黙認しているところも、多いことでしょう。しかし一度おきてしまうと非常にもめることになります。特に若い社員で十分な任意保険に入っていないケースもありますので、会社としてはリスクを認識する必要があるでしょう。 まず、マイカー通勤については許可制にすることと、その条件として保険に加入することとします。
また免許証や保険証券の写しなどを提出させ毎年の更新型とします。 こうすることにより、運転者の賠償能力を担保することが可能です。 加入保険の条件についても具体的に定めることが肝要です。
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