労使協定制度
労働基準法上の労使協定制 とは
「事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定」
(1) 労使協定の効力
「労働基準法上の労使協定の効力は、その協定に定めるところによって労働させても労働基準法に違反しないという免罰効果をもつものであり、労働者の民事上の義務は、当該協定から直接生じるものではなく、労働協約、就業規則等の根拠が必要なものである」(昭和63年1月1日基発第1号)としている。 ただし、労働基準法第39条第5項のいわゆる年休の計画的付与に係る労使協定を締結した場合、「労働者の時季指定権及び使用者の時季変更権はともに行使できない」(昭和63年3月14日基発第150号)としている。
(2) 「労働者の過半数を代表する者」について
ア 過半数代表者は、次のいずれにも該当する者とする。(労働基準法施行規則第6条の2第1項)
・法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位にある者でないこと。
・法に規定する協定等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続により選出された者であること。
イ 使用者は、労働者が過半数代表者であること若しくは過半数代表者になろうとしたこと又は過半数代表者として正当な行為をしたことを理由として不利益な取扱いをしないようにし
なければならない。(労働基準法施行規則第6条の2第3項)
(3) 周知義務
使用者は、労働基準法上の労使協定について、常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を交付することその他の厚生労働省令で定める方法によって、労働者に周知させなければならなりません。(労働基準法第106条)
○労働基準法上の労使協定の効果
労働基準法上の労使協定の効果 |
根拠条文 |
(1) |
(2) |
労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理することができる。 |
第18条 |
× |
× |
賃金の一部を控除して支払うことができる。 |
第24条第1項 |
× |
× |
1ヶ月単位の変形労働時間制を導入することができる。 |
第32条の2 |
○ |
○ |
フレックスタイム制を導入することができる。 |
第32条の3 |
○ |
○ |
1年以内の期間の変形労働時間制を導入することができる。 |
第32条の4 |
○ |
○ |
1週間単位の変形労働時間制を導入することができる。 |
第32条の5 |
○ |
○ |
一斉休憩原則の適用が除外される。 |
第34条第2項 |
○ |
○ |
時間外・休日労働を行うことができる。 |
第36条 |
○ |
○ |
事業場外労働のみなし労働時間を定めることができる。 |
第38条の2第2項 |
○ |
○ |
専門業務型裁量労働制を導入することができる。 |
第38条の3 |
○ |
○ |
年次有給休暇の計画的付与をすることができる。 |
第39条第5項 |
○ |
○ |
有給休暇の期間について、標準報酬日額に相当する金額の賃金を支払わなければならない。 |
第39条第6項 |
○ |
× |
○その他の法律上の労使協定制度
育児・介護休業法においては、事業主が、一定の範囲の労働者からの育児・介護休業申出を拒むことができる場合の要件として、労使協定制度が法律上規定されています。(育児・介護休業法第6条、第12条)
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