お客様の立場で考える

大川隆法 未来への羅針盤 ワールド・ティーチャー・メッセージ No.255

 「お客様のために」というよりは、「お客様の立場に立って」考えなければ、正しい仕事ではないのです。見返りを求めず、人に思いやりを持って接する「与える愛」を仕事に転化したら、そういう姿が表れます。

 「お客様のために」と思ってやっている人の中にも、自我があります。押しつけというか、自分なりの思い込みでやっている場合もあり、間違っている人はいます。「お客様の立場で考える」ことが正しい仕事の仕方ですね。

 

お客様の立場で考える

 仏法真理が理解できないようなタイプの方であれば、経済学的な観点から、「お客様の立場でものを考えましょう」という提案をなされたらよいでしょう。それが真理の面で言えば、「与える愛」の立場ですので、それで構いません。

 「常にお客様の立場で考えてみましょう」と提案して、順々に説得していく。これは決して悪いことではないですし、世界共通に言われていることですが、なかなかできないことです。みんな、自己中心になります。

 地動説と天動説がありますが、地球に立っていて、「地球の方が回っている」と思える人は、あまりいません。地球はじっとしていて、太陽や星や月が回っているようにしか見えません。

 あなたの上司のような人たちもそうです。自分を中心に周りが回っているのであって、まさか自分が立っている足場が、地球が回転しているなんて、なかなか理解できないものです。それが、自我や名誉心が強い人の特徴です。

 社長族にもたくさんいて、特に中小企業の社長に多くいます。「世間はすべて自分中心に回っている」と思っていますが、実際は逆なのです。「地球の方が自転し、公転して回っている」ということを知らない人はたくさんいます。

 そこは、結局、「社業が長く繁栄するかどうかの鍵」でもあります。

 これは、仏法真理だけの立場からでなくても、仕事の立場で言うことができるはずですし、その考え方は他の人に理解を求めることができると思います。

参考

 ところで、企業は「お客様のために」と言いながら、自分たちの考え方、やり方を押しつけていることが多い。

 正しい考え方は、「お客様のために」ではなく、「お客様の立場」で考えること。

 幸福の科学大川隆法総裁は、『智慧の経営』で以下のように説かれました。

「どこの会社でも、「お客様第一主義」ということを掲げ、「顧客を大事にせよ」「お客様のほうを向け」などと、言葉としては言っているのですが、この点に関して、よく間違いがあるのです。
 その間違いとは、「『お客様のために』と言いながら、自分たちの考え方、やり方を押しつけていることが多い」ということです。本社など現場から離れたところで、「このようにすれば、お客様のためになる」と考えていても、自分たちがよいと思うことを、顧客に押しつけているだけの場合があるのです。
 正しい考え方は、「お客様のために」ではなく、「お客様の立場」で考えることです。
 実は、「お客様のために」という考え方のなかには、供給する側の論理、物やサービスを売る側の論理が入り込んでいるのです。
 例えば、テレビをつくる家電メーカーであれば、「お客様のために、よいテレビをつくりました」と言うのは簡単です。しかし、「そのテレビは、お客様の立場で考えて、つくられていますか」と問えば、話が違ってくることがあるのです。
 八百屋が、「お客様のために、よい野菜を揃えています」と言っても、実は、ただ自分が「これは、よい野菜だ」と思うものを仕入れているだけの場合があります。
 そのように、「お客様のために」と言ってはいても、気をつけないと、供給者の側のものの見方、考え方をしてしまいやすいのです。
 「お客様のために」という言葉に騙されてはいけません。また、そういう言葉で自分を騙してもいけません。そうではなく、「お客様の立場」で考えなければいけないわけです。」
(278~290ページ)

 

「外の目」で自分たちを見る

 「お客様の立場」で考えるためには、「外の目」で自分たちを見る習慣が必要となる。

「「逆の立場で自分を見る」ということが出来るかどうかです。これが顧客の心をつかむコツなのです。」(『経営入門』P-38)

「ましてや、同業者同士が激甚な競争をし、激しく戦っているような業種では、自分たちの立場ばかりを主張していたら駄目なのです。外の目で見なければいけません。」(『経営入門』P-39)

 

 一倉定氏は、外の目で見ることが出来ず、自分の立場に立って物事を考えることを「天動説」と呼んでいる。天動説とは、「世の中はわが社を中心に回っている」という考え方である。

 自分が中心で、社員や顧客が自分の周りを回っているのが「天動説」であり、お客様が中心で、経営者がその周りを回っていると考えるのが「地動説」であるという。経営で成功するためには、「地動説」を採るべきなのは言うまでもない。

 地動説に従った一倉氏の事業の定義は、「変転する市場と顧客の要求を見極めて、これに合わせて我社をつくりかえる」というものである。

 「顧客の立場に立つ」ということを前提にしつつ、「需要の発見と創造」を行うことがポイントとなる。

 鉄道、自動車、飛行機などの交通機関は、経営者によって発見され、創造された需要である。登場するまでは、ほとんど誰もその必要性を感じていなかった。

 ソニーのウォークマン、日清食品の即席麵、ヤマト運輸の宅急便、伊藤園の缶入り緑茶などは、ニーズを発見し、創造できた例と言える。

 「お客様のために」と言っても、「売り手の立場で」考えた上でのことである。そこには、過去の経験をもとにしたお客様に対する思い込みや決めつけがある。これに対し、「お客様の立場で」考えるときは、ときには売り手としての立場や過去の経験を否定しなければなりません。

 「お客様のために」と考えながら、いつの間にか自社の都合でサービスを押し付ける結果になっていないかどうか、普段から点検する習慣を持つことが必要である。

 

顧客マインドを忘れるな

 大川隆法総裁は、『常勝の法』で以下のように説かれました。

「四番目に、「顧客マインドを忘れるな」ということを述べておきます。これはよく言われることであり、ありふれたことではありますが、つい忘れてしまうのです。
 特に日本では、生産者中心の考え方が強く、つくる側が非常に有利です。「つくる側のほうが偉い。つくる側を保護しなければいけない」という思想が強いのです。
 「物づくりは偉い。物づくりは大変だ」という考え方はありますし、実際、そういう面はあるかもしれません。しかし、そのため、「つくる人は、つくることに専念していればよいのだ」というように思いがちなのです。
 そして、売れなければ、「買わないほうが悪い」「もっと政府が補助すべきだ」「他の会社が悪い」「外国が悪い」「円高が悪い」「円安が悪い」など、いろいろなことを言います。このように、つくる側というのは、自己中心的な考え方をする傾向があるのです。
 しかし、「自分の会社の製品、商品は日本一だ」と言っても、それがほんとうに日本一かどうかは、市場に出してみて初めて分かることなのです。そこに答えがあります。〝通信簿″はすべて市場にあるのです。
 政党や内閣などには支持率というものがあり、全国どこで調べても、だいたい似たような数字が出てきます。商品なども同じで、一定の実力があると、どこででも、ある程度は売れますし、売れないものは売れません。
 つくる側は、自分のところを中心に考え、うぬぼれて天狗になり、買う側を顧みようとしない傾向がよく出るのですが、やはり、「最後は市場に訊け」ということです。
 市場には、一人ひとりのお客様の集合体、顧客全体の考え方があります。
 自分のところのものが売れずに、ほかのところのものが売れているのであれば、お客様はほかのものを選択しているわけですから、「どうしてそれが売れて、自分のところのものが売れないのか」ということを、つくる側の立場ではなく、買う側の立場に立って考えなければいけません。「お客様はどうして、あちらを選んで、こちらを選ばないのか」ということを考えるのです。
 それを考えるところに、次のイノベーションの芽があります。「何をすればよいか。どういう手を打つべきか」ということが分かってくるのです。」
(194~196ページ)

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