被用者年金一元化 (2)
だいぶ間が開きましたが、平成27年10月より始まる被用者年金制度の一元化について書いていきます。
まずは、前回書き忘れたことから。
「年金加入期間確認通知書」は、添付書類としての取扱いが原則廃止となります。
厚生年金と共済年金の両方の加入がある方は、年金事務所に厚生年金の請求の際、共済組合から共済の加入を証明する「年金加入期間確認通知書」を取り寄せて、添付しておりました。また、共済組合に請求の際は、年金事務所に国民年金や厚生年金の加入を証明する「年金加入期間確認通知書」を取り寄せて、添付しておりました。この面倒がなくなるというものです。
一元化で共済年金と厚生年金の制度的な差異については、基本的に厚生年金に揃えることになるのですが、厚生年金の制度を共済年金に揃えるものもあるのです。「共済年金の制度を厚生年金に揃える事項」と「厚生年金の制度を共済年金に揃える事項」に分けて解説していきます。
本日は、「共済年金の制度を厚生年金に揃える事項」についてです。
○在職支給停止
在職支給停止については、次のとおり変更となります。 平成27年10月1日以降は、厚生年金保険法による在職老齢年金の仕組みが適用さ
れます。 「47万円」→「28万円」
厚生年金と共済組合の両方からが支給されている場合は、年金基本月額を合算したうえで支給停止額を決定します。 『激変緩和措置』があります。
『激変緩和措置』については、最終日に解説します。
○職域部分(3階部分)の廃止と経過措置
共済年金の職域加算部分は廃止されます。 共済年金の職域加算部分廃止後の新たな年金として「年金払い退職給付」が創設されます。
平成27年10月1日にて既に退職共済年金を受給している方において (1) 平成27年9月まで共済組合に加入していた期間分については、(平成27年10月以後も)平成27年9月までの加入期間に応じた「職域部分」を受給できます。
*共済組合によっては減額または廃止の方向となる場合もあるようです。
(2) 平成27年9月までの共済組合期間と平成27年10月以後の共済組合期間の両方を有する方は、平成27年9月までの期間に対しては「職域部分」、平成27年10月以後の期間に対しては「年金払い退職給付」が支給されることになります。
(3) 平成27年10月以降にはじめて共済組合に加入となる人は、「年金払い退職給付」のみの支給となります。
「年金払い退職給付」は、ゼロから保険料を積み立てて設けることにより確保するというものです。
○障害給付の支給要件
共済組合では保険料納付要件なし
→ 初診日の前々月までの保険料納付済期間及び保険料免除期間を合算した期間が3分の2以上必要
上記に該当しない場合、初診日の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと
(障害手当金についても同様の要件です。)
○遺族給付の支給要件
共済組合では保険料納付要件なし
→ 死亡日の前々月までの保険料納付済期間及び保険料免除期間を合算した期間が3分の2以上必要
上記に該当しない場合、死亡日の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと
○遺族年金の転給
共済組合では先順位者が失権した場合、次順位者に支給された。
→ 先順位者が失権しても、次順位以下の者に支給されません。
○未支給年金の給付範囲
共済組合では、遺族(死亡した者によって生計を維持していた配偶者、子、父母、孫、祖父母)、又は遺族がないときは相続人 であった。
→ 死亡した者と生計を同じくしていた配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹又は甥姪など 3親等内の親族 となります。