新規開拓は計画的・組織的に行う
新規開拓は、企業にとって重要な経営課題です。
売上不振になると、トップから「新規開拓をやれ!」と号令がかかったので、不承不承ながら形だけでもつけなければ、といった小細工では成功しません。
新規開拓は会社をあげて取り組まなければならない。
新規開拓を行うことで、企業の大切な財産である得意先が増えることになる。
単に、売上が足りないから新規開拓を行うというような問題ではない。そこには、企業の戦略が求められるのです。
「よい企業にはよい得意先がつき、悪い企業には悪い得意先がつく」といわれるが、新規開拓を行いながら魅力のある企業づくりを進めなければならない。
また、「価格で取った得意先は価格で取り返される」ので、商品価格を下げて新規開拓を行うことは邪道であって好ましいことではない。
新規開拓を真剣に行うなら、企業の経営陣も乗り出さなければならない。
新規開拓のための組織図にも顔を出していて当然である。
経営陣が真剣に取り組めば、幹部も真剣にならざるを得ない。
そうすれば、営業担当者・営業マンもやらざるを得なくなる。
新規開拓は、全社的に計画的・継続的に行えば必ずうまくいく。
大切なのは、全社の力を結集させて外へ向けることです。
競争力を高めて新規開拓を成功させる
営業マン・営業担当者が訪問し、「ぜひ、当社とお取引いただけませんか? よろしくお願いいたします」と、言った場合、「急に取引してくれといわれても困るな。しかし、うちの会社にとって何かメリットがあるなら、考えないでもないがね」と、言うのが一般的です。
多くの中小企業にとって、少しでも売上高を大きくしたい、1円でも多く利益が欲しいと願っているのです。
現在の仕入先よりもプラスの効果があるなら、新しい仕入先を増やすか、条件によっては入れ替えを行ってもよいのです。
現在の仕入先と比較して、何もメリットがないのならば、何回、訪問しても取引はしてくません。
そこで、手っ取り早いのは、商品を安く売ることだが、ライバルも対抗して値段を下げてきたらどうなるでしょう。
価格競争に拍車がかかり、下手をすると赤字を垂れ流し、最悪のときは倒産につながりかねません。
それを避けるには、自社の強み・特徴を伸ばし、競争力を高めるしかありません。
それでは、会社の競争力としての強み・特長はいくつあれば、見込先に提示した場合、効果に結びつくのでしょうか?
一般的に、3つ以上になると力を発揮します。1つか2つでは威力を発揮しないと思ってよいでしょう。
新規開拓の見込先の業種・業態によって、こちらが提示する特長の内容を多少変えなければならないので、最低5つぐらいは用意しておく必要があります。
社内で営業関係者が集まってつくるとよいでしょう。
営業担当者・営業マンが納得したものでなければ、実践で使うことは難しいでしょう。
努力も準備も無くして新規開拓は成功しません。
新規開拓は、同業他社以上に知恵を絞り努力して、企業として競争力を持てるかどうかにかかっているのです。
訪問実績をきちんと記入(行動計画)して継続していく
新規開拓は、1~2回の訪問で結果が出るものではない。
1回の訪問で成功することもあるが、それは例外と考えておくべきです。
初回訪問で取引が始まるケースの中身を考えてみよう。
通常、どんな会社でも仕入先を持っているし、決まっている。
それなのに、もし1回の訪問で「取引しましょう」と言われたら、あなたの会社が素晴らしい会社で、相手の会社は以前から取引したかったのです。
もう1つのケースは、相手の経営内容が悪くなって、従来の仕入先から見放されていた場合です。
「ちょうど いいところへ来てくれた。さっそくお願いします」などと言われて、大量に仕入れて、翌月には倒産されたのではたまったものではありません。
通常は、数回、訪問して新規に取引をしてもらえるのが一般的です。
場合によっては、2年、3年かかることも珍しいことではありません。
見込先が大企業や官庁関係なら、初めから3年くらいはかかると思っておいたほうがよいでしょう。
せっかく見込み客開拓をしていても、見込先を管理しなくては、忙しさにかまけて忘れてしまいます。
見込み先カードに記入しておくことで、いつ、誰がカードを見ても状況がつかめるようにしておきます。
新規開拓は、営業担当者・営業だけではなく、いつ、誰が見てもわかるようにしておかなければなりません。
一般的に、中小企業は「売り」に弱いと言われています。
従来と同じことをしていると、従来以上の数字は上がらないということを認識することです。
それは困るという企業は、従来のどこを変えるか、従来のどこを新しくするかという2つの対策を打ち出すことです。
既存客だけを相手にした営業では、売上は伸びないどころか、減少する可能性が高くなります。
変化の激しい時代には、自社の顧客先を見直し、これから成長する新規の得意先の開拓と育成が不可欠となります。
会社は、個々の営業担当者・営業マンに依存した営業体質から脱却するためにも、組織的な営業活動が展開できる環境と仕組みを作ることが重要となります。