年金は大丈夫? (6) 100年安心プラン

 「100年安心プラン」とは、2004年の年金改正時に、国民の保険料引き上げと給付の大幅カットを我慢させる代わりに、自公政権が「100年先まで積立金が枯渇せず、年金財政が維持する」ことを公約したものです。

 政府は年金について「100年安心」と謳っていますが、その計算には前提条件があります。それは、「国民の給料が増え、年金保険料を上げる」「好景気で毎年4~5%もの利回りで年金を運用できる」など。

 

厚生年金の給付水準は 50%まで引き下げられるとされていますが

厚生年金の給付水準引き下げの経緯

 平成12年改正前 手取り収入の62%  

 平成12年度改正より 厚生年金支給率を 5%引き下げる  

 平成16年度改正より 平成35年(2023年) までを給付水準調整期間として 50.2%に下げる

 ここで、代替率 50.2%とは、全ての人が現役時代の平均月収の50.2%を受給できるわけではありません。あくまでも加入期間や報酬などが標準的な人の場合です。
 平成16年の年金改正で、「給付水準50%以上を維持する」とか「50%を上回る」といった表現で説明されている。

 「所得代替率」とは、現役男性サラリーマン世帯の平均的所得を分母にして、高齢夫婦2人の標準的な年金世帯が新規裁定で受給できる年金の比率のことで、年金の給付水準を表す指標にしているものです。この「所得代替率 50%以上を維持する」について、2つの問題に注意が必要です。一つは、分母が税金と社会保険料等を控除した後の可処分所得であるのに対して、分子の方は、これらを控除する前の収入(見掛けの年金給付額)が使われています。そのため、意図的かどうか定かではないが、所得代替率という表現で高い数字が出されていることに留意が必要です。高齢者年金世帯はそこから税金、健康保険料、介護保険料が引かれるため、実質的には、所得は現役時代の半部以下ということです。もうひとつは、代替率を50%に下げて、その後これを維持するようになるのは、2023年 (平成35年) からと予測したことです。これにはマクロ経済スライドが適用されるものの、はたして「所得代替率50%以上を維持する」ことが出来るかという疑念もあります。つまり、2023年までとした「調整期間」がさらに伸びる可能性があるからです。

 平成16年改正時、50.2%に相当する年金は23.2万円/月と想定されました。 「100年安心年金」と唄った平成16年の年金改正時に、代替率 50.2%とされた標準世帯モデルの年金額は、月額23.2万円(平成35年で28万円 夫の厚生年金12.2万円、 夫婦の基礎年金15.8万円)でした。

 ところで、年金の100年安心プランを精査してみると、標準所帯では50%の所得代替率となっているが、共働き所帯では38%、男性の単身所帯では36%程にしかならないようで、とても100年安心プランとはいえそうにない。

 国は公的年金の見通しを示す「財政検証結果」公表している。しかし、「100年持続可能」はありえない。

 そもそも、経済成長や労働参加が進むという前提における検証は、どこまで信憑性があるか疑わしい。

 増税により景気が悪化する未来が見えているにもかかわらず、経済成長が前提の検証は、甘いと言わざるを得ない。

参考

 安心プランを実現するためには、現役世代の減少をどう歯止めをするかも重要な要素となってくる。  わが国の高齢化は世界一であるが、もっと深刻なのは少子化である。賦課方式だけでは公的年金制度は間違いなく破綻するでしょう。

 「100年安心プラン」は、出生率、景気後退、積立金の運用利回り等が甘い数字が置かれている等、厚生労働省官僚による様々なトリックが指摘されており、自民党、公明党、厚労省役人による国民騙しの「壮大な詐欺」であったことは明らかです。

 今のままでは、政府の計算とは裏腹に、年金の積み立てが底をつきます。また、現役世代の負担が徐々に重くなっていきます。支給開始年齢は引き上げられ、支給額は減ります。

 このような未来を、子供たちに遺すわけにはいけません。

 現状を見ると、想定以上のスピードで積立金の取り崩しが進んでおり、100年安心どころか、このままでは、10年後、少なくとも20年後には積立金が底をつく状態です。

 政府が、「年金は安心」と言い張る理由は何でしょうか。それは「誰も責任を取りたくないから」でしょう。「年金は破綻します」と言ったら、政治家から厚生労働省の偉い方までクビが飛んでしまいます。そのため、誤魔化しながら消費税を上げているのでしょう。

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