霊性・宗教性が うつ症状 を抑制し、ストレス対処を改善する

 現代心理学では、「霊性・宗教性」(Spirituality/Religiosity)は「『聖なる』(Sacred)ものを求める感情、思考、経験、行動」と広く定義され、特に「宗教性」は、集団的実践や教義に重きが置かれ、「霊性」は、個人の経験や信念が重視されます。

 「霊性・宗教性が うつ症状 を抑制し、ストレス対処を改善する」ことがわかっています。

 霊性・宗教性が高い人は低い人に較べ、死亡率が18%低下していました。つまり、「『霊性・宗教性』は、ヒトの寿命を延長する作用がある」ことが明らかになったのです。疾患別では、脳卒中、冠動脈疾患などの心血管性疾患による死亡が、霊性・宗教性によって28%も低下していました。

 さらに興味深いことに、「喫煙、飲酒、運動不足、社会・経済的地位」などの生活習慣危険因子を統計補正しても、霊性・宗教性による寿命延長作用はやはり認められ、「霊性・宗教性が肉体に“直接”作用し、寿命を延ばしている」ことが示唆されました。

 また、霊性・宗教性を種類別に分けてさらにメタ分析したところ、祈り、経典学習、瞑想など「非組織活動」の死亡率への影響は認められませんでしたが、「健常者を対象とした死亡率が、宗教行事への参加や伝道活動などの『組織活動』により23%低下していた」ことがわかりました。