がん治療は有効か?

 「がん は痛みなどの自覚症状がない限り、そっとしておくのが一番苦しまず、長生きできる対処法だ」と考えています。

 がん には、「本物の がん」と「がんもどき」の2つがあります。他の臓器に転移するのが「本物の がん」です。一方、転移する能力がなく、放置しても命に別条がないのが「がんもどき」です。

 そして、本物のがんは、「早期発見」と呼ばれる段階で、すでに全身に転移してひそんでいるので、手術したり抗がん剤で叩いたりしても再発します。「がんもどき」は命に関わらないので、基本的に治療の必要はありません。病院でがんと診断された場合、「本物」でも「もどき」でも治療する意味はないのですが、両方とも手術や抗がん剤治療の対象になっています。

 むしろ、がん治療で寿命を縮めているケースが数多くあります。そもそも手術して臓器を切り取ることは、体にとって大怪我です。合併症を起こしたり、体力を弱めたりして感染症などにもかかりやすくなる。特に、本物のがんは、メスを入れると逆にがん細胞が増殖して、転移や再発が起きやすくなるのです。

 有名人が、胃がんや食道がんなどの手術を受けた後、半年や1年ほどで亡くなることがよくあります。しかし、健康診断で見つかったケースならば、放置しても1年以内で亡くなることはありません。

 世界で最初に胃がん手術を始めたのはオーストリアのビルロート医師ですが、実は彼の患者はすべて、術後4ヵ月以内に亡くなっています。しかしなぜか、「胃切除術が正しい」という考えが世界に広まったのです。

 乳がん手術も、以前は乳房のみならず、周辺のリンパ節や筋肉まで切除していました。その後、温存手術が行われるようになりましたが、両者の治療成績に差はありませんでした。世界中の医者が「良い」と信じていても、間違っていることがあるのです。

 

がんは穏やかに逝ける病

 また、「がんは苦しんで死ぬ」と思われがちですが、そのほとんどは、手術や抗がん剤の副作用による苦しみです。治療せずに放置して亡くなる場合、臓器の機能が徐々に低下して、食が細くなっていくことによる衰弱死なので、あまり苦しむことなく、穏やかな死を迎えることができます。

 特に、抗がん剤は細胞を殺す薬なので、体にとって猛毒です。しかも、がん細胞はしぶといので、正常細胞のほうが先に死んでいきます。そのため、がん細胞を最後まで叩く前に、その毒性で重要な臓器がやられて、吐き気や痛み、間質性肺炎などの副作用を起こしてしまうのです。

 ただし、急性白血病や悪性リンパ腫、子宮の絨毛がん、睾丸腫瘍など、一部のがんは抗がん剤で治ることがあります。また、がん が食道や十二指腸を圧迫して、食事が摂れなくなった場合などに、バイパスをつくって食事を摂れるようにする手術などは、寿命を延ばしてくれます。

 しかし、手術や抗がん剤治療で、がんそのものが治ることはないのです。

 

食生活・睡眠・運動を見直す

 米国立がん研究所が2013年に、「がん検診で見つかる、死には至らない腫瘍をがんと呼ぶのはやめよう」と発表するなど、がん診断は世界で見直されつつあり、がんの早期発見の無意味さが認められてきています。

 にもかかわらず、日本で必要のない治療や検査が増え続けている。その裏には、次のような医療界の事情があります。

 医者の数は増える反面、人口は減少するので、病人も減り、医療機関や製薬会社の パイ は小さくなる。そこで、何とかして異常を見つけ出し、病人を増やそうとしているわけです。

 血圧や血糖値、コレステロールなどの正常値を下げると、患者が全国に何百万人単位で増えます。すると医療界は潤い、厚生労働省の予算も増える。少子化時代でも、医療のパイを増やす打ち出の小槌が、健康診断や人間ドックなのです。しかし、患者を犠牲にし、国の財政を圧迫している今の保険制度は、どう考えても持続不可能です。

 このように、検査や治療が過剰になっている病院と、個人はどのように付き合えばよいのでしょうか。普通に活動ができて、ごはんがおいしいうちは、病院に近づかないことです。健康になりたければ、食生活を見直して、よく睡眠をとり、運動することが大事でしょう。

 もし、本物の がん になっても、すぐ亡くなるわけではありません。「ゆっくり行こうよ」とがんに語りかけながら、毎日を着実に生きることが大切だと思います。

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