「ギルガメシュ叙事詩」のあらすじ

 主人公ギルガメシュはウルクの王。英雄であると共に暴君であり、都の乙女たちを奪い去るという悪業で住民に恐れられていた。ウルクの人びとが神々に訴えると、大地の女神アルルは粘土からエンキドゥという野獣のような猛者を造り上げた。ギルガメシュとエンキドゥは長い間取っ組み合った末、互いに相手の力を認め、抱き合う。ここに二英雄の友情が生まれた。二人は連れだって遠くの森に住む恐ろしい森番フンババを倒した。ウルクに帰ると女神イシュタルがギルガメシュの英姿に魅せられて誘惑する。ギルガメシュがその誘いを断ると、怒ったイシュタルは天の神アヌに強要して、天の牛を送られてウルクを滅ぼそうとする。ギルガメシュとエンキドゥは今度も力を合わせて戦い、天の牛に打ち勝つことができた。しかし、神々はエンキドゥにフンババと天の牛を殺した償いに死を宣告、エンキドゥはギルガメシュに見守られて息を引き取る。残されたギルガメシュは、永遠の生命を求め、古都シュルッパクの聖王ウトナピシュティムのみが不死でいることを知り、彼を訪ねて旅に出る。苦難の末に尋ね当てたウトナピシュティムは、「大洪水」が起こり、四角い船を作って危機から逃れたことを物語る。最後にギルガメシュに海底にある永遠の若さを保つ植物のことを教える。ギルガメシュは、海に潜ってその植物をとり、喜び勇んでウルクへの帰途につくが、とある泉でホコリを落とそうと水浴びしている間に蛇がやって来て、その植物を食べてしまった。失望したギルガメシュは、疲れ切ってウルクにたどりつき、その後はどのようにくらしたことだろうか。

 参考

『旧約聖書』よりも古い世界最古の物語

 楔形文字の解読は、1861年にローリンソンの努力によって可能になっていた。1872年、ジョージ・スミスというアッシリア学者が発表した論文は世界を驚かせた。スミスは、アッシリア帝国の都 ニネヴェの図書館跡から見つかった2万数千点の粘土板の中に、洪水の話が出てくるの興味を持って解読を進めたところ、聖書の「ノアの方舟」の話とおなじような物語が含まれていることに気づいた。さらに解読したところ、この物語はギルガメシュという英雄を主人公にした叙事詩の一部であることが判った。それまで、ヨーロッパの人びとは『聖書』が世界最古の本であると信じていたので、それに先行する物語の原型があったことに驚いたのである。それ依頼、ギルガメシュの物語は世界最古の物語とされている。

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