旧約聖書 天地創造~ノアの箱舟~バベルの塔

 旧約聖書の創世記によると、神は次のように天地を創造した。

はじめに神は天と地を創造した

 地は形がない何もない真っ暗な世界だった。神が「光あれ」と言うと光ができた。神は光と暗黒とを分け、光を昼、暗黒を夜と呼んだ。

第2日 神は大空を創った

 水の間に大空を造り、上の水(雨)と下の水(海)とに分けた。大空を天と呼んだ。

第3日 海と大地を創り、大地に草と樹を芽生えさせた

 「地の水は1つに集まり、乾いたところが現われよ」と言った。乾いた所を”地”、水の所を”海”と呼んだ。「地は草と樹を芽生えさせよ」と言うと、草と樹が芽生えた。

第4日 太陽と月と星を創った

 神は太陽と月と星を創り、太陽に昼を、月に夜を司らせた。そしてそれらを天に配置し地上に光が届くようにした。

第5日 動物と鳥を創った

 神はそれらを祝福して言った。「産めよ、増えよ、水や地に満ちよ」

第6日 地の獣、家畜、土に這う全てのものを創った

 神は自分を象って男と女を創造した。神は人を祝福して言った。「産めよ、増えよ、地に満ちて地を従わせ、全ての生き物を支配せよ」

第7日 こうして天地万物は完成した

 神は仕事を離れ安息した。神は第7の日を祝福し、聖別した。

 

 神は天地を創造し、6日目に自分をかたどって土で人を造ったのです。

 そして、アダムの肋骨から女を造った。男の名はアダム、女の名はイヴ。ヘブライ語では土をアダマ、命をエバという。二人はエデンの園で暮らしていた。神は「この園にある全ての樹の実を食べても良いが、善悪の知識の木の実だけは決して食べてはならない」と言った。

 ある日、エデンの園を歩いていたイヴは、蛇にそそのかされて禁断の木の実(善悪の知識の木の実)を食べてしまった。イヴはアダムにも食べさせた。すると、2人は自分たちが裸であることに気づき、恥ずかしさのあまり体をイチジクの葉で隠した。

 神は約束を守らなかった罪(原罪)により、二人を楽園から追放し(失楽園)、蛇を地を這う動物とした。女には産みの苦しみが与えられ、苦労して地を耕さなければ食料を得ることができなくなった。

 アダムとイヴにカインとアベルの2人の息子が生れた。長男のカインは土を耕す者に、次男アベルは羊を飼う者になった。ある日、カインは土からの収穫物を、アベルは羊の子を神にささげた。神はアベルのささげた物を喜び、カインのものには関心を示さなかった。

 カインは嫉妬で怒り、アベルを野に連れ出して殺した。神がアベルのことをカインにたずねると、「何も知りません。私は弟の番人ではありません。」と答えた。神は「何ということをしたのか。あなたの弟の血が、地の中から叫んでいる。あなたが土地を耕しても、もはや何も収穫できない。あなたは地上をさまよい歩く者となるのだ」と言ってエデンの東のノドの地に追放した。

 誰かに殺されることを恐れるカインに対し、神は「カインを殺す者は、7倍の復讐を受けるであろう。」といい、カインを保護する印をつけた。やがてカインは、妻を娶り、エノクという子供をもうけた。イヴはもう一人の息子セトを産んだ。

 アダムから数えて10代目の子孫がノア(Noah)である。その頃、地上には悪が満ち、神は人を造ったことを後悔した。そして、地上の全てのものを洪水で滅ぼすことを決意した。神はただ一人神に従順なノアに言った。「巨大な箱舟を造りなさい。そして、あなたの家族とあらゆる動物を2頭(オスとメス)連れて箱舟に避難しなさい。」

 ノアが箱舟に移ってから7日後に洪水が始まり、水は40日間地上を覆った。箱舟に避難したノア一族と動物以外は全て滅んだ。150日後には水が減り始め、箱舟はトルコ東部にあるアララト山(Ararat)に漂着した。ノアは舟の窓からカラスを放した。カラスは地上の水が乾くのを待って出たり入ったりした。しばらくして今度は鳩を放した。鳩はオリーブの葉をくわえて戻り、地上から水がひいたことを知らせた。

 ノアたちは箱舟から出て、祭壇を作り神に生贄を捧げた。神はそれを認め、2度と生き物を滅ぼさないと約束した。そして、その契約のしるしとして大きな虹をかけた。

 時が過ぎ、ノアの子孫達は増えていった。彼らは一つの言葉を話し、シナルの平原に住み始めた。ある日、彼らはレンガを積み上げて天まで届く塔を作り始めた。神はその驕りを怒り、「彼らは一つの民で、皆が同じ言葉を話しているからこのようなことを始めたのだ」と考えた。神は、彼らの言葉を混乱させるため、人々がそれぞれ違う言葉を話すようにした。

 塔の建設現場では、いくら話しても言葉は通じなくなり建設は中断した。人々は塔を破壊し、世界中に散らばっていった。こうして、世界各地にいろんな言葉を話す人間が住むようになった。

 この塔のあった町の名がバベル(Babel)。バベルとはバビロンのことで、混乱(バラル)が語源である。