軍隊と商人、そしてキリスト教の宣教師が一体

旧約聖書の祟り神の影響

 欧米による植民地支配は、軍隊と商人、そしてキリスト教の宣教師が一体となったものだった。

 カトリック教会が当時、「インディオや黒人には魂がない」と解釈したことが、虐殺や奴隷貿易を生んだ。それに加え、旧約聖書の中に登場する神の影響も否定できない。旧約聖書には、虐殺や粛清がこれでもかと出てくる。

 「民数記」では、その神は、イスラエルの民が姦淫と偶像崇拝を禁じる戒律を破ったとして、神罰によって2万4千人の命を奪った。さらには、それらの行為をそそのかしたミディアン人への復讐をモーセに命じ、男はすべて殺し、女性は処女以外を皆殺しにした。

 「ヨシュア記」には、この神の命令を受け、ヨシュアらはカナンの地に住む異民族を「男も女も、若者も老人も、また牛、羊、ろばに至るまで町にあるものはことごとく剣にかけて滅ぼし尽くした」。

 ユダヤ教は厳格な一神教だが、その正典の旧約聖書には実は ヤハウェ と エロヒム という2種類の神が登場する。ヤハウェはイスラエルの民族神で、祟り神的な性格が強い。エロヒム は民族や国を超えて信仰された愛と慈悲の神である。

 イスラエルの民を粛清したり、他民族を滅ぼしたりするのを命じたのは、ヤハウェのほうです。旧約聖書で、ヤハウェ は「主」と表記されており、エロヒム は「神」と表記されております。

 ヤハウェの命令に基づく非寛容で残虐な物語が、欧米による侵略と植民地支配の精神的な下地になっていると考えます。

 元々アブラハムの一族は、メソポタミア(今のイラク方面)の一地方に住んでいたのですが、ヤーウェは、アブラハムに向って、「あなたの生まれ故郷を出て、わたしが指し示す土地へ行きなさい」と命じ、カナン(今のイスラエル)の地に向かわせます。そして、アブラハムが一族と共にカナンの地に入ったとき、再びヤーウェが現れて、「あなたの子孫に、わたしはこの土地を与える」と言いました。これが今の「中東紛争」の起源です。

 第2次世界大戦後、英米の後ろ盾を得て世界中のユダヤ人が移植してきて、イスラエルの地に建国したとき、この「創世記」第12章のヤハウェの言葉が根拠とされました。

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