経済学の問題点

 「経済的人間(ホモ・エコノミクス)」という、思想も信条もない単に利害だけで動く人間というものを想定するのは、“理論の遊び”にすぎない。

 また、統計学を重視しすぎるのも欠点である。

 人間の智慧の力、知力の素晴らしさをもう少し信じなければいけない。

 幸福の科学大川隆法総裁は、『知的青春のすすめ』で次のように説かれました。

「今の経済学には二つの問題があります。一つは、とにかく、「標準的人間」というものを考えることです。「経済的人間(ホモ・エコノミクス)」という、「思想も信条もない、単に利害だけで動く人間」というものを想定して学問を組み立てているんですね。そういうことは、この世的には、ほんとうはありえないことです。人間は感情を持っています。感情もあれば好き嫌いもあって、もう千差万別なんです。だから、それについては体系化できません。人々の感情や好みを体系化することはできないため、それらを一切、無視して、「経済的人間」なるものを想定し、「こういう場合には、こういうふうに動くはずだ」という、数学処理ができるような考え方を立てているのです。しかし、根本的に、これは“嘘”だと思ってよいのです。そんなことはありえないので、ただの“理論の遊び”です。「経済的人間」なるものは存在しないのです。そのような“空想”を前提にして理論を組み立てているということを、今の経済学の欠点として知っておいたほうがよいと思います。もう一つの欠点は、統計学を重視しすぎることです。いわゆる「マクロ経済学」というものでは、統計の結果を見て、さまざまなことを判断するわけですが、これにもまた同じような欠点があります。人間には意欲というものがあり、その意欲によって状況を変えていくことができるのです。 「今までの統計結果から見れば、来年はこうなって、五年後はこうなって、十年後はこうなる」と予想する理論経済学者は、頭の良い、賢い人たちなのですが、そういう人たちは、絶対に事業を一つも起こせないような人たちでもあるのです。一方、事業家というのは、「『統計的に見て、そのようになる』と言うのならば、では、そうならないようにしよう」と考える人たちなんですよ。人間は「未来を変えることができる存在」なんです。だから、企業家というのは、とても偉いのです。敵の兵力が八十万で、味方の兵力は五万だったら、「これは絶対に負けます」と判断するのが統計経済学なのです。しかし、「八十万対五万なら、小さいほうが必ず負ける」ということであるならば、例えば、映画「レッドクリフ」で描かれていたような、『三国志』の「赤壁の戦い」は成り立ちません。「何十倍もの敵に勝てる作戦」というものを軍師が立てれば、実際に勝つことがあるのです。これは戦でもそうですが、企業の世界でもそうです。「小さいものが大きいものを倒す」「小さい企業が大きい企業を追い抜いてしまう」ということが、現実には起きるんですよ。これが、人間の智慧の力、知力の素晴らしさであり、この面白さがあるから企業の経営はやめられないのです。やはり、人間の力をもう少し信じなければいけないと思いますね。」

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