原子核 さらに詳しく

 原子核の中で、陽子どうしは電気的に反発しあうはずであるし、陽子と中性子とでは電気的な力は働かないはずである。それなのに、原子核がばらばらになってしまわず、逆に固くまとまっているのはなぜであろうか。それは、核力という特別な力が働いているからである。核力の担い手は、パイ中間子である。この中間子は、核子(陽子や中性子)から放出され、核子に吸収される。陽子からπ中間子が放出されると、陽子は電荷を失って中性子になり、π中間子を吸収した中性子が陽子に変わる。このようにして陽子と中性子は、互いに相手に変化しながら結合している。中間子を出したり受け取ったりして敏速に交換しあうことによって、原子核は非常に強固に結合しているのである。この核子の結合エネルギーが、核分裂や核融合によって放出されるというのが、核エネルギーである。

 どのようにして原子は分子やわれわれが日常経験している物質になるのでしょうか。物質のでき方にはいくつかの方法がある。原子がそのまま分子になるのが単原子分子である。原子が結合する化学結合には、共有結合、イオン結合、金属結合がある。二つの原子の原子核が極めて近づけば、電子は二つの原子核からのクーロン力を同時に受けるようになる。そのようにして二つの原子核に共有された電子を媒介として、共有結合力が発生し、安定な分子になる。水素や酸素は同一元素の原子が共有結合によって分子となったものであり、ダイヤモンドや黒鉛は、同一元素の多数の原子が共有結合により結晶となったものである。異なる元素の原子が共有結合したものが、水や炭酸ガス分子のような化合物になる。化合物は、正の電気を帯びた陽イオンと、負の電気を帯びた陰イオンが互いに電気的に引き合う、イオン結合によっても形成され、イオン結晶といわれる。塩化ナトリウムや酸化カルシウムなどがそれである。また、鉄やアルミニウムのような金属は、正の電荷をもつイオンが規則正しく配列され、その中を自由電子が動きまわっている状態の結晶である。金属では、正のイオン同士がもつ反発力を自由電子が押さえて、固く結合している。これが金属結合である。  

 日常の物質のほとんどは、異なる単体や化合物の分子が混じり合った、混合物である。分子と分子の間にはファンデルワールス力と呼ばれる分子間の引力が働く。分子は電気的に一様に中性ではなく、ある部分はプラスが多く、ある部分はマイナスが多い。このプラスの部分とマイナスの部分が引き合って物質をつくっている。固体では、そのなかの分子が分子間力によって引合い、相互の位置を変えずに振動(熱運動)しており、液体では、引き合いながら振動しつつ流動している。他の結合力に比べて分子間力は極めて小さく、分子間の距離が大きくなると急速に力が弱まる。分子間の距離が大きい気体では、分子間力がほとんど作用せず、分子は回転しながら自由に飛び回っている。分子間力よりは強く、化学結合よりは弱いものとして、水素結合がある。液体の水のなかでは、ある分子中の正に帯電している水素原子と、隣の分子の負に帯電している酸素原子が引き合っている。また、共有結合からあぶれた非共有電子は、配位結合によって他の陽イオンと結合する。  こうして、原子核の周りを電子が回るのも、原子が結合して分子をつくるのも、さらには分子から物質が構成されるのも、電磁力の相互作用によっている。われわれの回りの物質、つまり、個体や液体、気体の物理化学的性質は、電磁力に基づく相互作用によって生じているのである。

 まず、グルーオンによる強い相互作用が、クォークを強く結び付けて陽子や中性子、中間子を造る。陽子と中性子が、中間子の働き(より基本的にはグルーオンによる強い相互作用)によって原子核を構成する。さらに、光子の電気力が、原子核に電子をとらえて原子を形造る。とらえられる電子の数は、原子核内の陽子の数によって決まり、電子はその数と複雑な軌道によってそれぞれの原子に多様な性質を与える。原子同士を分子に、分子を物質に造りあげているのも電気力である。分子や固体は、原子同士の結びつき方やその構造により様々な性質を示す。自然界の物質は、このようにしてより大きなものに形造られていく。そして、物質のもつ質量が大きくなってくると、重力の働きが目に見えた形で効果を持つようになる。自然界の物や法則は、クォークとレプトンをその最小構成要素として階層的な構造をもつ物質が、それぞれのレベルで相互作用することによって構成されているのである。

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