膜宇宙論(ブレーン理論)

宇宙は海の泡のように無数にある

我々の宇宙はそのひとつに過ぎない

 目に見えない6つの次元がどのようなものかを説明する理論の一つに、「膜宇宙論(ブレーン理論)」と呼ばれているものがあります。

 「ひも」ではなく、膜(メンブレーン)を基本とする考え方です。膜の振動数が素粒子の性質を決めるというわけです。

 この世界には、電気の力や重力など存在しますが、これらは根源的には一つの原理に従って統一的に理解できるのではないかというのが、理論物理学の信念です。それを考えるときに、一見奇妙奇天烈にしか思えないような考えを使って、その理論が創られてきています。「ひも理論」は、あらゆる物質の根源に存在する素粒子は、粒のような点ではなく、振動している ひも であるという理論です。ただ、この ひも は、われわれの3次元空間に存在するわけではありません。10次元もしくは11次元という大きな時空間の中の ひも です。しかし、空間には ひも の振動に加えて、より高次の物体がないと さまざまな事柄の説明ができません。それが「膜のようなものである」と提唱されてきたのです。そして、すべての物質粒子は、その膜にひもの両端を固定されているという考え方です。電子やクウォークといった粒子は、この膜の上を移動はできても逃げ出すことはできません。

 素粒子物理学のいくつかの理論では、我々の目に見えるよりも多くの宇宙があることが示唆されている。余剰次元(extra dimension)と呼ばれるそれらの宇宙は、まさに「パラレル・ワールド」であるともいえる。

 現在の我々は、3次元+時間の4次元の世界に居るとされるが、余剰次元がさらに7つあると考えられている。すなわち、私達の宇宙は、11次元という空間にある 一つの膜(膜状のもの)である。この11次元には、平行する無数の膜宇宙(Parallel Universe)が存在し、それぞれ全く違った物理法則を持つ。宇宙の全ての物質は、このような膜に繋がっていて、私達の宇宙全体が一つの膜である。これを「M理論」(Membrane 膜)と呼びます。

 5次元を超えた空間は非常に複雑な空間です。それを「カラビ・ヤウ空間」と呼びますが、その空間の中のいろいろなところに膜の宇宙があり、その膜宇宙は3次元に限らず、4次元、5次元とさまざまなものがあります。しかも、物理法則もそれぞれの宇宙で異なります。そう考えると、無限に近い宇宙が存在することになります。そして、無限に近い宇宙があるという話は、曼陀羅によって表されている仏教の三千大千世界につながります。

1 M理論は重力と量子力学をともに取り込むことができる

2 スピンの概念、素粒子の族構造、メッセンジャー粒子、ゲージ対称性、等価原理、対称性の破れ、超対称性などなどの重要な概念が自然に説明できる

3 「標準理論」には実験に合わせられる調整可能なパラメーターが19個もあるが、M理論には調整できるパラメーターはない

など、従来の理論より優れた内容を持っています。

 M理論の構成要素は、「膜」あるいは「ブレーン」と呼ばれる、0から9までの次元をとりうるもっとも一般的な物体である。一次元のブレーンである「1‐ブレーン」はなじみのひもと同じだが、2‐ブレーンは私たちが膜と考えるものに似ていて、3‐ブレーンは三次元空間に近い。それらの多次元ブレーンは、p‐ブレーンと呼ばれる。そのうち、D‐ブレーンと呼ばれる種類は、高次元空間のなかで(閉じたひもでなく)開いたひもがくっついた部分曲面である。

 1995年、ポルチンスキーによりDブレーンが超弦理論のソリトン解であることが示された。また、エドワード・ウィッテン により、これまで知られていた5つの超弦理論を統一する11次元のM理論が提唱されると、超弦理論は再び脚光を浴びることとなった。ウィッテンによって提唱されたM理論は、5つのバージョンをもつ11次元超重力理論がもつ難点を克服すると考えられるものであり、その提唱は第二次超弦理論革命へのきっかけとなった。「M理論」は、現在知られている5つの超弦理論を統合するとされる、11次元(空間次元が10個、時間次元が1個)の仮説理論である。この理論には弦は存在せず、2次元の膜(メンブレーン)や5次元の膜が構成要素であると考えられている。 弦の振動は、コンパクト化されている6次元により制約を受け、その振動の形により、特定の量子を形作っている。超弦理論では基本的物体は1次元の弦であったが、「M理論」では加えられたもう1次元によって、基本的物体は2次元の膜であると提唱されている。  この2つは、それまでに予想されていた種々の双対性(S双対性、T双対性)と組み合わせることで、これまで摂動論の範囲でしか定義されていなかった超弦理論の非摂動的な性質の理解を深めることとなった。また、Dブレーンの低エネルギーでの性質は超対称ゲージ理論で記述されるため、ゲージ理論を用いて超弦理論の性質を調べること、逆に、Dブレーンの適当な配位を考えることで、ゲージ理論の非摂動的な性質を調べることが可能となり、精力的に研究された。

 このDブレーンは、ブラックホールのエントロピーの表式を統計力学的に導出する際にも用いられ、超弦理論が重力の量子論であることの傍証となった。また、マルダセナによる AdS/CFT 対応は、まったく別の理論である超対称ゲージ理論と超重力理論が、ある極限のもとで等価となることを予想し、超弦理論や重力理論、ゲージ理論に対して新しい知見を与えることとなった。

Dブレーンは折りたたまれてカラビ・ヤウ空間の中を蛇のように動き回る

 ところで、素粒子は「ひも」の振動の仕方で表わされる。「ひも」には、「開いたひも」「閉じたひも」がある。「開いたひも」は物質を表し、その両端は、膜にくっついているので、我々を含む物質は膜上でのみ存在する。「閉じたひも」は重力を表し、端がないから余剰次元を自由に移動できる。

 では、どうやって光より速いニュートリノを説明するのか。ブレーン宇宙論によると、「光」は折れ曲がった膜上を進むが、「ニュートリノ」は膜をすり抜けて近道するので、光よりも速いというのである。

 『四次元の通信は光(電磁波)によって行われるが、光であるから当然膜の上を伝わる。ところが、膜宇宙では余剰次元が存在し、この余剰次元には重力が伝わる。この重力波は余剰次元を伝播するので、膜上しか伝わらない電磁波より速く伝わる』というものである。つまり、ブレーン・ワールドには、「タイムマシン」の時空構造が組み込まれていると言われている。

 時空は、本当は高次元なのに、私たちは4次元という『ブレーン(膜)』に閉じ込められていると考えられる。1998年頃、私たちの宇宙は高次元の空間に浮かんだ膜のようなものではないかという「ブレーン宇宙論」が登場した。

 「ブレーン宇宙論=高次元」の実在を証明するものとして、「余剰次元」が考えられている。

 私たちがこの3次元空間で高次元を認識することはできないが、それは高次元の部分が私たちの感知できない小ささに折りたたまれているためではないでしょうか。

 細い糸や紐で考えてみると、糸は私たちの目には細い線(=1次元)にしか見えない。糸の断面を円とすると、その円周方向に広がった次元が、ミクロの世界で見つかるもう一つの次元、すなわち「余剰次元」である。

 「ひも理論」が紆余曲折を経て「超ひも理論」になり、そこから「M理論」が生まれ、さらに現在では、M理論の中心であるブレーン(メンブレーン)に焦点を絞った「余剰次元理論(ブレーンワールド)が生まれています。

余剰次元をどう説明するのか

 現実は、空間が3次元、時間が1次元の4次元の世界(実次元)です。それを11次元だと言うならば、残りの7次元(余剰次元)をどう説明するのか、ここが大きな問題でした。そこで、複数の余剰次元をコンパクト化する方法が用いられます。手元にある3次元のロープを遠くから眺めると、1次元のひものように見えることがあるのと同様です。実際に、6次元空間分をくり込んで見えなくする数学的変換は、モデルとして有力です。残り5次元はどう説明するか。そこで出てきたのが、我々は5次元空間の中の4次元の膜の中にいるという見解でした。我々は「x」「y」「z」「t」の4次元空間の中にいるが、ひょっとしたら認識できないところに5次元方向はあるかもしれない。

 第5の次元がどこにあるのか?

重力子は他の ひも状の素粒子とは違う

 3次元を2次元平面へと丸めて考えると、その外に他の次元があり得るとイメージできます。この平面をブレーン(膜)と呼び、私たちの住むブレーンのほかに、いくつも他のブレーンが存在すると考えるわけです。

 私たちの住むブレーンからは、ほとんどの物質が飛び出せませんが、重力子という粒子だけは外に飛び出せると予測されています。なぜなら、重力子は他の「ひも状」の素粒子とは少し違い、「輪ゴム状」だと考えられていて、両端がブレーンに貼り付いてしまう他の素粒子とは少し違うというのです。

 この世界に存在しているすべての力、電気の力や重力などいろいろありますが、これらは根源的には一つの原理に従って統一的に理解できるのではないかというのが、理論物理学の信念であります。それを考えるときに、一見奇妙奇天烈にしか思えないような考えを使って、その理論が創られてきています。ブレーン理論が正しければ、私たちのブレーンがたわんだ時にある地点から別な地点にワープできるかもしれません。

 1998年に、リサ・ランドール博士らが、重力の弱さから「ブレーンワールド」というモデルを提案しました。物理では「強い核力・弱い核力・電磁気力・重力」という4つの力が定義されますが、このうち重力だけが非常に弱い。それに、残りの3つの力はまとまりのある物理法則で扱えるけど、なぜか重力だけは別格で、なかなか扱いにくい。これはなぜなのか、みんな説明できずにいました。そこで、彼女は「実は我々の(三次元)世界から、重力だけが外に逃げられる」と言ったのです。  我々の感じる重力が余剰次元に漏れていると考えれば、4次元の膜の中に閉じ込められている他の3つの力に比べて弱いことが自然に説明できる。

 重力子を除く他の全ての基本粒子は開いた ひも で、その両端が時間を除くと9次元空間に浮かぶ、3次元の膜(ブレーン)にしばりつけられている。この世界像をブレーン世界の描像と呼ぶ。重力子だけが閉じた ひもで、ブレーンにしばりつけられていないので、余剰次元の方向に飛んでいける。

 「余剰次元」を観測する手段として、ミクロの世界で重力の逆二乗則が破れることを証明する。

 ケプラーの三法則、ニュートンの万有引力の法則で分かるように、重力は距離の二乗に比例して減衰していく。重力を伝える「重力子」が放射状に広がっていく(=「重力線」)ためである。

 音や光と同様、3次元の空間であれば重力線も重力源を中心とした球面状に広がっていくため、距離の二乗に比例して減衰する。しかし、4次元以上の高次元空間であれば、これが距離の二乗ではなく 距離の三乗や四乗に比例して減衰する。これが「逆二乗則の破れ」である。

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